MarkovProcessProperties

MarkovProcessProperties[mproc]

有限状態マルコフ(Markov)過程 mproc の特性のまとめを与える.

MarkovProcessProperties[mproc,"property"]

過程 mproc の指定された"property"を与える.

詳細

  • MarkovProcessPropertiesは,DiscreteMarkovProcessContinuousMarkovProcess等の有限状態マルコフ過程に使うことができる.
  • MarkovProcessProperties[mproc,"Properties"]は使用可能な特性のリストを与える.
  • MarkovProcessProperties[mproc,"property","Description"]は特性の説明を文字列として与える.
  • 基本特性
  • "InitialProbabilities"初期状態確率ベクトル
    "TransitionMatrix"条件付き遷移確率 m
    "TransitionRateMatrix"条件付き遷移率 q
    "TransitionRateVector"状態遷移率 μ
    "HoldingTimeMean"状態の保持時間の平均
    "HoldingTimeVariance"状態の保持時間の分散
    "SummaryTable"特性のまとめ
  • 連続時間マルコフ過程では,"TransitionMatrix"は,埋め込まれた離散時間マルコフ過程の遷移行列を与える.
  • 保持時間とは,別の状態へ遷移する前に各状態で過ごす時間のことである.これは,過程が同じ状態に何回か遷移する原因となりかねない自己ループを考慮に入れる.
  • 構造化特性
  • "CommunicatingClasses"互いから到達可能な状態の集合
    "RecurrentClasses"去ることができない連結類
    "TransientClasses"去ることができる連結類
    "AbsorbingClasses"要素が1つの再帰類
    "PeriodicClasses"1より大きい有限周期の連結類
    "Periods"各周期類の周期
    "Irreducible"過程が1つの再帰類を持つかどうか
    "Aperiodic"すべての類が非周期的かどうか
    "Primitive"過程が既約で非周期的かどうか
  • 有限マルコフ過程の状態は,類の各状態から同じ類の他のすべての状態への経路がある連結類の群にすることができる.
  • 連結類はその類から他の類への経路がある場合は遷移的であり,そのような経路が存在しない場合は再帰的である.再帰類の特別なタイプに1つの要素からなる吸収的と呼ばれるものがある.
  • 状態は,2つ以上のステップでその状態に戻る確率がゼロではない場合は周期的である.周期は類の中のすべての状態について等しい.
  • 過程が再帰類に至る前の遷移特性
  • "TransientVisitMean"各遷移状態を訪れる平均回数
    "TransientVisitVariance"各遷移状態を訪れる回数の分散
    "TransientTotalVisitMean"訪れられた遷移状態の合計数の平均
  • マルコフ過程は最終的には再帰類になる.遷移特性は各遷移状態が何回訪れられたか,あるいはいくつの異なる遷移状態が訪れられたかを特徴付ける.
  • 極限特性
  • "ReachabilityProbability"状態に到達する確率
    "LimitTransitionMatrix"遷移行列のCesaro(チェザロ)極限
    "Reversible"過程が可逆かどうか
  • 特性が入手できない場合はMissing["reason"]で示される.

例題

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  (2)

特性のまとめの表:

特定の特性の値を求める:

特性の説明:

スコープ  (5)

グラフ中に異なる色でハイライトされている連結類を求める:

この過程は既約ではない:

グラフ上に正方形と円状の頂点で示された再帰類を求める:

グラフ中にダイヤモンド型の頂点で示された遷移類を求める:

グラフ中に正方形の頂点で示された吸収類を求める:

自己ループのあるマルコフ過程を定義する:

自己ループは類を非周期的にする:

自己ループのないマルコフ過程:

ここでは両方の類が周期的である:

連続時間マルコフ過程の特性のまとめの表:

連続マルコフ連鎖の特定の特性の値を求める:

状態1から始めて状態4で終わる全遷移の条件付き平均数を求める:

シミュレーションによる結果と比較する:

状態2から状態3への遷移の条件付き平均数を求める:

シミュレーションによる結果と比較する:

アプリケーション  (2)

賭博者が持ち金3ドルで始めて各段階で1ドルを賭ける.彼は確率0.4で1ドルを儲ける:

賭博者が単位を持つ回数の期待値を求める:

シミュレーションを使って答を確認する:

彼が7ドル儲けるまで,あるいはすべてを失うまでの回数の期待値を求める:

彼が7ドル儲けるまで,あるいはすべてを失うまでに訪れる状態の合計:

シミュレーションを使って答を確かめる:

2選手によるテニスのゲームで,サーブする人が得点する確率が であると仮定する.可能な状態は17ある:

のランダムウォークグラフを可視化する:

のときにサーブする人がゲームに勝つ確率を求める:

吸収までの時間の平均,つまり,獲得されたポイント数を求める:

訪れられた状態の平均数を求める:

ジュースでスコアが同じになった平均回数を求める:

シミュレーションで答を確かめる:

特性と関係  (1)

このマルコフ過程の遷移行列は既約ではない:

したがって,定常分布は初期状態の確率に依存する:

考えられる問題  (1)

特性の値の中には使えないものもある:

この特性は連続マルコフ過程についてのみ得られる:

Wolfram Research (2012), MarkovProcessProperties, Wolfram言語関数, https://reference.wolfram.com/language/ref/MarkovProcessProperties.html.

テキスト

Wolfram Research (2012), MarkovProcessProperties, Wolfram言語関数, https://reference.wolfram.com/language/ref/MarkovProcessProperties.html.

CMS

Wolfram Language. 2012. "MarkovProcessProperties." Wolfram Language & System Documentation Center. Wolfram Research. https://reference.wolfram.com/language/ref/MarkovProcessProperties.html.

APA

Wolfram Language. (2012). MarkovProcessProperties. Wolfram Language & System Documentation Center. Retrieved from https://reference.wolfram.com/language/ref/MarkovProcessProperties.html

BibTeX

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