温度単位
温度は通常摂氏や華氏等のスケールで表され,ゼロという場合もあるため,温度の扱いには特別な注意が必要である.温度の差は明確に定義されたゼロ値を持つ標準的数量である.したがって温度と温度差は分ける必要がある.Wolfram言語の数量フレームワークでは温度単位としての
"DegreesCelsius"と温度差単位としての
"DegreesCelsiusDifference"を区別している.どちらも
"TemperatureUnit"という単位次元を持つ.
温度単位は物体の熱さを表し,華氏,摂氏,ケルビン等のスケールを使う温度計を使って測定される.よくある温度の例として,気温,病人の体温,物質の沸点の測定が挙げられる.温度のスケールにはゼロ値があるが,これは絶対ゼロ度に対応している場合もしていない場合もある.
現在いる場所に適した単位を使って,その場所の気温を得る:
温度差は温度と温度の間の相対距離を表し,これも温度スケールを使って測定される.温度差は温度の変化,2つの温度の間の差を示すために通常使われるため,絶対ゼロ度は直接参照しない.
温度さの単位は温度の単位とは異なるタイプセットで表される:
シカゴにおける2022年1月1日と7月1日の温度差を求める:
ケルビンで表される温度は絶対ゼロ度についての差と等しいので,ケルビンでは温度と温度差の単位を区別する必要がない.
"KelvinsDifference"で与えられる数量の式は自動的に
"Kelvins"に変換される:
UnitConvertを使うと華氏から摂氏やケルビンへの変換等,一つのスケールから別のスケールに自由に変換することができる:
例外的に,温度は絶対ゼロ度からの温度差と解釈されると,温度差に変換することができる.
摂氏や華氏の温度が温度差に変換される場合は警告メッセージが出る:
その計算はまずケルビンに変換してから温度差に変換するというものに等しい:
温度から温度差への変換を理解する別の方法として,絶対ゼロ度との差として考えるというものがある:
必要に応じて温度差をケルビンに変換してから手動で変換することはできる:
加算等の演算操作では,温度と温度差の単位の区別が結果の数量に影響を及ぼす.温度差の単位を温度に足して温度を出したり,温度差の単位を足して温度差を出したり,温度を足して温度を出したりすることができる.
よくある演算は,温度に温度差を足すというものである:
あるスケールの温度差を別のスケールの温度に足すことができる:
2つの温度数量を足す場合,結果は絶対ゼロ度からの差を含む値の和になる.2つの温度を足した結果は,これらの温度をケルビンに変換してから足すことに等しく,結果は規範的にケルビンで与えられる:
前の操作は,足す前にまず温度をケルビンに変換することに等しい:
温度差は2つの温度の間の距離を表すため,ある温度から別の温度を引いた結果は温度差になる.温度差は温度から引くと別の温度になる.温度差から温度を引いても温度になる.これは温度から引かれた温度差と逆の符号になる.
温度の掛け算は温度を足すことに等しく,ケルビンの単位で与えられる.温度スケールのゼロ値の中には絶対ゼロ度を表さないものもあるので,負の数の掛け算は,符号と温度数量に移動させない.
温度に2を掛けると,その温度に同じ温度を足したものと同じ結果になる:
温度の値が負であっても,符号は温度の数量の外側にあるままである:
温度単位で割ると,割り算の前にケルビンに変換された温度に等しい数量になり,結果はケルビンで与えられる.ある温度を別の温度で割ると,両方の温度の値によって与えられるケルビン単位の数値の割合になる.
温度で割ると同じ値をケルビン単位で割ったものに等しくなる: