AsymptoticGreater

AsymptoticGreater[f,g,xx*]

xx*のときに または となる条件を与える.

AsymptoticGreater[f,g,{x1,,xn}{,,}]

のときに または となる条件を与える.

詳細とオプション

  • 「漸近的により大きい」は,fg のlittle-omegaである,fg よりも程度が大きい,fg よりも速く大きくなる,fg を支配する等とも表現される.点 x*はコンテキストから推測されることが多い.
  • 「漸近的により大きい」は順序関係で,であるすべての定数について xx*の近くにあるときにTemplateBox[{{f, (, x, )}}, Abs]>=c TemplateBox[{{g, (, x, )}}, Abs]であることを意味する.
  • 点の近くの関数や級数の単純で厳密な下限を表すために,また,方程式の解や複雑な計算の単純で厳密な下限を表すためにしばしば使われる.
  • 有限極限点の x* および {,,}については以下のようになる.
  • AsymptoticGreater[f[x],g[x],xx*]すべての について,0<TemplateBox[{{x, -, {x, ^, *}}}, Abs]<delta(c,x^*)TemplateBox[{{f, (, x, )}}, Abs]>=c TemplateBox[{{g, (, x, )}}, Abs]を意味する が存在する
    AsymptoticGreater[f[x1,,xn],g[x1,,xn],{x1,,xn}{,,}]すべての について,0<TemplateBox[{{{, {{{x, _, 1}, -, {x, _, {(, 1, )}, ^, *}}, ,, ..., ,, {{x, _, n}, -, {x, _, {(, n, )}, ^, *}}}, }}}, Norm]<delta(epsilon,x^*)TemplateBox[{{f, (, {{x, _, 1}, ,, ..., ,, {x, _, n}}, )}}, Abs]>=c TemplateBox[{{g, (, {{x, _, 1}, ,, ..., ,, {x, _, n}}, )}}, Abs]を意味する が存在する
  • 無限極限点については以下のようになる.
  • AsymptoticGreater[f[x],g[x],x]すべての について,TemplateBox[{{f, (, x, )}}, Abs]>=c TemplateBox[{{g, (, x, )}}, Abs]を意味する が存在する
    AsymptoticGreater[f[x1,,xn],g[x1,,xn],{x1,,xn}{,,}]すべての について,TemplateBox[{{f, (, {{x, _, 1}, ,, ..., ,, {x, _, n}}, )}}, Abs]>=c TemplateBox[{{g, (, {{x, _, 1}, ,, ..., ,, {x, _, n}}, )}}, Abs]を意味する が存在する
  • g[x]x*付近で0の無限集合を持たない場合,AsymptoticGreater[f[x],g[x],xx*]Limit[Abs[f[x]/g[x]],xx*]のときかつそのときに限り存在する.
  • 次は,使用可能なオプションである.
  • Assumptions $Assumptionsパラメータについての仮定
    Direction Reals極限点に近付く方向
    GenerateConditions Automaticパラメータについての条件を生成する
    MethodAutomatic使用するメソッド
    PerformanceGoal "Quality"何を最適化するか
  • 次は,Directionの可能な設定である.
  • Reals または "TwoSided"両実数方向から
    "FromAbove" または -1上,つまりより大きい値から
    "FromBelow" または +1下,つまりより小さい値から
    Complexesすべての複素方向から
    Exp[ θ]方向
    {dir1,,dirn}変数 xiに方向 diriを使う
  • x*におけるDirectionExp[ θ]は,曲線の接線が極限点 x*に近付く方向を示す.
  • 次は,GenerateConditionsの可能な設定である.
  • Automatic一般的ではない条件のみ
    Trueすべての条件
    False条件なし
    None条件が必要な場合には未評価で返す
  • PerformanceGoalの可能な設定には,$PerformanceGoal"Quality""Speed"がある."Quality"設定のとき,AsymptoticGreaterはより多くの問題を解いたりより簡単な結果を与えたりすることが多いが,より多くの時間とメモリが必要になる可能性がある.

