AstroPosition

AstroPosition[{az,alt}]

ユーザの地理位置における現在の水平座標系で方位角 az,高度 alt の天球上の位置を定義する.

AstroPosition[{az,alt,r}]

水平座標 az,alt でユーザの地理位置から距離が r の天体空間における位置を定義する.

AstroPosition[coords,frame]

"Equatorial""Horizon""Galactic"等の与えられた座標系を使って球座標 coords の向きと意味を定義する.

AstroPosition[coords,frame,csys]

指定された frame を参照し"Cartesian", "Cylindrical"等の座標系 csys を使った,数値 coords のリストで与えられた天体空間における位置を表す.

AstroPosition[{coords1,coords2,},frame,csys]

天体の位置の配列を表す.

AstroPosition[entity,frame,csys]

与えられた座標系における entity の位置を返す.

詳細

  • AstroPositionは,天球上のあるいは時空において観測された天文学的位置を表す.これは,地理学におけるGeoPositionと同じ位置を天文学において持つ.
  • 天体座標は常に座標系,つまり特定の位置を中心とし特定の時間系を使用する直交3軸を参照する.
  • AstroPosition[coords]AstroPosition[coords,"Horizon","NorthAzAlt"]に等しい.
  • 次は,遠くの星に対して回転せず,太陽系の重心を中心にしている,使用可能な慣性系である.
  • "ICRS"または"BCRS"国際天文準拠系
    "J2000"J2000における平均赤道,平均分点
    "B1950"B1950における平均赤道,平均分点
    "Galactic"天の川の平面に沿った方向の慣性系
  • 次は,地球の中心を中心とするが地球と一緒に回転しない非慣性系である.
  • "GCRS"地心準拠系
    "MEME"地球の平均赤道に沿って方向付けられ,平均分点を 軸として使用する座標系
    "TETE" または "Equatorial"地球の真の赤道に沿って方向付けられ,真の分点を 軸として使用する座標系
    "CIRS"天文中間座標系
    "MeanEcliptic"黄道に沿って方向付けられ,平均分点を 軸として使用する座標系
    "TrueEcliptic" または "Ecliptic"黄道に沿って方向付けられ,真の分点を 軸として使用する座標系
  • 次は,地球と共に回転する非慣性系である.
  • "TIRS"地球の中心を中心として"CIRS"と同じ極軸を共有する地球中間座標系
    "ITRS"地球の中心を中心として楕円体地球と共に回転する国際地球準拠系
    "Horizon"与えられた地理位置でその位置を中心とした,現地水平面に沿った方向の座標系
  • 次は,{"frame", "param1"val1, "param2"val2,}の形の座標系に使用可能なパラメータである.
  • "LightTime"幾何座標,遅延座標,あるいは高度な座標を使うかどうか
    "LightDeflection"質量体による光の偏向を補正するかどうか
    "GravitationalTimeDelay"シャピロ時間遅延を補正するかどうか
    "Aberration"観測者の動きによる収差を補正するかどうか
    "PrecessionNutationModel"使用する歳差と章動のモデル
    "Date" または "ObservationDate"観測日
    "Location"座標系の原点と観測位置
    "Epoch" または "FrameDefinitionEpoch"回転座標系の方向を定義する日付
    "PolarMotion"TIRS座標系におけるITRS 軸の座標{x',y'}
    "Refraction"大気屈折の計算に使用する圧力,温度,相対湿度,波長の値
  • {"frame","Date"date,"Location"loc,otherparams}{"frame",date,loc,otherparams}として与えることもできる.
  • 座標系が与えられると,"Spherical""Cylindrical""Cartesian"のような異なる座標系 csys"Mollweide""Mercator"等の球座標の投影が使える. GeoProjectionData["Spherical"]のすべての球面投影が使える.
  • AstroPositionは,太陽系のオブジェクトについては天体暦データのファイルをダウンロードし,FileNameJoin[{$UserAddOnsDirectory,"ApplicationData","Astro"}]に永久的に保存する.

