Wolframシステムのファイル構成
Wolframシステムのフルインストールにはおよそ数千のファイルが含まれる.これらのファイルは主インストールディレクトリ内の数百のディレクトリに分かれている.主インストールディレクトリの場所はインストール時に決定され,その名前はWolfram言語カーネルの中から$InstallationDirectoryの値で与えられる.
C:\Program␣Files\Wolfram␣Research\Wolfram\
14.1
| Windows |
/Applications/Wolfram.app/Contents
| macOS |
/usr/local/Wolfram/Wolfram/
14.1
| Linux |
Wolframシステムを起動する実行可能プログラムは通常は主インストールディレクトリにある.場合によっては他の場所からリンクされていたり他の場所にあるスクリプトからアクセスされることもある.First[$CommandLine]はWolfram言語カーネル内からそのカーネルに対応する実行可能プログラムの完全名を送る.
WolframNB | Wolframシステムフロントエンド |
WolframKernel | Wolfram言語カーネル.通常はそれ自身のテキストベースのインターフェース |
wolfram | ターミナルあるいはシェルで実行されるWolfram言語カーネル |
wscc | WSTP Cソースファイルの前処理やコンパイルのためのスクリプト |
主インストールディレクトリにはWolframシステムのデータが入った標準的なサブディレクトリが3つある.通常の状況下では,例えば共有スタイルシートに変更を加えるような場合を除いては,これらのディレクトリの内容に変更を加えるべきではない.
Linuxシステム用のWolframシステムでは,単一の全体的なディレクトリ構造に異なるコンピュータアーキテクチャやシステム用の実行可能ファイルが入っていることがしばしばある.各システムは$SystemIDで名前が与えられるサブディレクトリに入っている.リソースディレクトリによっては特定の言語で特定のコンピュータ環境用のファイルが入っているものもある.このようなファイルはJapanese/Windowsといったサブディレクトリに収められている.
Kernel/Binaries/
| オペレーティングシステム別カーネル用バイナリファイルあるいは要素 |
Kernel/SystemResources/
| システム別カーネル用.mxファイル |
Kernel/TextResources
| カーネル用メッセージおよびテキストファイル |
FrontEnd/Binaries/
| オペレーティングシステム別フロントエンド用バイナリファイルあるいは要素 |
FrontEnd/SystemResources
| ウィンドウシステム環境別フロントエンド用ファイル |
FrontEnd/TextResources
| フロントエンド用メッセージおよびテキストファイル |
FrontEnd/StyleSheets
| デフォルトのノートブックスタイルシート |
FrontEnd/Palettes
| デフォルトパレットノートブック |
Libraries/
| カーネルとフロントエンドが使用するWSTP等のライブラリ |
Links
| WSTPおよびその他の接続技術のデベロッパキット |
Fonts
| Wolframシステムフォント(通常,中央のディレクトリにコピーされる) |
CharacterEncodings
| 文字コード規格の指定 |
SpellingDictionaries
| スペル辞書 |
SystemDocumentation/
| Linuxのmanと,その他の環境別ドキュメント |
Graphics/Binaries/
| PostScriptインタープリタとグラフィックスのプログラム |
Graphics/SystemResources
| PostScript定義ファイルとその他のグラフィックス用ファイル |
Graphics/Packages
| グラフィックスを設定するためのパッケージ |
Installation
| インストール作業に必要な補助的なプログラム(主インストールプログラムから自動的に呼び出される) |
IncludeFiles
| 他のプログラムに含めるためのファイル |
Java
| Javaランタイム環境用のファイル(必要な場合) |
C:\Users\
\AppData\Local\Programs\Common\Wolfram␣Research\Documentation.en-us\
14.1
\Documentation
| Windows |
/Library/Wolfram/Documentation/
14.1
/en-us
| macOS |
/usr/sharel/Wolfram/Documentation/
14.1
| Linux |
System/Guides
| 関連した関数を分類しリンクするページ |
System/ReferencePages/Symbols
| Wolframシステムの各組込み関数のリファレンスページ |
System/ReferencePages/Formats
| Wolframシステムが扱うファイル形式のリファレンスページ |
Packages/
/Guides,等
| アドオン項目のドキュメント |
いろいろな状況下でシステムにロードできるファイルを追加してWolframシステムをカスタマイズすることができる.追加ファイルは従来はシステムワイドなあるいはユーザ独自の「ベースディレクトリ」にロードされる.
$BaseDirectory | Wolframシステムがロードするファイル用のシステムワイドなベースディレクトリ |
$UserBaseDirectory | Wolframシステムがロードするファイル用のユーザ独自のベースディレクトリ |
$BaseDirectoryの典型的な値
$UserBaseDirectoryの典型的な値
これらのディレクトリ用に異なる場所が指定したければWolframシステムを実行する際にオペレーティングシステムの環境変数を変更するとよい.これについては「Wolframシステムセッション」で詳しく説明してある.
Applications | Wolfram言語アプリケーションパッケージ |
Autoload | 起動時に自動的にロードされるパッケージ |
FrontEnd | フロントエンドの初期化ファイル |
Kernel | カーネルの初期化ファイル |
Licensing | ライセンスマネージャファイル |
SystemFiles | 一般的なシステムファイル |
カーネルの起動時に実行される | |
Kernel/end.m
| カーネルの終了時に実行される |
フロントエンドの起動時に読み込まれる | |
SystemFiles/FrontEnd/StyleSheets/
| カスタマイズされたノートブックのスタイルシート |
SystemFiles/FrontEnd/Palettes/
| フロントエンドメニューに表示する追加的パレット |
カーネル用設定ファイルはWolfram言語のコマンドで記述されている.そこでは$SystemIDや$MachineName等を調べて,実行する操作を決定することができる.フロントエンド用設定ファイルにはある限られた種類の特殊コマンド(「入力シンタックス」を参照)のみを書くことができる.
カーネルの$Pathのデフォルト設定では,アドオンは単に<<name`コマンドによってWolframシステムセッションに読み込むことができる.このときアドオン用のinit.mファイルが読み込まれ,それによりパッケージの動作に必要な他のファイルやパッケージが読み込まれる.
アドオンを$BaseDirectoryあるいは$UserBaseDirectoryのAutoloadサブディレクトリに置くことで,カーネルあるいはフロントエンドを起動したときにWolframシステムが自動的にそのアドオンを読み込むようにできる.