例題

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  (2)

のとき であることを検証する:

2つの関数を可視化する:

のとき であることを検証する:

2つの関数を可視化する:

スコープ  (9)

厳密には正ではない関数を比較する:

が原点付近でより急速に発散することを示す:

答は明示的なTrueまたはFalseではなく,ブール式かもしれない:

パラメータを含む関数を比較する場合は,結果についての条件が生成されることがある:

デフォルトで,関数の両側比較が行われる:

のより小さい値を比較する場合は,は実際に x^2 TemplateBox[{{x}}, UnitStepSeq]より大きい:

この関係は, のより大きい値については成り立たない:

2つの関数を可視化する:

Sqrtのような関数は,負の実数に沿って両方の実数方向で同じ関係があるかもしれない:

複素平面で上から近付く場合には,同じ関係が見られる:

しかし,複素平面で下から近付く場合は異なる結果になる:

これは,軸が交差するときにSqrtの虚部の符号が逆になるところで分枝切断されているためである:

したがって,この関係は,一般に,複素平面では成り立たない:

4つの実数および複素数の方向から近付く場合の関数の相対サイズを可視化する:

多変量関数を比較する:

2つの関数のノルムを可視化する:

多変量関数を無限大で比較する:

多変量関数を比較する際にパラメータを使用する:

オプション  (10)

Assumptions  (1)

Assumptionsを使ってパラメータについての条件を指定する:

仮定が異なると結果も異なるかもしれない:

Direction  (5)

下からの関係を判定する:

同様に:

上からの関係を判定する:

同様に:

区分ごとの不連続点での関係を判定する:

片方の方向でうまくいかないので,両方からもうまくいかない:

2関数とその割合を可視化する:

極における関係は近付く方向には無関係である:

分枝切断線における関係を判定する:

異なる象限から近付く際の,その関係を計算する:

第1象限から原点に近付く:

同様に:

第2象限から原点に近付く:

右半平面から原点に近付く:

下半平面から原点に近付く:

x=-TemplateBox[{y}, Abs] に沿った部分を除いて原点近くで大きくなる,関数の割合を可視化する:

GenerateConditions  (3)

条件を述べずに結果を返す:

この結果は n>0のときにのみ有効である:

結果がパラメータの値に依存するときは,未評価で返される:

デフォルトで,一意的な結果を返す条件が生成される:

デフォルトで,特殊な値でしか結果が無効にならない場合は,条件は生成されない:

GenerateConditions->Trueのときは,これらの一般的ではない条件も報告される:

PerformanceGoal  (1)

PerformanceGoalを使って潜在的に高価な計算を回避する:

デフォルト設定では,使用可能なすべての手法を使って結果を得ようとする:

アプリケーション  (18)

基本的なアプリケーション  (4)

0のときであることを示す:

これを記号的に示す:

関数を可視化する:

この関係は,すべての実数ベキに及ぶ:

分数ベキと負の数のベキでこの関数を可視化する:

のときであることを示す:

これを記号的に示す:

対数プロットでこの関係を可視化する:

この関係はすべての実数ベキに及ぶ:

分数ベキと負の数のベキでこの関数を可視化する:

0のとき であることを示す:

この関係は,TemplateBox[{{{x, ^, 2},  , {sin, (, {1, /, x}, )}}}, Abs]<=x^2という事実から推測される:

のとき であることを示す:

絶対誤差と相対誤差  (2)

関数 は,のときなら,小さい絶対誤差で のときに を近似する.のときに小さい絶対誤差でを近似することを示す:

のときに もまた小さい絶対誤差でを近似することを示す:

のとき,小さい絶対誤差でを近似することを示す:

のとき,小さい絶対誤差でを近似することを示す:

関数 は,のときに なら,のときに小さい相対誤差で を近似する.のとき小さい相対誤差でを近似することを示す:

のとき が小さい相対誤差でを近似することを示す:

しかし,先行する近似は小さい絶対誤差を持たない:

同様に,スターリング(Stirling)の公式の近似は のとき小さい相対誤差を持つ:

しかし,小さい絶対誤差ではない:

漸近近似  (6)

は関数であり,の近くにおける の近似であるとすると,において ならこの近似は漸近的である.言い換えるなら,剰余すなわち誤差 は近似より漸近的に小さくなる.における の漸近近似であることを示す:

における の漸近近似であることを示す:

における の漸近近似ではないことを示す:

スターリングの公式のときの の漸近近似であることを示す:

のときの TemplateBox[{x}, PrimePi]の漸近近似であることを示す:

Seriesは初等関数と特殊関数の漸近近似を生成する.例えば,における の次数-10の近似を生成する:

この級数が漸近的であることを示す:

0におけるCot[x]の漸近級数を求める:

Gamma[x]の級数が-1において漸近的であることを示す:

0における の漸近近似を求める:

近似される関数が近似点のすべての近傍で無限に何度も0に近付く場合は,漸近近似が微妙になるかもしれない.例として, 近くにおける TemplateBox[{1, x}, BesselJ]の漸近展開について考える:

ベッセル関数のすべての零点において近似が完全に0にはならないので,この近似は漸近的ではない:

c TemplateBox[{besselJ}, Abs]>=TemplateBox[{{{J, (, {1, ,, x}, )}, -, besselJ}}, Abs]は何度も に近付くにもかかわらず,無限に何度も無視される:

一方,決して0にならないハンケル関数 TemplateBox[{1, x}, HankelH1]の近似について考える:

この近似は漸近的である:

第2種ハンケル関数 TemplateBox[{1, x}, HankelH2]の近似も漸近的である:

TemplateBox[{1, x}, BesselJ]=1/2 (TemplateBox[{1, x}, HankelH1]+TemplateBox[{1, x}, HankelH2])なので,そのような近似2つの和であるこの近似はほぼ漸近的であると理解できる:

あるいは, 近くにおける1+TemplateBox[{1, x}, BesselJ]の漸近近似について考える:

これは,真に漸近的な近似である:

近似と関数の割合の極限は一貫して に近付く:

AsymptoticIntegrateを使って定積分の漸近近似を生成する.例えば,のときの の漸近近似を求め,厳密値と比較する:

より少ない項数の漸近近似を作る:

この近似は厳密積分および第1近似について漸近的である:

積分定数を考慮に入れる必要があるが,AsymptoticIntegrateを使って不定積分の漸近近似を生成する.のときのの近似について考える:

近似が漸近的であることを示す:

のときの の2つの異なる漸近近似を計算する:

比較すべき記号結果はないが,過程が漸近的であると示すことはできる:

AsymptoticDSolveValueを使って微分方程式の漸近近似を生成する:

比較すべき厳密結果はないが,過程が漸近的であると示すことはできる:

NDSolveValueを使って得た数値解の値と比較する:

漸近尺度  (2)

関数列は,において のときかつそのときに限り において漸近尺度である.関数の有限リストが漸近尺度であるかどうかを確かめる関数を書く:

整数ベキは において のときTemplateBox[{≻, "≻", {1, /, {(, {x, ^, 3}, )}}, {1, /, {(, {x, ^, 2}, )}}, {1, /, x}, 1, x, {x, ^, 2}, {x, ^, 3}}, RowWithSeparators]となる漸近尺度 を与える:

これらはにおいても漸近尺度を形成するが,順序は逆になる:

のベキは,のときTemplateBox[{≻, "≻", 1, {1, /, {(, {log, (, x, )}, )}}, {1, /, {(, {{log, ^, 2}, (, x, )}, )}}, {1, /, {(, {{log, ^, 3}, (, x, )}, )}}}, RowWithSeparators]の漸近尺度を形成する:

を使って,のときTemplateBox[{≻, "≻", 1, x, {{x, ^, 2},  , {log, (, x, )}}, {x, ^, 2}, {{x, ^, 3},  , {log, (, x, )}}, {x, ^, 3}, {{x, ^, 4},  , {log, (, x, )}}}, RowWithSeparators]の漸近尺度を形成する:

