システムモデリングのコンパイラ

システムモデリング機能はC++コンパイラを使って,モデルの高速シミュレーションのための実行ファイルを構築する.モデルのシミュレーションを実行するためには,コンピュータにコンパイラがインストールされていなければならない.サポートされるコンパイラがすでにインストールされている場合は,自動的にそれが検出され使用されるため,特に指定する必要はない.
このチュートリアルで使われているコマンドは,ロードされたシステムモデリング機能に依存する.チュートリアル中の入力を試す前に,まず以下の入力を評価することが必要である.
システムモデリング機能のロードを開始する.

サポートされるコンパイラのインストール

Windows
Windowsでは,この機能は以下のコンパイラで完全にテストされ,サポートされている.
Windowsでは,次のコマンドを評価して表示されるステップに従ってコンパイラをインストールすることができる.
Mac
Apple社のXcodeがインストールされていなければならない.XcodeはMacのApp Storeで入手できる.
Macでは,System Modelerは,XcodeのClangについて完全にテストされている.
インストールの手順はこちらをご覧いただきたい.
Linux
Linuxでは,この機能はGCC/G++ 8.5(32ビットおよび64ビット)で完全にテストされている.System Modelerは,例えば任意のGCC/G++の8.5以降のバージョンと互換の任意のC++コンパイラで使える可能性も高い.
インストールの手順はこちらをご覧いただきたい.

コンパイラの検証と設定

このセクションでは,コンパイラ設定の検証と変更で利用できる機能について説明する.これは高度な機能なので,ほとんどのユーザには必要ない.
現在設定されているコンパイラを検証する.
検証が成功しなかった場合,結果には設定に問題があることを示すテストコンパイルからのログも含まれる.
現在選ばれているコンパイラの設定を表示する.
このオプションは規則のリストであり,コンパイラのコマンド,システム上の場所,バージョン,高度な設定オプションを指定する.
サポートされるコンパイラのうち検出されたものすべてをリストすることもできる.
コンパイラの設定を変更して,検出された別のコンパイラを使うようにすることができる.

コンパイラの高度な設定

個々の設定オプションを変更して,コンパイラの設定をカスタマイズすることもできる.
名前
説明
"Command"コンパイラの名称
"Path"実行ファイルへのパス
"Version"コンパイラのバージョン
"PlatformSDKPath"Mac SDKへのパス
"TargetArchitecture"32ビット,または64ビットアーキテクチャ
"UserCFlags"カスタムCコンパイラのフラグ
"UserCPPFlags"カスタムC++コンパイラのフラグ
コンパイラの高度な設定のためのオプション
"Command"はコンパイラのタイプを記述する.これは"g++""clang++""cl"のいずれかである.
"Path"オプションの内容は,サポートされているコンパイラについては次のようになる.
Visual Studioでは,"Version"は使っているバージョンによって"VS2013"あるいはこれと同様のものが与えられる.
コマンドラインツールをインストールしないでXcodeのclang++を使う場合,"PlatformSDKPath"を指定することも必要である.プラットフォームのSDKは通常/Applications/Xcode.app/Contents/Developer/Platforms/MacOSX.platform/Developer/SDKsにある.
"TargetArchitecture"は"x86_64""x86"のいずれかである.
単独の文字列として"UserFlags"または"UserCPPFlags"に与えられるフラグは,変更されていないコンパイラに渡される.これによって,選択されたコンパイラを緻密に制御することができる.

ウィルス対策およびITセキュリティ対策で起こり得る問題

SystemModelでシミュレーションが行われるとき,C++コードが生成される.これが実際のシミュレーションを実行している実行ファイルにコンパイルされるのである.デフォルトでは,これはすべてユーザの一時ディレクトリで行われる.この動作は一部のウィルス対策ソフトウェアおよび/またはオペレーティングシステムによって強制されるITセキュリティ対策と衝突する可能性がある.
System Modelerもインストールしてある場合は,作業ディレクトリを設定することができる.作業ディレクトリはSystem ModelerとWolfram言語のシステムモデリング機能で共有される.
ファイルを生成し実行することが許可されるディレクトリがある場合は,System Modelerの「グローバル」オプションの「一般」セクションで作業ディレクトリを変更することができる.そのようなディレクトリがない場合は,System Modelerユーザが実行ファイルを作成して実行できるディレクトリがあるように,ウィルス対策およびセキュリティ対策の設定を変更する必要がある.