Wolframシステムの環境設定ファイル
Wolframシステムは$BaseDirectoryと$UserBaseDirectoryの2つのディレクトリに,初期設定と初期化データを保存する.それぞれのディレクトリの中にはFrontEnd,Kernel,Licensing等の名前のサブディレクトリがある場合がある.
すべてのユーザに影響する大域的設定は$BaseDirectoryディレクトリのサブディレクトリに保存される.異なるオペレーティングシステムでの$BaseDirectoryのデフォルト値は以下の表に示した通りである.大域的な初期設定と初期化データの場所を再定義するためには,環境変数をWOLFRAM_BASEに設定する.
異なるオペレーティングシステムにおける$BaseDirectoryディレクトリの場所
特定のユーザのみに影響を与える設定は,$UserBaseDirectoryディレクトリのサブディレクトリに保存される.異なるオペレーティングシステムでの$UserBaseDirectoryのデフォルト値は,以下の表に示した通りである.ユーザの初期設定と初期化データの場所を再定義するためには,環境変数をWOLFRAM_USERBASEに設定する.
異なるオペレーティングシステムにおける$UserBaseDirectoryディレクトリの場所
以降のパス名では,変数$BaseDirectoryおよび$UserBaseDirectoryを,使用中のシステムに適したディレクトリで置き換えること.システム上でその場所が知りたい場合は,Wolframシステムノートブックでコマンド$BaseDirectory(あるいは$UserBaseDirectory)を評価する.
カーネルが使用する初期化ファイルには,関数定義,ロードするパッケージ,カーネルオプション設定等,起動時に評価するWolfram言語コマンドが含まれている.このコマンドは,Wolframシステムフロントエンドでも使用可能である.
このファイルはカーネルの初期化に使われるので,カーネルを実行するすべてのユーザにとって適切なコマンドを含むようにしなければならない.
$UserBaseDirectory /Kernel/init.m
このファイルは,カーネルの初期化に使われるユーザ独自のコマンドを保存する.
フロントエンド初期化ファイルには,オプションインスペクタのグローバルオプションの値等の初期設定が保存される.フロントエンドの設定を変更すると,Wolframシステムが自動的にこのファイルをアップデートする.このファイルに変更を加えるためには,ファイルを直接編集するのではなく,Wolframシステム内から変更する.
$BaseDirectory /FrontEnd/init.m
このファイルには,すべてのWolframシステムフロントエンドによって使われるシステム規模のデフォルトが保存される.このファイルの設定はすべてのユーザに影響する.「システム規模のデフォルト」には,この大域的ファイルに変更を実装する方法が説明してある.
$UserBaseDirectory /FrontEnd/init.m
このファイルは,ユーザ固有のフロントエンドの設定を定義する.
パスワードは,「登録とパスワード」にある通りmathpassファイルに保存されている.以下のパス名では,変数$InstallationDirectoryを,Wolframシステムをインストールしたディレクトリで置き換えること.自分のシステムの$InstallationDirectoryの値は,Wolframシステムノートブックでコマンド$InstallationDirectoryを評価すると分かる.
$BaseDirectory /Licensing/mathpass
$InstallationDirectory /Configuration/Licensing/mathpass
これは大域的パスワードファイルの別の場所である.ほとんどの場合これを使うことはお勧めしない.
$UserBaseDirectory /Licensing/mathpass