DatabaseLink 入門

背景

データの保管,索引付け,取出しは,行政機関,銀行,病院,図書館等多くの組織において長い間重要な課題であった.人間社会が複雑になるに従って,データ管理に要求されるものも増加してきた.データが表すものの複雑さや,データベースがどのように使われるかについて,あるいは莫大な量のデータにおいても,さまざまな新しい課題がある.近代的なの電子計算機が20世紀後半に開発されて以来,RDBMS(Relational Database Management Systems,リレーショナルデータベース管理システム)やSQL(Structured Query Language,構造化照会言語)等のツールは,種々の組織においてデータの管理に広く使われる標準となっている.

一般に,組織においてはさまざまなユーザがデータ管理システムにアクセスする必要があるため,多くのデータベースアプリケーションがサーバベースとなる.これらのアプリケーションは,Webサーバ,Webサービス,異種混合のリモートコンピューティングアーキテクチャ等,エンタープライズテクノロジーと呼ばれる他のサーバベースの技術と組み合せることができる.

現在では,多種のデータベースシステムが存在している.これらは,大規模で高額な高性能商用アプリケーションから,Microsoft WindowsやLinux等のオペレーティングシステムを搭載した個人用コンピュータで無料で使えるオープンソースツールまで,多岐に渡る.

DatabaseLink はWolfram言語のアプリケーションで,Wolfram言語とデータベース管理システムが統合できる便利なツール一式を含んでいる.

Wolfram言語データベースアプリケーション

Wolfram言語とデータベースシステムを統合すると,数多くの重要な利点が生まれる.

Wolfram言語には,数値・記号計算のための膨大な数の関数がある.これらの関数は,データベースから取り出したデータに適用できる.計算の後,結果をデータベースアプリケーションに保管し,後でWolfram言語で使用することもできる.Wolfram言語は統計処理,モデル化,最適設定の計算にも使用できる.通常,このような計算はデータを必要とし,データを生成するが,これらのデータがデータベースアプリケーションに保管できるので便利である.

データベースアプリケーションは他の多くのタイプのアプリケーションと統合でき,これにより重要な相互運用性が生まれる.あるアプリケーションで作成されたデータをデータベースに保存し,その要素をWolfram言語で取り出して計算に使用し,結果をデータベースに保管することができる.最後に,その結果を他のアプリケーションで抽出し,また別の目的に使うことも可能である.中央のデータベースアプリケーションは,この計算ネットワークのハブとなる.DatabaseLink を使うと,そのデータベースアプリケーションとWolfram言語とのインタラクトが可能になる.

DatabaseLink の機能

DatabaseLink の技術

DatabaseLink は,一般に使われているJDBC(Javaデータベース接続)技術java.sun.com/products/jdbcに基づいている.このパッケージはWolfram言語 JavaツールキットJ/Link (www.wolfram.com/solutions/mathlink/jlink)を広く使用するが,Javaプログラミングの必要はない.Database ExplorerはWolfram言語のグラフィカルユーザインターフェースツールキットGUIKit www.wolfram.com/solutions/guikitを使う.

DatabaseLink には種々のデータベースのドライバが付属している.お使いのデータベースのドライバが含まれていない場合は,「データベース接続:JDBC接続」に記載のように,専用のドライバがインストールできる.