Inverse

Inverse[m]

正方行列 m の逆行列を返す.

詳細とオプション

  • Inverseは,記号および数値行列で機能する.
  • 近似された実数,または複素数を含む行列については,与えられた入力に対して最も高い精度で逆行列が作成される.条件が合わない行列には警告が与えられる.
  • Inverse[m,Modulus->n]は,n を法とした逆行列を評価する.
  • Inverse[m,ZeroTest->test]は,行列の要素がゼロであるかどうかを判断するために test[m[[i,j]]]を評価する.この際,デフォルト設定はZeroTest->Automaticである.
  • Methodオプションが使える.厳密行列および記号行列の設定値に"CofactorExpansion""DivisionFreeRowReduction""OneStepRowReduction"がある.デフォルトの設定値はAutomaticで指定された行列によってこれらのメソッドを切り替える.

例題

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  (3)

2×2行列の逆行列:

行列を格子に入れる:

記号行列の逆行列:

スコープ  (14)

基本的な用法  (9)

機械精度の行列の逆行列を求める:

複素行列の逆行列:

厳密行列の逆行列:

任意精度行列の逆行列:

記号行列の逆行列:

記号行列の逆行列の確認には簡約が必要かもしれない:

大きい機械精度行列の逆行列は効率的である:

有限体上の行列の逆行列:

CenteredInterval行列の逆行列:

m のランダムな代表 mrep を求める:

minvmrep の逆を含むことを確認する:

TraditionalFormによる表示:

特殊行列  (5)

疎な行列の逆行列は通常の行列として返される:

結果をフォーマットする:

構造化行列の逆行列は,可能な場合は別の構造化行列として返される:

しかし,これは常に可能な訳ではない:

IdentityMatrixはそれ自身の逆行列である:

HilbertMatrixの逆行列:

いくつかのサイズの逆行列を可視化する:

次数の一変量多項式の行列の逆行列を計算する:

オプション  (2)

Modulus  (1)

5を法とする演算で行列の逆行列を計算する:

通常の演算を使った逆行列:

2つの結果を可視化する:

ZeroTest  (1)

自動のゼロ検定では次の行列が正則行列であることは検知できない:

問題は,右下の項についての機械精度のアンダーフローである:

この項は非常に小さいがゼロではない:

任精度計算のゼロ検定で行列の逆行列を得る:

アプリケーション  (10)

方程式を解く  (4)

方程式系, , を解く.まず,係数行列 と定数ベクトル を構築する:

TemplateBox[{a}, Inverse].b で与えられる:

もとの方程式系に代入して解を確かめる:

行列方程式 を解く:

方程式の両辺に TemplateBox[{m}, Inverse]を掛けると x=TemplateBox[{m}, Inverse].b になる:

LinearSolveを使って結果を確かめる:

数値系や特に疎な系については,LinearSolveの方が速いと考えられる:

行列方程式 を解く:

方程式の両辺を TemplateBox[{m}, Inverse]倍すると x=TemplateBox[{m}, Inverse].y になる:

解を方程式に代入して確かめる:

常微分方程式系 , , を解く.まず,右辺について係数行列 を構築する:

固有値と固有ベクトルを求める:

項が の指数である対角行列を構築する:

列が対応する固有ベクトルである行列を構築する:

3つの任意の初期値についての一般解は p.d.TemplateBox[{p}, Inverse].{TemplateBox[{1}, CTraditional],TemplateBox[{2}, CTraditional],TemplateBox[{3}, CTraditional]}である:

DSolveValueを使って解を確かめる:

基底/座標の変更  (6)

TemplateBox[{}, Reals]^3中の一般ベクトルをの線形結合として表す.まず,ベクトルが線形独立であることをベクトルのヌル空間が空であることで確認する:

列が基底ベクトルである行列 を形成する:

一般ベクトル の係数は TemplateBox[{p}, Inverse].v で与えられる:

は,事実,線形結合 に等しい:

基底についての座標を基底についての座標に変換する基底変換行列を求める:

列が 座標から標準座標への変換である行列

列が 座標から標準座標への変換である行列

その逆行列は標準座標から 座標に変換し直したものである:

したがって,TemplateBox[{q}, Inverse].p 座標から 座標への変換である:

標準形での表現が を基底とする で与えられる線形演算子 を表す:

列が座標 から標準座標への 変換である行列

その逆行列は標準座標から 座標への変換である:

