設定と監視
Wolfram言語には並列計算を設定して監視するための多くのツールが備わっている.この中にはWolfram言語ノートブックフロントエンドのメニューからアクセスできるものもある.このセクションではこれらのツールを紹介し,それを使って何ができるかについて述べる.
並列環境設定
Wolfram言語のデフォルトの設定では並列計算に使用される並列カーネルの数が自動的に設定される.一般に,マルチコアマシンでは,コアの数に合致するだけ(最大でライセンスプロセス制限数まで)のワーカーカーネルが得られる.このデフォルト設定は,初めて並列計算を実行したときにシステムが初期化されるということを意味している.
並列環境設定で設定を見ることができる.これはフロントエンドのメニュー項目から「評価」 ▶ 「並列カーネルの設定」を選ぶと開く.以下のような並列環境設定が開く.
並列環境設定から並列カーネルをどのように起動するかについての詳細が設定できる.デフォルトの設定では,必要に応じてカーネルをロードするようになっている.接続方法も設定できる.
一般設定
一般設定は並列カーネルをいつ起動するかを制御するものである.
Wolfram言語の並列関数は通常いずれかが最初に参照されたときにのみロードされる.そのためカーネルの起動がマスターカーネルの起動速度を落とすことはない.
「評価失敗の処理」は並列カーネルが並列計算の途中で(ハードウェアの不具合,ネットワークの問題,クラッシュ等により)失敗したときに,実行中の評価をどのように処理するかを制御するものである.「再度評価」はカーネルが失敗したときにカーネル上で実行されていた評価を別のカーネルへ再割当てする.「放棄する」は失敗として結果に$Failedを返す.デフォルトの「再度評価」設定では,計算の途中でカーネルが失敗しても,並列評価は通常通り終了できる.
「失敗したカーネルを再度起動する」を有効にすると,Wolfram言語は定期的に失敗したカーネルをすべて再度起動しようと試みる.これは使用しているカーネルのタイプによっては常に可能ではないこともある.ローカルカーネルではこれは必ず成功するはずである.
「並列モニターツール 」は並列プログラムの開発においてパフォーマンスを監視し,オプションでマスターカーネルと並列カーネルの通信を観察することもできるため便利である.これらのツールを使用するとパフォーマンスが少し劣化するが,バッチによる大規模な計算を除き,通常推奨される.
並列カーネル設定
「Parallel Kernel Configuration」並列カーネル設定のタブはWolfram言語が並列カーネルをどのように起動し,並列カーネルとどのように通信するかを制御する.デフォルトの接続方法は,Wolfram言語のメインカーネルとして同じコンピュータで実行しているLocal Kernelsローカルカーネルを使用するものである.デフォルトでは,これはコンピュータのコア数と同じ数のカーネルを起動する.これは$ProcessorCountで指定される.同じタイプのグリッドまたはネットワークのリモートコンピュータで実行中のカーネルを使用する接続方法もある.「起動と接続」のセクションに詳細が記載されている.これらの方法の中にはローカルのコンピュータにソフトウェアを追加しなければならないものもあり,また,一般には使用するリモートコンピュータにWolframシステムをインストールしなければならない.
状態
状態ディスプレイを使って並列カーネルの動作を監視することができる.これはフロントエンドのメニュー項目から「評価」 ▶ 「並列カーネルの状態」を選んで開く.次のようなものが表示される.
これはマスターカーネル1つと2つのワーカーカーネルが同じコンピュータ上で実行していることを示している.環境設定で並列モニターツールを有効にしている場合にのみ,パフォーマンス監視グループの列が利用できる.
システム情報
使用中のシステムの並列計算のための設定の詳細なリストは,SystemInformationの「並列処理」タブで見られる.以下に例を示す.
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