WolframKernel

名前

WolframKernel スタンドアロンのWolfram言語カーネルを起動する.

概要

WolframKernel

WolframKernel -wstp

WolframKernel - initcode を実行する

説明

WolframKernelは,スタンドアロンのWolfram言語カーネルを実行する.スタンドアロンのカーネルセッションは通常,デバイス(通常キーボードあるいはWSTP接続)から入力を読み取り,式を評価して,結果をデバイス(通常スクリーンあるいはWSTP接続)に表示する.システムによっては,WolframKernelwolframが同じプログラムであることもある.

オプション

起動のオプション

-initfile file 初期化 でコマンドを実行する.

-noinit 標準的な場所から初期化ファイルを読み取らない.

-run cmd コマンド を起動時に実行する.

ライセンスのオプション

-lmverbose MathLMとのインタラクションについての情報を表示する.

-pwfile file ライセンスパスワードを から読み取る.

実行モードのオプション

-wstp WSTPを通してのみ交信する.

-noicon 別のウィンドウでカーネルを起動するWindows等のプラットフォーム上で,ウィンドウを隠し,オペレーティングシステムのタスクバーへの入力を抑制する.

-noprompt バナーやIn[]Out[]のプロンプトを表示したり,起動エラーのためにユーザに入力を求めたり(バッチスクリプトで便利)しない.

-script file スクリプトモードでコマンドを から実行する.

-threadpriority p Windowsで,カーネルプロセスの相関的な優先順位を指定する.

詳細

起動

-wstpが与えられると,WSOpenArgcArgvが理解する任意の一般的なWSTPオプションもコマンドライン上で与えることができる.

別のウィンドウでカーネルを起動するWindows等のプラットフォーム上で, WSTPモードのときウィンドウは最小化される.-noiconを加えると,オペレーティングシステムのタスクバーでの入力が自動的に抑制される.

カーネルは環境変数の値を読み取り,その値を任意のコマンドライン引数に追加する.

Windowsのみの-threadpriorityオプションへの引数は,のいずれかでよく,デフォルトはである.正の値は,カーネルが通常よりも高い優先権で実行されるべきであることを示し,負の値は通常よりも低い優先権で実行されるべきであることを示す.

パスワードファイルが-pwfileを使って指定される場合には,そのパスワードが最初に試される.有効なパスワードが見付からない場合には,標準的な場所にあるパスワードファイルが試される.

-nopromptが与えられると,変数$BatchOutputTrueに設定される.起動時にIn[]Out[]のラベルとバナーを省略することに加えて,Wolfram言語は,PageWidthオプションを事実上Infinityに設定して,すべての出力をInputFormで生成する.

Wolfram言語スクリプト

-scriptコマンドラインオプションが与えられた場合,カーネルはコマンドを一括して,あるいはスクリプトモードで から評価して終了する.

スクリプトモードでは,カーネルはバナーあるいはIn[]Out[]のラベルを表示せず,PageWidthオプションを事実上Infinityに設定して,すべての出力をInputFormで生成する.

スクリプトモードでは,「#!」の文字でファイルが始まる場合,カーネルはその第1行を無視する.

例題

インタラクティブな操作

Wolfram言語をインタラクティブなREPLで実行する:

$ WolframKernel
Wolfram 14.1.0 Kernel for Mac OS X x86 (64‐bit)
Copyright 1988-2024 Wolfram Research, Inc.

In[1]:= 2+2

Out[1]= 4

In[2]:= 

WSTP

カーネルを起動し,WSTPリンクを作成する:

$ WolframKernel -wstp -linkcreate
Link created on: mvg8t_shm

別のセッションからリンクに接続し,それをアクティベートして,入力を消去する:

評価をリンクされたカーネルに送信し,その結果を現行カーネルと比較する:

リンクを閉じる:

Windows等のオペレーティングシステム上で,タスクバー入力を抑制する:

$ WolframKernel -noicon -wstp -linkcreate
Link created on: z5hmx_shm

コマンドライン上での初期化

-runオプションを使って,起動時の変数を設定する:

$ WolframKernel -run 'AppendTo[$Path, "/favorite/path"]'
Wolfram 14.1.0 Kernel for Mac OS X ARM (64-bit)
Copyright 1988-2024 Wolfram Research, Inc.

In[1]:= Last[$Path]

Out[1]= /favorite/path

In[2]:=

明示的なExit[]を加えることによって,-runオプションを使って式を評価して終了することができる:

$ WolframKernel -run 'Print[\"Hello World\"];Exit[]'
Wolfram 14.1.0 Kernel for Linux x86 (64-bit)
Copyright 1988-2024 Wolfram Research, Inc.
Hello World

ファイルからの初期化

custom_init.wlを初期化ファイルの標準リストに追加する:

$ WolframKernel -initfile custom_init.wl

どの初期化ファイルもロードされないようにする:

$ WolframKernel -noinit

custom_init.wlを唯一の初期化ファイルとして使う:

$ WolframKernel -noinit -initfile custom_init.wl

追加例題

カーネルが別のパスワードファイルを使って実行できるようにする:

$ WolframKernel -pwfile "/path/to/mathpass"

Wolfram言語コードをファイルから評価して終了する:

$ WolframKernel -script test.wl

Windows等のオペレーティングシステム上で,別のウィンドウとタスクバー入力が開くのを抑制する:

$ WolframKernel -script test.wl -noicon

ファイル

ユーザの初期化ファイルの場所:

  • $BaseDirectory/Kernel/init.m
    $UserBaseDirectory/Kernel/init.m
  • パスワードファイルの場所:

  • $BaseDirectory/Licensing/mathpass
    $UserBaseDirectory/Licensing/mathpass
    $InstallationDirectory/Configuration/Licensing/mathpass
  • WOLFRAM言語変数

    $BatchOutput -nopromptがコマンドライン上に与えられているかどうか.

    $CommandLine 使用された完全なコマンドラインを与える文字列のリスト.

    $Epilog カーネルの終了時に実行するコマンド.

    $IgnoreEOF ファイル終了の文字が与えられたときでもwolframを続行するかどうか.

    $PasswordFile wolframのアクティベーションに成功したパスワードファイルへのパス.

    環境変数

    WOLFRAMINIT WolframKernelを起動するたびに追加する追加の引数.

    MATHKERNELINIT WOLFRAMINITが定義されていない場合に読み取られるレガシー変数.

    WOLFRAM_BASE $BaseDirectoryの値に使うパス.

    WOLFRAM_USERBASE $UserBaseDirectoryの値に使うパス.