例題

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  (4)

方位角と高度角を与えることで天球の位置を指定する:

ユーザの水平座標に対する大マゼラン雲の現在位置を求める:

これらの座標を地球の赤道面に沿った方向の赤道フレームに回転させる:

その場所の周りに円を描く:

国際天文準拠系における太陽系の重心を中心としたデカルト座標による現在の火星の位置:

XYZ座標ベクトルを天文単位で抽出する:

指定された日付における木星の地心赤道座標を求める:

次は,そのときの木星と地球の中心間の天文単位による距離である:

2015年から2030年までのそのような距離の変化を天文単位でプロットする:

スコープ  (33)

座標  (5)

角座標は度で,距離は天文単位で保存される:

現行日を仮定して,天球上の角度位置をCIRS (天文中間座標系)で指定する:

天文実体のリストの位置を求める:

QuantityArrayオブジェクトを使って座標を与える:

宇宙空間で名前付きの向きを指定する:

座標系(Frame)  (13)

AstroPositionは,デフォルトで,- 平面がユーザ位置で地球と接している水平座標を使う:

空間軸が銀河平面に沿って方向付けられ太陽系の重心が中心になっている銀河座標を使う:

空間軸がICRS(国際天文準拠系)に沿って方向付けられ地理的中心を中心とする,地心準拠系(GCRS)を使う:

指定された時代の平均赤道平均分点(MEME)座標を使う:

国際天文準拠系(ICRS)に非常に近い,J2000の平均赤道平均分点座標系であるJ2000座標系を使う:

B1950平均赤道平均分点座標系であるB1950座標系を使う:

指定された時代のTETE(真の赤道,真の分点)座標系を使う:

指定された時代の平均黄道座標系を使う:

指定された時代の真の黄道座標系を使う:

CIRS(天文中間座標系)を使う:

TIRS(地球中間座標系)を使う:

ITRS (国際地球基準座標系)を使う:

指定された地理位置および日付の水平座標系を使う:

観測日  (4)

観測日をDateObject式で指定する:

日付は任意の時刻系で取得され,"TT"時刻系に変換される:

日付文字列は現地時刻帯(デフォルト世界協定時)のものであると解釈され,時刻帯0の"TT"に変換される:

特に重要な日付の中には名前付き文字列として与えられるものがある:

観測場所  (1)

水平座標の - 平面が地表に接する地理位置を指定する:

座標系(Frame)の時代  (1)

本日ユーザ位置からその日のMEME座標系を使って織女星を観測する:

同じ日に同じ場所から,歳差運動のために今日のそれとは異なる100年前のMEME座標系を使って同じ観測を行う:

天文補正  (6)

太陽系の主太陽系準拠系(BCRS)による今この瞬間の火星の位置:

この瞬間に地球の中心に到達した光が放出されたときの火星の位置:

差は数十角秒ほどである:

この瞬間に地球の中心から放出された光を受信するときの火星の位置:

差はほぼ同じである:

Eddingtonはこの星を1919年5月29日の日食時に観測した:

太陽と月は基本的に同じ位置にあった:

次は,光の偏向を含む観測位置である:

次は光の偏向がなかった場合の位置である:

差はおよそ1角秒である:

Shapiro効果は太陽のような大質量物体の近くを通過する光線の光伝搬にわずかな遅延を導入し,位置にも影響する:

差は非常に小さくマイクロアーク秒ほどである:

観測位置は,例えば太陽の周りの地球の軌道運動のような観測者の動きによって変化する:

次は現在の北極星の観測位置である:

次は,収差補正をしなかった場合の位置である:

6ヶ月後の収差補正の符号は逆になる:

地球の瞬間回転軸は地球の地理的極軸の周りで揺れ,"ITRS"座標系と"Horizon"座標系についてオブジェクトの位置に若干の補正を導入する:

角度差はGeoOrientationDataから得ることができる:

デフォルトで,"ITRS"座標系と"Horizon"座標系は極運動の測定された値を使う:

次は,極運動を無視した場合のシリウスの位置である:

極運動として自分自身の値を指定する:

指定の日付の日没時刻を計算する:

それは,太陽の上の縁が下降する途中で地平線に触れる瞬間であり,その時点で太陽の中心はすでに負の高度になっている:

デフォルトで,地球についての"Horizon"計算は屈折モデルを使う.これがないと,その時点における太陽の位置になってしまうだろう:

差は標準的な大気条件ではおよそ36(角度)分である.圧力,温度,相対湿度,光の波長として自分自身の条件を指定する:

座標系  (2)

座標は,デフォルトで,経緯度ペアの球形で与えられる:

デカルト座標に変換しても同じ赤道座標系である:

円筒座標に変換する:

与えられた地図投影で表現する:

月の天体水平座標を計算する:

SEUデカルト座標を計算する:

異なる向きでデカルト座標を使う:

時角で円筒座標を使う:

特性  (1)

AstroPositionオブジェクトから特性を抽出する:

座標特性を抽出する:

角は角度の数として与えられる:

座標系からの距離は天文単位で与えられる:

座標系の特性を抽出する:

観測日:

観測場所と座標系の原点:

使用されている座標系または図法を抽出する:

アプリケーション  (4)

太陽は春分/秋分の日に真の赤道面と交差し,このとき偏角は0になる:

2022の秋分の瞬間を求める:

日付をグレゴリオ暦に変換する:

太陽が黄道経度で360度進むのに回帰年かかる:

太陽が赤経で慣性系について360度進むのに恒星年かかる:

分点の歳差運動のために恒星年はおよそ20分長い:

2022年9月末に木星は太陽の反対側に位置したため,日没時に昇った:

J2000時代の平均赤道座標系におけるベテルギウス星の現在の座標を取る:

地球の歳差運動による星の座標の変化を計算する:

章動効果を加えて座標の変化を計算する:

特性と関係  (6)

"J2000"座標系は"J2000"時代のSSBにおける平均赤道平均分点座標系と等価である:

位置がSSBのとき,位置天文学的補正は自動的に非アクティブになる:

AstroPosition[,{"Horizon",date,loc}]SunPosition[date,loc,CelestialSystem"Horizon"]に等しい:

AstroPosition[,{"Equatorial",date,loc}]SunPosition[date,loc,CelestialSystem"Equatorial"]に等しい:

AstroPosition[,{"Horizon",date,loc}]MoonPosition[date,loc,CelestialSystem"Horizon"]に等しい:

AstroPosition[moon,{"Horizon",date,loc}]MoonPosition[date,loc,CelestialSystem"Horizon"]に等しい:

地球の球形モデルについては,GeoPosition[loc]AstroPosition[loc,"ITRS"]に等しい:

緯度の違いはGeoPositionで楕円体モデルを,AstroPositionで球体モデルを使ったためである:

位置天文学的補正をすべて非アクティブにして緯度がもっと一致するようにする:

パリの地心緯度をその測地緯度から計算する:

これでAstroPositionによる緯度と一致するようになった:

GeoPositionXYZ[loc]AstroPosition[loc,"ITRS","Cartesian"]に等しい:

位置天文学的補正をすべて非アクティブにして完全に一致するようにする:

GeoPositionENU[loc,origin]AstroPosition[loc,{"Horizon","Location"origin},"CartesianENU"]に等しい:

位置天文学的補正をすべて非アクティブにして完全に一致するようにする:

Wolfram Research (2022), AstroPosition, Wolfram言語関数, https://reference.wolfram.com/language/ref/AstroPosition.html.

テキスト

Wolfram Research (2022), AstroPosition, Wolfram言語関数, https://reference.wolfram.com/language/ref/AstroPosition.html.

CMS

Wolfram Language. 2022. "AstroPosition." Wolfram Language & System Documentation Center. Wolfram Research. https://reference.wolfram.com/language/ref/AstroPosition.html.

APA

Wolfram Language. (2022). AstroPosition. Wolfram Language & System Documentation Center. Retrieved from https://reference.wolfram.com/language/ref/AstroPosition.html

BibTeX

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BibLaTeX

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