DiscreteLQRegulatorGains

DiscreteLQRegulatorGains[sspec,wts,τ]

重み wts の費用関数を最小にする連続時間系指定 sspec のサンプリング周期 τ による離散時間状態フィードバックゲインを与える.

DiscreteLQRegulatorGains[,"prop"]

特性"prop"の値を与える.

詳細とオプション

  • DiscreteLQRegulatorGainsは,離散線形二次調整器,離散線形二次調整器相当,あるいは離散線形二次エミュレーテッド調整器としても知られている.
  • DiscreteLQRegulatorGainsは,一般に,調整コントローラあるいは追跡コントローラのデジタル実装の計算に使われる.
  • 調整コントローラは,系を乱そうとする外乱 があっても系を平衡状態に保とうとする.典型的な例として,直立した倒立振子や水平飛行中の航空機等が挙げられる.
  • 調整コントローラは の形の制御規則で与えられる.ただし, は計算されたゲイン行列である.
  • 近似離散時間系:

  • 連続時間費用関数は で与えられる.
  • 追跡コントローラは,それを妨害する外乱 があっても参照信号を追跡しようとする.典型的な例として,自動車のクルーズコントロールシステムやロボットの経路追跡が挙げられる.
  • 追跡コントローラは の形の制御規則で与えられる.ただし,は系 sysのダイナミクスを含む拡張系のための計算されたゲイン行列である.
  • 近似離散時間系:
  • 連続時間費用関数は で与えられる.ただし, は拡張状態である.
  • 拡張状態の数は で与えられる.ただし,sysSystemsModelOrderで,yref の次数で, は信号 yrefの数で与えられる.
  • 重み行列の選択は,結果としてパフォーマンスと制御努力のトレードオフとなり,優れた設計に反復的に到達する.初期値は成分がTemplateBox[{{1, /, z}, i, 2}, Subsuperscript]の対角行列でよい.ただし,ziは対応する xiまたは uiの許容可能な最大絶対値である.
  • DiscreteLQRegulatorGainsは,連続時間費用関数に相当する離散時間の近似を使って離散時間コントローラを計算する.
  • 離散時間近似費用関数は以下の項を持つ sum_(k=0)^infty(x^^(k).phi.x^^(k)+TemplateBox[{{{u, _, f}, (, k, )}}, ConjugateTranspose].rho.u_f(k)+2 TemplateBox[{{{x, ^, ^}, (, k, )}}, ConjugateTranspose].psi.u_f(k))である.
  • 状態重み行列
    入力重み行列
    クロスカップリング重み行列
    状態ベクトル調整には ,追跡には
  • 重み wts は次の形でよい.
  • {q,r}クロスカップリングがない費用関数
    {q,r,p}クロスカップリング行列 p がある費用関数
  • 系の指定 sspec は,系 sys と指定 ufytyrefである.
  • sysStateSpaceModel[{a,b,c,d}]として与えることができる.ただし,a, b, c, d は,連続時間系 の,状態,入力,出力,フィードスルー行列である.
  • 離散時間設計モデル dsys は次の項を持つ0次のホールド近似 である.
  • 状態行列
    入力行列
  • 系の指定 sspec は以下の形でよい.
  • StateSpaceModel[]線形制御入力と線形状態
    AffineStateSpaceModel[]線形制御入力と非線形状態
    NonlinearStateSpaceModel[]非線形制御入力と非線形状態
    SystemModel[]一般的な系のモデル
    <||>Associationとして与えられる詳細な系の指定
  • 系の指定の詳細は次のキーを持つことができる.
  • "InputModel"sysモデルの任意のもの
    "FeedbackInputs"Allフィードバック入力 uf
    "TrackedOutputs"None追跡された出力 yt
    "TrackedSignal"Automaticyrefのダイナミクス
  • フィードバック入力は次の形でよい.
  • {num1,,numn}StateSpaceModelAffineStateSpaceModelNonlinearStateSpaceModelで使われる番号付き入力 numi
    {name1,,namen}SystemModelで使われる名前付き入力 namei
    Allすべての入力を使う
  • AffineStateSpaceModelNonlinearStateSpaceModelSystemModelのような非線形系については,系は保存された動作点の周りで線形化される.
  • DiscreteLQRegulatorGains[,"Data"]cd["prop"]の形で追加的な特性の抽出に使えるSystemsModelControllerDataオブジェクト cd を返す.
  • DiscreteLQRegulatorGains[,"prop"]を使って cd["prop"]の値を直接与えることができる.
  • 次は,特性"prop"の可能な値である.
  • "Design"コントローラ設計のタイプ
    "DesignModel"設計に使用されるモデル
    "DiscreteTimeClosedLoopPoles""DiscreteTimeClosedLoopSystem"の極
    "DiscreteTimeClosedLoopSystem"dcsys
    {"DiscreteTimeClosedLoopSystem",cspec}離散時間閉ループ系を統合するかどうか
    "DiscreteTimeControllerModel"dcm
    "DiscreteTimeDesignModel"近似された離散時間モデル dsys
    "DiscreteTimeOpenLoopPoles"dsys の極
    "DiscreteTimeWeights"近似された費用の重み ϕ, ρ, π
    "FeedbackGains"ゲイン行列 κ またはそれに相当するもの
    "DiscreteTimeFeedbackGainsModel"dgm または {dgm1,dgm2}
    "FeedbackInputs"フィードバックに使われる sys の入力 uf
    "InputModel"入力モデル sys
    "InputCount"sys の入力 u の数
    "OpenLoopPoles""DesignModel"の極
    "OutputCount"sys の出力 y の数
    "SamplingPeriod"サンプリング period τ
    "StateCount"sys の状態 x の数
    "TrackedOutputs"追跡された sys の出力 ytの数
  • 次は, cspec の可能なキーである.
  • "InputModel"csys の入力モデル
    "Merge"csys を統合するどうか
    "ModelName"csys の名前
  • 次は,近似離散時間調整器のレイアウトの線図である.
  • 次は,近似離散時間追跡器のレイアウトの線図である.