であれば のときであることを示す:

ある点 で漸近順序で関数をソートする関数を書く:

整数ベキ関数のランダムなリストを生成する:

でリストを漸近的にソートする:

同じリストをで漸近的にソートする:

計算の複雑性  (4)

単純なソートアルゴリズム(バブルソート,挿入ソート)は n 個のオブジェクトをソートするのに約 a n2ステップを要する.これに対し,最適化された一般的アルゴリズム(ヒープソート,マージソート)はソートを行うのに約 b n Log[n]のステップを要する.大量のオブジェクトに対しては,最適化されたアルゴリズムの方が常にソート時間が短くて済むことを示す:

ある種の特別なアルゴリズム(分布数え上げソート,基数ソート)は,考えられる入力についての情報が事前に分かっているので,c n 時間で実行することができる.使える場合には,これらの方が最適化アルゴリズムよりも速い:

3つの時間スケールの増大を可視化する:

バブルソートでは,隣接近傍が比較され,順序が狂っている場合には入れ替えられる.1回のパス(n-1 回の比較)の後で最大要素が末尾になる.その後このプロセスは,先頭の2つの要素のみが残るまで,残りの n-1個の要素に対して繰り返される.比較と入替えが c ステップだとすると,ソートのステップ総数は次のようになる:

多項式は二次の項だけで漸近的に近似される:

マージソートでは,要素のリストが2つに分割され,それぞれの半分がソートされてから,その2つの半分が結合される.であるから,ソート時間T[n]は中間を計算する一定の時間 b,各半分をソートする時間2T[n/2],2つの半分を結合するための要素数の倍数 a n の合計になる:

再帰方程式を解いて n 個の要素をソートする時間 t を求める:

この式は,式の最終項だけで漸近的に近似される:

巡回セールスマン問題(TSP)は 個の都市を繋ぐ最短経路を求めるものである.馬鹿正直なアルゴリズムは 通りの経路すべてを試そうとする.HeldKarpアルゴリズムは,それよりも効率よく約 ステップに短縮する.であるからHeldKarpアルゴリズムの方が速いことを示す:

どちらのアルゴリズムも巡回セールスマン問題の複雑性クラスは,時間で解ける問題のEXPTIMEと同じくらいであることを示している.HeldKarpアルゴリズムは,について を使うだけで十分である:

階乗については,のようにより高次の多項式を使う必要がある:

解の近似は 回で求まるので,巡回セールスマン問題の近似は多項式時間で可解な問題の複雑性クラスPに属する.どの多項式アルゴリズムも指数アルゴリズムよりも速い.つまりである:

特性と関係  (10)

AsymptoticGreaterは反射的ではない,つまり である:

推移関係ではある.つまり,かつ なら ということを意味する:

そして,反対称関係である.つまり,なら ということになる:

Limit[Abs[f[x]/g[x]],xx0]のときかつそのときに限りAsymptoticGreater[f[x],g[x],xx0]である:

特に,極限が存在しなければならない:

なら である:

なら である:

なら である:

なら である:

なら である:

かつ なら である:

かつ なら である:

かつ なら である:

Wolfram Research (2018), AsymptoticGreater, Wolfram言語関数, https://reference.wolfram.com/language/ref/AsymptoticGreater.html.

テキスト

Wolfram Research (2018), AsymptoticGreater, Wolfram言語関数, https://reference.wolfram.com/language/ref/AsymptoticGreater.html.

CMS

Wolfram Language. 2018. "AsymptoticGreater." Wolfram Language & System Documentation Center. Wolfram Research. https://reference.wolfram.com/language/ref/AsymptoticGreater.html.

APA

Wolfram Language. (2018). AsymptoticGreater. Wolfram Language & System Documentation Center. Retrieved from https://reference.wolfram.com/language/ref/AsymptoticGreater.html

BibTeX

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