したがって, 座標による の表現は以下で与えられる:

Inverseを使って m=p.d.TemplateBox[{p}, Inverse]のように行列を対角化することができる. の固有値と固有ベクトルを計算する:

固有値と列が固有ベクトルである行列 から対角行列 を構築する:

恒等行列 m=p.d.TemplateBox[{p}, Inverse]を確認する:

行列の任意の関数は f(m)=p.f(d).TemplateBox[{p}, Inverse]として計算できる.MatrixPowerを例に取る:

同様に,MatrixExpは自明で, の対角行列をベキ乗するだけでよい:

変換行列のInverseは逆操作のための行列を与える.例としてによる平行移動について考える:

この変換行列の逆行列は逆の動きによる変換を与える:

一般的なアフィン変換について考える:

逆変換を構築する:

2つの変換が互いに互いの逆の操作であることを確認する:

写像 f:x in TemplateBox[{}, Reals]^n->y in TemplateBox[{}, Reals]^nについて,逆写像 TemplateBox[{{f, ^, {(, {(, {-, 1}, )}, )}}, y}, Grad]のヤコビアンはTemplateBox[{{(, TemplateBox[{f, x}, Grad, SyntaxForm -> Del], )}}, Inverse]で与えられる.直交座標から球座標への 写像について考える:

におけるヤコビアンを計算する:

逆写像は球座標から直交座標への変換である:

逆関数を確かめる:

に対応する座標における逆写像のヤコビアンを計算する:

恒等式 TemplateBox[{{f, ^, {(, {(, {-, 1}, )}, )}}, y}, Grad]=TemplateBox[{{(, TemplateBox[{f, x}, Grad, SyntaxForm -> Del], )}}, Inverse]を確認する:

特性と関係  (13)

Inverse 行列 について a.TemplateBox[{a}, Inverse]=TemplateBox[{a}, Inverse].a=IdentityMatrix[n]の関係を満足する:

Inverseは関係TemplateBox[{{(, {a, ., b}, )}}, Inverse]=TemplateBox[{b}, Inverse].TemplateBox[{a}, Inverse]を満足する:

Inverseは関係TemplateBox[{{(, TemplateBox[{a}, Transpose], )}}, Inverse]=TemplateBox[{{(, TemplateBox[{a}, Inverse], )}}, Transpose]を満足する:

正方行列は,その行列式が非零のときかつそのときに限って逆行列を持つ:

さらに,逆行列TemplateBox[{TemplateBox[{a}, Inverse, SyntaxForm -> SuperscriptBox]}, Det]の行列式は1/(TemplateBox[{a}, Det])に等しい:

MatrixPower[m,-1]Inverse[m]に等しい:

逆行列 について,Inverse[a]Adjugate[a]/Det[a]に等しい:

Inverse[m]は,可逆の n×n 行列についてLinearSolve[m,IdentityMatrix[n]]に等しい:

直交行列の逆行列はTransposeで与えられる:

ユニタリ行列の逆行列はConjugateTransposeで与えられる:

行列とその逆行列は同じ対称性を持つ:

QuantityArrayとその逆配列は逆数単位を持つ:

逆行列 について,Inverse[a]PseudoInverse[a]は一致する:

PseudoInverseは特異行列および矩形行列にも拡張される:

可逆行列 について,Inverse[a]DrazinInverse[a]は一致する:

DrazinInverseは特異正方行列に拡張される:

考えられる問題  (3)

逆行列は存在しないかもしれない:

一般に,擬似逆行列は存在する:

矩形行列には完全逆行列は存在しない:

代りにPseudoInverseを使う:

悪条件の機械精度の数値行列の正確な逆行列は求められない:

厳密な結果:

任意精度の結果:

Wolfram Research (1988), Inverse, Wolfram言語関数, https://reference.wolfram.com/language/ref/Inverse.html (2024年に更新).

テキスト

Wolfram Research (1988), Inverse, Wolfram言語関数, https://reference.wolfram.com/language/ref/Inverse.html (2024年に更新).

CMS

Wolfram Language. 1988. "Inverse." Wolfram Language & System Documentation Center. Wolfram Research. Last Modified 2024. https://reference.wolfram.com/language/ref/Inverse.html.

APA

Wolfram Language. (1988). Inverse. Wolfram Language & System Documentation Center. Retrieved from https://reference.wolfram.com/language/ref/Inverse.html

BibTeX

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