例題

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  (4)

フィードバック入力 uf,外因性入力 ueである系の指定 sspec

調整器重みの集合とサンプリング時間:

離散時間LQ調整器ゲイン:

フィードバック入力が u の非線形系:

調整器重みの集合とサンプリング時間:

離散時間調整器ゲイン:

出力を追跡すべき離散時間系:

重みの集合とサンプリング時間:

離散時間ゲイン:

不安定な系:

調整器重みの集合とサンプリング時間:

コントローラデータオブジェクト:

開ループ極と離散時間閉ループ極は特性として入手可能である:

不安定な開ループ極は s 平面の右半分にある:

安定した閉ループ極は z 平面の単位円内にある:

スコープ  (26)

基本的な用法  (7)

系の離散時間状態フィードバックゲインを計算する:

離散時間近似は安定している:

離散時間閉ループ系はより安定している:

不安定な系のゲイン:

離散時間近似もまた不安定である:

離散時間閉ループ系は安定している:

さまざまなサンプリング周期についてのゲイン:

離散時間近似:

離散時間閉ループ系:

多状態系について状態フィードバックゲインを計算する:

結果の次元は入力数と系の次数に対応する:

多入力系のゲインを計算する:

フィードバック入力の重みを逆にする:

重みをより高くしてもノルムが小さくなる訳ではない:

さらに重みを増して相対的な信号サイズを小さくする:

費用関数が状態とフィードバック入力のクロスカップリングを含む場合のゲインを計算する:

非線形系のゲインを計算する:

近似線形系についてのコントローラ:

工場のモデル  (5)

追跡  (3)

離散時間追跡コントローラを設計する:

閉ループ系は参照信号を追跡する:

複数の出力を追跡する:

閉ループ系は異なる2つの参照信号を追跡する:

コントローラ努力を計算する:

コントローラモデル:

参照信号:

状態応答:

出力応答:

コントローラ入力は参照入力,出力,状態応答から計算される:

コントローラ努力:

特性  (11)

DiscreteLQRegulatorGainsは,デフォルトで,離散時間フィードバックゲインを返す:

一般に,フィードバックの状態はアフィンである:

κ0+κ1.x の形式をしている.ただし,κ0κ1は定数である:

フィードバックゲインの系のモデル:

フィードバックゲインのアフィンの系のモデル:

離散時間閉ループ系:

線形化された閉ループ系の極:

状態の重みを増すと系がより安定する:

フィードバック入力の重みを増すと,系の安定性が下がる:

フィードバックゲインの計算に使われるモデル:

設計モデルの極:

フィードバックゲインの計算に使われる離散時間近似モデル:

離散時間近似モデルの極:

離散時間近似の重み:

設計メソッド:

入力モデルに関連した特性:

コントローラデータオブジェクトを得る:

使用可能な全特性:

特性を指定する:

アプリケーション  (12)

機械系  (5)

非線形のバネでバネ質量ダンパー系の動きを調整する:

系のモデル:

外乱力 feに応答する台車の開ループ応答は調整されておらず,安定するまでに40秒ほどかかる:

系の指定:

コントローラ設計の制御重みの集合とサンプリング時間を指定する:

コントローラを計算する:

閉ループ系を入手する:

台車の動きは制御され,3秒ほどで安定する:

コントローラモデル:

制御努力:

バネ振子の揺れる動きを調整する:

系のモデル:

振子の動きは調整されていない:

系を指定する:

コントローラ設計のための制御重みの集合とサンプリング時間を指定する:

コントローラを計算する:

離散時間閉ループ系を得る:

揺れる動き θ だけが調整される:

系を完全に制御することはできない:

コントローラモデル:

制御努力:

いくつかの極だけがコントローラの影響を受ける:

回転振子の振動を減衰する:

系のモデル:

摂動に対する開ループ応答は振動する:

制御重みの集合とサンプリング時間を指定する:

離散時間LQRを計算する:

閉ループ系を入手する:

振動はコントローラによって減衰された:

離散時間コントローラモデル:

制御努力を評価する:

ボールボット(玉乗り)ロボットを垂直に保つ:

系のモデル:

コントローラがないと,ロボットは転倒する:

調整器重みとサンプリング時間の集合を指定する:

コントローラを計算する:

離散時間閉ループ系を得る:

初期外乱にもかかわらず,ロボットは垂直位置に戻る:

離散時間コントローラモデルを入手する:

制御努力を評価する:

追跡コントローラを使っておもちゃの汽車を駅に停車させる:

汽車のモデル:

機関車の位置 が変位すると,調整されていない振動が発生する:

これは,機関車の開ループ極が多少減衰されるためである:

区分関数としてモデル化された汽車のルート:

機関車の位置を追跡された出力として指定する:

制御重みの集合とサンプリング時間を指定する:

コントローラを計算する:

閉ループ系を入手する:

汽車はルートに従って3回停車する:

ルート上の機関車と車体の速度:

離散時間コントローラモデルを入手する:

コントローラ入力:

制御努力を評価する:

航空宇宙系  (3)

航空機のピッチを安定させる:

航空機の縦動力学のモデル:

航空機のピッチ δ はステップ入力に対して不安定である:

これは,s 平面の原点に極があるためである:

離散時間LQR制御器の設計のために制御重みの集合とサンプリング時間を指定する:

離散時間LQRコントローラを計算する:

離散時間閉ループ系を得る:

離散時間閉ループ系の極は単位円内にあるので安定する:

応答は安定している:

離散時間コントローラモデルを入手する:

コントローラ努力を評価する:

スラスタが故障した衛星の軌道を調整する:

衛星の軌道力学のモデル:

補正スラスタ入力がないと,状態の摂動によって衛星の軌道が逸れる:

接線スラスタが故障した場合は軌道が制御できるが,ラジアルスラスタが故障した場合は制御できない:

接線のスラスタだけを使って衛星を制御するように系の設定を行う:

制御重みの集合とサンプリング時間を指定する:

コントローラを計算する:

閉ループ系を入手する:

衛星の軌道は接線スラストだけを使って調整された:

離散時間コントローラモデルを入手する:

制御努力を評価する:

加速中のロケットの流体スロッシング外乱を抑制する:

流体スロッシングを揺れる紳士として近似するロケットのモデル:

スロッシングによって系は不安定になる:

8状態のうち6状態だけが制御可能なので,制御可能性行列は最大階数ではない:

制御できない状態ペアのインデックスを判定する:

対応する状態:

制御できない状態の3番目のペアを削除することで制御可能なモデルを入手する:

制御重みの集合とサンプリング時間:

離散時間LQRコントローラを計算する:

閉ループ系を入手する:

スロッシング外乱は抑制された:

コントローラモデル:

制御努力:

生物学系  (1)

人体におけるアルコール濃度を調整する:

胃腸と静脈の入力を備えた2コンパートメントモデル:

StateSpaceModelを使って系を線形化する:

介入しなければ,人体がアルコール濃度を調整するのに ほどかかる:

