EstimatorRegulator

EstimatorRegulator[sspec,{l,κ}]

系の指定 sspec について,推定器ゲイン l と調整器ゲイン κ を持つ出力フィードバックコントローラを与える.

EstimatorRegulator[,"prop"]

特性"prop"の値を与える.

詳細とオプション

  • EstimatorRegulatorは,観測器コントローラ,あるいは推定器コントローラとしても知られている.
  • EstimatorRegulatorは,推定器と調整コントローラまたは追跡コントローラからなる制御系の組立てに使われる.
  • 調整コントローラは系を乱そうとする外乱 があっても系を平衡状態に保とうとする.典型的な例として,直立した倒立振子や水平飛行中の航空機等が挙げられる.
  • 調整コントローラは の形の制御規則で与えられる.ただし, は計算されたゲイン行列である.
  • 追跡コントローラは,それを妨害する外乱 があっても参照信号を追跡しようとする.典型的な例として,自動車のクルーズコントロールシステムやロボットの経路追跡が挙げられる.
  • 追跡コントローラは の形の制御規則で与えられる.ただし,は系 sysのダイナミクスを含む拡張系のための計算されたゲイン行列である.
  • 系の指定 sspec は,系 sysufueytyrefの指定である.
  • 系の指定 sspec は以下の形でよい.
  • StateSpaceModel[]線形制御入力と線形状態
    AffineStateSpaceModel[]線形制御入力と非線形状態
    NonlinearStateSpaceModel[]非線形制御入力と非線形状態
    SystemModel[]一般的な系のモデル
    <||>Associationとして与えられる詳細な系の指定
  • 系の指定の詳細は次のキーを持つことができる.
  • "InputModel"sysモデルの任意のもの
    "FeedbackInputs"Allフィードバック入力 uf
    "ExogenousInputs"None外因性入力 ue
    "MeasuredOutputs"All測定された出力 ym
    "TrackedOutputs"None追跡された出力 yt
  • 入力と出力は以下の形でよい.
  • {num1,,numn}StateSpaceModelAffineStateSpaceModelNonlinearStateSpaceModelで使われる番号付きの入力または出力 numi
    {name1,,namen}SystemModelで使われる名前付きの入力または出力 namei
    Allすべての入力または出力を使う
    None入力または出力は使わない
  • 推定器ゲイン l は,EstimatorGainsLQEstimatorGainsDiscreteLQEstimatorGainsを使って計算できる.
  • フィードバックゲイン κ は,StateFeedbackGainsLQRegulatorGainsLQOutputRegulatorGainsDiscreteLQRegulatorGainsを使って計算できる.
  • EstimatorRegulator[,"Data"]は,cd["prop"]の形で追加的な特性の抽出に使えるSystemsModelControllerDataオブジェクト cd を返す.
  • EstimatorRegulator[,"prop"]を使って cd["prop"]の値を直接得ることができる.
  • 次は,特性"prop"の可能な値である.
  • "ClosedLoopPoles""ClosedLoopSystem"の極
    "ClosedLoopSystem"csys
    {"ClosedLoopSystem",cspec}閉ループ系の形に対する詳細な制御
    "ControllerModel", ue, ymを入力として,ufを出力として持つモデル cm
    "Design"コントローラ設計のタイプ
    "DesignModel"設計に使われるモデル
    "EstimatorGains"ゲイン行列
    "EstimatorRegulatorModel"モデル erm
    "ExogenousInputs"sys の決定論的入力と非フィードバック入力 ue
    "FeedbackGains"ゲイン行列 κ またはそれに相当するもの
    "FeedbackGainsModel"モデル gm または{gm1,gm2}
    "FeedbackInputs"フィードバックに使われる sys の入力 uf
    "InputModel"入力モデル sys
    "InputCount"sys の入力 u の数
    "MeasuredOutputs"sys の測定された出力 ym
    "OpenLoopPoles"テイラー(Taylor)線形化 sys の極
    "OutputCount"sys の出力 y の数
    "SamplingPeriod"sys のサンプリング周期
    "StateEstimatorModel"モデル sem
    "StateOutputEstimatorModel"モデル soem
    "StateCount"sys の状態 x の数
    "TrackedOutputs"追跡された sys の出力 yt
  • 次は,cspec の可能なキーである.
  • "InputModel"icsys の入力モデル
    "Merge"csys をマージするかどうか
    "ModelName"csys の名前
    "NoisyOutputs"ノイズがある ymの部分集合
  • 次は,調整器のレイアウトの線図である.
  • 次は,追跡器のレイアウトの線図である.

