VectorLessEqual

xy または VectorLessEqual[{x,y}]

のすべての成分について xiyiなら,長さ n のベクトルに対してTrueを返す.

xκy または VectorLessEqual[{x,y},κ]

y-xκ なら,xy とに対してTrueを返す.ただし,κ は真凸錐である.

詳細

  • VectorLessEqualは,ベクトル空間演算と互換の, および がすべての について を意味する,ベクトル,行列,配列の半順序を与える.
  • VectorLessEqualは,制約条件付き最適化,不等式の解法,積分におけるベクトル不等式を指定するのに使われることが多い.これは,ベクトル最適化における極小元の定義にも使われる.
  • x および y-ベクトルのとき,xyに等しい.この関係が真となるためには,x の各部分は対応する y の部分以下でなければならない.
  • x および y が次元の配列のとき,xyに等しい.この関係が真となるためには,x の各部分は対応する y の部分以下でなければならない.
  • x または y が非数値要素を持つとき,xy は未評価のままになる.それ以外の場合は,一般にTrueまたはFalseを与える.
  • xn-ベクトルで y が数値スカラーのとき, のすべての成分に対して xiy なら xyTrueを与える.
  • 記号 v<= または \[VectorLessEqual]として入力する.下付き文字があるベクトル不等式は以下のように入力できる.
  • xyVectorLessEqual[{x,y}]標準的ベクトル不等式
    x_(kappa)yVectorLessEqual[{x,y},κ]錐体 κ によって定義されるベクトル不等式
  • 一般に,適切な真凸錐 κ を使ってベクトル不等式を指定することができる.集合κ と同じである.
  • ベクトル x についての のときの可能な錐体指定 κ には以下がある.
  • {"NonNegativeCone", n}TemplateBox[{n}, NonNegativeConeList] ()
    {"NormCone", n}TemplateBox[{n}, NormConeList](Norm[{x1,,xn-1}]xn)
    "ExponentialCone"TemplateBox[{}, ExponentialConeString] ()
    "DualExponentialCone"TemplateBox[{}, DualExponentialConeString] ( または)
    {"PowerCone",α}TemplateBox[{alpha}, PowerConeList] ()
    {"DualPowerCone",α}TemplateBox[{alpha}, DualPowerConeList] ()
  • 行列 x についての のときの可能な錐体指定 κ には以下がある.
  • "NonNegativeCone"TemplateBox[{}, NonNegativeConeString] ()
    {"SemidefiniteCone", n}TemplateBox[{n}, SemidefiniteConeList]対称半正定値行列
  • 配列 x についての のときの可能な錐体指定 κ には以下がある.
  • "NonNegativeCone"TemplateBox[{}, NonNegativeConeString] ()
  • 厳密な数量については,VectorLessEqualは内部的に数値近似を使って数値順を確立する.この過程は大域変数$MaxExtraPrecisionの設定の影響を受けることがある.

例題

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  (3)

すべての i=1,,n について xiyiTrueのとき,xyTrueを与える:

任意の i=1,,n について xi>yiFalseのとき,xyFalseを与える:

ベクトル不等式を表す:

v が数値ベクトルの空間要素で置換されたとき,この不等式はTrueまたはFalseを返す:

錐体によっても与えられる:

錐体によっても与えられる:

直方体によっても与えられる:

スコープ  (7)

ベクトル中の全要素が非負であるかどうかを判定する:

すべての成分が1以下かどうかを判定する:

!xyxy を意味しない:

各成分について,!xiyixi>yiを意味する:

2つの行列の成分を比較する:

対称行列を比較する:

Norm[{x,y}]<=1という条件を表す:

という条件を表す:

非負の x,y について (ただし,α は0から1)となるところを表示する:

アプリケーション  (8)

基本的なアプリケーション  (1)

VectorLessEqualは多くの要素を比較する高速の方法である:

ベクトル不等式上の最適化  (1)

ベクトル不等式を解く  (1)

不等式 は直方体Cuboid[pmin,pmax]を表す:

ベクトル不等式の領域上の積分  (2)

非負の四分儀上で を積分する:

ベクトル変数を使う:

非負の八分儀上で を積分する:

長方形上で を積分する:

ベクトル変数を使う:

直方体上で を積分する:

行列不等式  (3)

標準的なベクトル順を使って非負の行列の集合を表す:

区間で区切られた行列の集合を与える:

半定値錐体を使って正の対称半正定値行列の集合を定義する:

を使って,最小固有値が で最大固有値が の対称行列の集合を定義する.ただし,n=IdentityMatrix[n]かつ κ="SemidefiniteCone"である.これで,固有値が1と2の間にある対称行列の集合 (つまり,)が求まる:

行列変数を使って同じ問題を立式する:

そのような行列の例を求める:

結果をチェックする:

特性と関係  (3)

VectorLessEqualはベクトル空間操作と互換である:

任意のベクトル について,両辺にベクトルを加える

任意の についてに正の定数を掛ける

xy は(厳密な意味ではないが)半順序,つまり,反射的,反対称的,推移的である:

反射的,つまり,すべての要素 について である:

反対称,つまり, かつ なら である:

推移的,つまり, かつ なら である:

xκy は部分的な順序で全体的な順序ではない.したがって,比較できない要素がある:

は非互換要素なので, も真ではない:

ベクトルの集合 .これらはと比較可能な要素である:

考えられる問題  (1)

ベクトル順は部分的な順序である.したがって, の否定は と等しくはない:

以下では の両方が偽である:

を可視化する.これらの集合の差は比較できない要素からなっている:

Wolfram Research (2019), VectorLessEqual, Wolfram言語関数, https://reference.wolfram.com/language/ref/VectorLessEqual.html.

テキスト

Wolfram Research (2019), VectorLessEqual, Wolfram言語関数, https://reference.wolfram.com/language/ref/VectorLessEqual.html.

CMS

Wolfram Language. 2019. "VectorLessEqual." Wolfram Language & System Documentation Center. Wolfram Research. https://reference.wolfram.com/language/ref/VectorLessEqual.html.

APA

Wolfram Language. (2019). VectorLessEqual. Wolfram Language & System Documentation Center. Retrieved from https://reference.wolfram.com/language/ref/VectorLessEqual.html

BibTeX

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BibLaTeX

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