制御重みの集合とサンプリング時間を指定する:

調整器を計算する:

離散時間閉ループ系を得る:

アルコール濃度はより速く調整される:

離散時間コントローラモデルを入手する:

制御努力を評価する:

化学系  (1)

流加反応器のバイオマス濃度を制御する:

反応器の非線形モデル:

状態の摂動に対する調整されていない系の応答:

系を指定して出力 を追跡する:

制御重みの集合とサンプリング周期を指定する:

コントローラを計算する:

離散時間閉ループ系を得る:

一定のバイオマス濃度1.25を追跡して系のシミュレーションを行う:

コントローラモデルを入手する:

制御努力:

電気系  (1)

永久磁石同期モーター(PMSM)の外乱除去を改善する:

PMSMのモデル:

ステップ入力外乱が安定するまでに約 かかる:

制御系を指定する:

最大制御努力の24vについて,サンプリング周期と制御重みの集合を指定する:

コントローラを計算する:

閉ループ系を入手する:

閉ループ系がステップ入力外乱に安定するまでに5秒ほどかかる:

離散時間コントローラモデルを入手する:

制御努力は±24vの範囲内である:

海洋系  (1)

潜水艦の深度とピッチを制御する:

潜水艦のモデル:

コントローラがないと,潜水艦のピッチと深度は状態の外乱に対して不安定である:

深度 とピッチ を設定する.これは追跡される出力としての出力1および2である:

制御重みの集合とサンプリング周期を指定する:

離散時間LQRコントローラを計算する:

閉ループ系を入手する:

潜水艦は参照深度の10とピッチ角 (0)を追跡する:

コントローラモデル:

コントローラモデルへの入力:

制御努力:

特性と関係  (5)

DiscreteLQRegulatorGainsは,エミュレートされた離散時間系のゲインとして計算される:

連続時間モデルのための重みの集合とサンプリング周期:

エミュレートされた離散時間系:

エミュレートされた系の状態重み行列:

入力重み行列:

クロスカップリング重み行列:

エミュレートされた系と重みを使った離散LQゲイン:

DiscreteLQRegulatorGainsは同じ結果を与える:

離散時間系はサンプルデータの系の近似である:

重みの集合とサンプリング周期のためのコントローラデータ:

近似離散時間閉ループ系:

初期条件に対するその状態応答:

離散時間フィードバック法則:

初期条件についてサンプルデータの系の方程式:

サンプルデータの系の状態応答:

近似された離散応答とサンプルデータの応答を比較する:

サンプリング周期を下げるとサンプルされたデータの系がよりよく近似できる:

さまざまな の値についての離散時間閉ループ系とフィードバックゲイン:

初期条件に対する状態応答:

サンプルデータの系の状態応答:

サンプリング周期が短くなるにつれて,系の応答間の相違も小さくなる:

サンプリング周期を短くすると,サンプルデータの系の制御努力の近似がよりよくなる:

前の例からの離散系の状態応答:

前の例からのサンプルデータの系の状態応答:

コントローラモデル:

初期条件についての制御信号:

サンプルデータの系の制御努力:

サンプリング周期が短くなると,系の制御努力間の違いも小さくなる:

サンプリング周期を短くすると閉ループ極が単位円に近くなる,つまり不安定になる:

離散時間閉ループ系:

サンプリング周期が短くなると,系は不安定になる:

考えられる問題  (1)

安定化できない系の最適化調整器を計算することはできない:

不安定な極2が制御不可能なので,この系は安定かされていない:

Wolfram Research (2010), DiscreteLQRegulatorGains, Wolfram言語関数, https://reference.wolfram.com/language/ref/DiscreteLQRegulatorGains.html (2021年に更新).

テキスト

Wolfram Research (2010), DiscreteLQRegulatorGains, Wolfram言語関数, https://reference.wolfram.com/language/ref/DiscreteLQRegulatorGains.html (2021年に更新).

CMS

Wolfram Language. 2010. "DiscreteLQRegulatorGains." Wolfram Language & System Documentation Center. Wolfram Research. Last Modified 2021. https://reference.wolfram.com/language/ref/DiscreteLQRegulatorGains.html.

APA

Wolfram Language. (2010). DiscreteLQRegulatorGains. Wolfram Language & System Documentation Center. Retrieved from https://reference.wolfram.com/language/ref/DiscreteLQRegulatorGains.html

BibTeX

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BibLaTeX

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