例題

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  (8)

EstimatorRegulatorを構築する:

離散時間モデルのための推定器調整器:

非線形系のための推定器調整器:

指定された測定値とフィードバック入力がある推定器調整器:

最適ゲインの推定器調整器:

最適調整器ゲインの集合:

最適推定器ゲインの集合:

推定器調整器:

コントローラデータオブジェクト:

追加的な特性を得る:

追跡問題のための推定器調整器:

ゲインを計算する:

推定器調整器:

不安定な系を安定させる:

推定器調整器のゲインを計算する:

推定器調整器:

開ループ極と閉ループ極:

スコープ  (30)

基本的な用法  (8)

1つのフィードバック入力と1つの測定値を持つ系:

フィードバック入力と測定値は推定器調整器への入力である:

1つのノイズがある入力も持つ系:

ノイズがある入力は推定器調整器の入力ではない:

1つのフィードバックと1つの外因性入力がある系:

外因性入力は推定器調整器への入力である:

出力のいくつかしか測定されない系:

フィードバック入力と測定された出力だけが推定器調整器にフィードされる:

極配置を使ってゲインを計算する:

推定器調整器を組み立てる:

ゲインを最適に計算する:

推定器調整器を組み立てる:

フィードバックゲインだけを最適に計算する:

極配置を使って推定器ゲインを計算する:

推定器調整器を組み立てる:

フィードバックデータオブジェクトも指定できる:

推定器ゲインの集合:

推定器調整器を組み立てる:

工場モデル  (5)

連続時間StateSpaceModel

ゲイン集合のためのコントローラ:

閉ループ系:

自動的に計算する:

閉ループ系の極:

離散時間StateSpaceModel

ゲインの集合のためのコントローラ:

その閉ループ系:

および極:

ディスクリプタStateSpaceModel

コントローラは同じディスクリプタ行列を持つ:

その閉ループ系:

および極:

ゲイン集合のあるAffineStateSpaceModel

そのコントローラ:

閉ループ系:

その極はテイラー線形化モデルのそれである:

集合またはゲインがあるNonlinearStateSpaceModel

そのコントローラ:

閉ループ系:

その極はテイラー線形化系のそれである:

特性  (9)

デフォルトで,EstimatorRegulatorは推定器と調整器からなるコントローラを返す:

コントローラは特性として入手することもできる:

推定器モデル:

フィードバックゲインモデル:

閉ループ系:

閉ループ極:

推定器調整器フィードバックモデル:

このモデルでは,フィードバック入力は直接フィードバックされる:

推定器と調整器をフィードバックで組み立てて前と同じ結果を得る:

閉ループ系と計算されたものとは入力行列だけが異なる:

設計方法:

入力モデルとゲインに関連がある特性:

コントローラデータオブジェクトを得る:

使用可能な特性のリスト:

特定の特性の値:

追跡  (5)

追跡コントローラを設計する:

まず,状態フィードバックのコントローラと推定器を設計する:

追跡コントローラを組み立てる:

閉ループ系は参照信号を追跡する:

離散時間系の追跡コントローラを設計する:

まず,状態フィートバックのコントローラと推定器を設計する:

追跡コントローラを組み立てる:

閉ループ系は参照信号を追跡する:

複数の出力を追跡する:

最適状態フィードバックコントローラを設計する:

極配置を使った推定器:

追跡コントローラを組み立てる:

閉ループ系は異なる2つの参照信号を追跡する:

コントローラ努力を計算する:

最適状態フィードバックコントローラを設計する:

推定器:

追跡コントローラを組み立てる:

コントローラモデル:

コントローラ入力:

コントローラ努力:

希望する参照信号を追跡する:

参照信号の次数は2である:

正弦波:

参照を正弦波の和として設定する:

一次の系の1つの出力を追跡するコントローラを設計する:

状態重み行列 qq の次元は k+m q である:

調整器コントローラを計算する:

推定器調整器を組み立てる:

閉ループ系は参照を追跡する:

閉ループ系  (3)

非線形モデルに基づいた閉ループ系:

線形設計に基づいた閉ループ系を計算する:

2つの設計の応答を比較する:

工場の閉ループ系をEstimatorRegulatorで組み立てる:

マージしていない閉ループ系:

マージされると前と同じ結果を与えるようになる:

閉ループ系を明示的にマージする:

希望の名前の閉ループ系を作る:

閉ループ系は指定された名前である:

この名前を直接使って他の関数で閉ループ系を指定することができる:

シミュレーションの結果:

アプリケーション  (11)

力学系  (3)

部分的に制御可能な二重台車バネ系のコントローラを設計する:

系のモデル:

この系は制御できない:

制御可能な部分系を入手する:

開ループ系の応答:

最適フィードバックゲインの集合を計算する:

推定器ゲインの集合も計算する:

推定器調整器を組み立てる:

閉ループ系を入手する:

質量の水平位置は制御される:

しかし,の垂直位置は制御されない:

コントローラモデルを入手する:

コントローラ努力:

3つの質量系の振動を減衰させる:

系のモデル:

開ループ応答は激しく振動している:

最適調整器ゲイン集合を計算する:

推定器ゲイン集合も計算する:

推定器調整器を組み立てる:

閉ループ系を入手する:

振動はフィードバックコントローラによって抑制される:

コントローラモデルを入手する:

コントローラ努力:

結合振子の振動を減衰する:

系のモデル:

減衰されていない開ループ応答:

推定器ゲイン集合を計算する:

最適ゲイン集合を計算する:

推定器調整器を組み立てる:

閉ループ系を入手する:

振子の振動は減衰された:

コントローラモデルを入手する:

コントローラ努力:

航空宇宙系  (3)

平均運動 ω の円軌道の近くで宇宙船の軌道を安定させる:

系のモデル:

サンプリング時間 で系を離散化する:

衛星軌道は状態の摂動に対して制御されていない:

調整器ゲイン集合を計算する:

推定器ゲイン集合も計算する:

推定器調整器を組み立てる:

閉ループ系を入手する:

衛星の起動は安定している:

コントローラモデルを入手する:

コントローラ努力:

ヘリコプターを安定させる:

系のモデル:

これは不安定である:

調整器ゲイン集合を計算する:

推定器ゲイン集合も計算する:

推定器調整器を組み立てる:

閉ループ系を入手する:

ヘリコプターは安定している:

コントローラ努力:

クワッドコプタードローンの高度を制御する:

ドローンのモデル:

入力がないとドローンは自然落下する:

vの最大モーター電圧を考慮したLQ調整器の重みの集合:

最適調整器を計算する:

推定器ゲインの集合も計算する:

推定器調整器を組み立てる:

閉ループ系を入手する:

ドローンは基準高度を追跡する:

コントローラモデルを入手する:

コントローラ入力:

コントローラ努力はボルトを超えない:

生物系  (1)

人体の血糖値を調整する:

系のバーグマン(Bergman)モデル:

この系は低速で極は 軸近くにある:

したがって,開ループ系のグルコースレベルが落ち着くまでには時間がかかる:

外因性インスリン注入速度をフィードバック入力として設定し,一連の最適ゲインを計算する:

推定器ゲインの集合も計算する:

推定器調整器を組み立てる:

閉ループ系を入手する:

血糖値のレベルははるかに速く落ち着く:

コンローラモデルを入手する:

制御努力:

化学系  (2)

等温定容発酵槽でバイオマス濃度を調整する:

発酵槽のモデル:

調整されていない系のバイオマス濃度:

調整器ゲインの集合を計算する:

推定器ゲインの集合を計算する:

推定器調整器を組み立てる:

閉ループ系:

バイオマス濃度は調整されている:

制御努力:

混合タンク過程の応答を改善する:

系のモデル:

出力応答が安定するまでに かかる:

系の高速モードと低速モードは制御可能である:

状態フィードバックゲインの集合を計算する:

推定器ゲインの集合を計算する:

推定器調整器:

閉ループ系を入手する:

閉ループ系の応答が安定するまでには しかかからない:

コントローラモデルを入手する:

制御努力:

電気系  (2)

降圧コンバータによって駆動されているDCモーターを調整する:

系のモデル:

この系は虚軸近くに極を持つ:

したがって,初期摂動に対する系の応答は遅い:

調整器ゲイン集合を計算する:

推定器ゲイン集合も計算する:

推定器調整器を組み立てる:

閉ループ系を入手する:

閉ループ応答はより速い:

コントローラモデルを入手する:

制御努力:

電力系の端子電圧の応答を減衰させる:

系のモデル:

この系には2つの軽く減衰した極がある:

開ループ応答は,したがって,非常に振動している:

調整器ゲイン集合を計算する:

推定器ゲイン集合も計算する:

推定器調整器を組み立てる:

閉ループ系を入手する:

同期マシンにおける摂動に対する閉ループ応答は減衰されており,速い:

コントローラモデルを計算する:

制御努力:

特性と関係  (7)

閉ループ極は,推定器および状態フィードバック設計のものである:

推定器設計の極:

状態フィードバック設計の極:

StateFeedbackGainsおよびEstimatorGainsからのゲインを使って組み立てられた推定器調整器:

推定器ゲイン集合:

フィードバックゲイン集合:

推定器調整器はゲインまたはコントローラデータオブジェクトを使って組み立てられる:

LQRegulatorGainsおよびEstimatorGainsからのゲインを使って組み立てられた推定器調整器:

推定器ゲイン集合:

最適フィードバックゲイン集合:

推定器調整器はゲインまたはコントローラデータオブジェクトを使って組み立てられる:

DiscreteLQRegulatorGainsおよびDiscreteLQEstimatorGainsからのゲインを使って組み立てられた推定器調整器:

最適離散時間推定器ゲイン集合:

最適離散時間フィードバックゲイン集合:

推定器調整器:

LQGRegulatorEstimatorRegulatorを使って組み立てられる:

状態フィードバックゲイン:

推定器ゲイン:

LQG調整器:

両者は同じである:

安定化可能な系の制御不可能な極は推定器調整器の影響を受けない:

安定した極は制御できない:

推定器ゲイン集合:

調整器ゲイン集合:

閉ループ系の極:

調整器の極:

制御できない極は変更されない:

推定器ゲインの結果がより大きいと,応答は速くなるがノイズが多くなる:

状態フィードバックゲイン集合:

増加する推定器ゲイン集合:

閉ループ系:

ノイズ信号の測定値:

閉ループ系の応答:

推定器ゲインが増加するにつれて応答は速くなるがノイズの影響も顕著になる:

推定器ゲインのノルムと出力応答のプロット:

Wolfram Research (2010), EstimatorRegulator, Wolfram言語関数, https://reference.wolfram.com/language/ref/EstimatorRegulator.html (2021年に更新).

テキスト

Wolfram Research (2010), EstimatorRegulator, Wolfram言語関数, https://reference.wolfram.com/language/ref/EstimatorRegulator.html (2021年に更新).

CMS

Wolfram Language. 2010. "EstimatorRegulator." Wolfram Language & System Documentation Center. Wolfram Research. Last Modified 2021. https://reference.wolfram.com/language/ref/EstimatorRegulator.html.

APA

Wolfram Language. (2010). EstimatorRegulator. Wolfram Language & System Documentation Center. Retrieved from https://reference.wolfram.com/language/ref/EstimatorRegulator.html

BibTeX

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