FeedbackLinearize

FeedbackLinearize[asys]

状態変換およびフィードバックでAffineStateSpaceModel asys に入出力線形化を用いる.

FeedbackLinearize[asys,{z,v}]

新たな状態 z および新たな制御入力 v を指定する.

FeedbackLinearize[asys,{z,v},"prop"]

特性"prop"を計算する.

詳細とオプション

  • FeedbackLinearizeは,厳密線形化としても知られている.
  • FeedbackLinearizeは,線形系 lsys についての線形制御設計の手法を使って非線形系 asys が制御できるように,非線形系 asys から線形系 lsys を構築する.
  • FeedbackLinearizeLinearizingTransformationDataオブジェクトを返す.このオブジェクトは,フィードバック線形化に基づいた分析と設計に必要な特性を抽出するために使うことができる
  • 変換された系 tsys は,線形系 lsys からなり,残差系 rsys が含まれることもある.この残差系では,内部ダイナミクスは安定でなければならず,そうでなければ可観測ではない.
  • 変換された系に関連した特性
  • "LinearSystem"系のモデル lsys
    "ResidualSystem"系のモデル rsys
    "TransformedSystem"系のモデル tsys
  • lsys についての安定化制御器 cs を設計することで,残差系 rsys が安定であれば結果の閉ループ系も安定する.
  • もとの非線形系 asys についての制御器を配備するためには,制御器 cs を変換してもとの変数を使う必要がある.
  • 制御器および推定器のもとの座標への変換に関連する特性
  • {"OriginalSystemController",cs}もとの座標の制御器 cs
    {"OriginalSystemEstimator",es} および についての推定器
    {"ClosedLoopSystem",cs}もとの座標での閉ループ系
    {"OriginalSystemFullController",cs}もとの座標での系のモデル cs
  • 制御器,推定器等の別のシミュレーションや実装を配備するために,フィードバック線形化についてのより詳細な特性を使うことができる.
  • asys は,フィードバック補償器,前補償器,後補償器に接続されており,修正された系 を与える.ただし, は修正入力, からなる状態ベクトル(補償器状態が追加されることがある), は修正出力である.
  • フィードバック補償器は,基本的に で与えられる との変換である.ただし,は分離行列である.
  • 補償器の特性
  • "FeedbackCompensator" から の系のモデル
    "InverseFeedbackCompensator" から の系のモデル
    "InverseFeedbackTransformation"規則 のリスト
    "DecouplingMatrix"行列
    "PreCompensator" から の系のモデル
    "PostCompensator" から の系のモデル
  • 明示的な線形系 lsys および可能な残差系 rsys を得るためには,状態変換 を行う必要がある.
  • 状態変換およびゼロダイナミクスに関連する特性
  • "InverseStateTransformation"規則 のリスト
    "ZeroDynamicsSystem"系のモデル
    "ZeroDynamicsManifold"rsys 状態がそれについて進化した多様体
  • FeedbackLinearizeは,次の設定のMethodオプションを取る.
  • Automatic自動的にメソッドを決定する(デフォルト)
    "Identity"恒等変換を伴うアイデンティティフィードバックを適用する
    "Burnovsky"Burnovsky形の lsys を返す

例題

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  (1)

フィードバック変換および非線形変換を使って系を厳密に線形化する:

結果の線形系を使って,系の閉ループ動作を設計する:

結果の閉ループ系のシミュレーションを行う:

スコープ  (21)

基本的な用法  (5)

線形化された系を得る:

線形系を使って制御器を設計する:

閉ループ系:

単位ステップ入力に対する応答のシミュレーションを行う:

残差系を得る:

残差系の固有値を計算する:

新たな状態とフィードバック変数を明示的に指定する:

指定された変数による結果:

特性を直接得る:

複数の特性を直接得る:

変換された系の特性  (1)

変換された系には2つの部分系がある:

変換された系全体:

これは lsys および rsys から組み立てることもできる:

制御器と推定器の特性  (5)

非線形状態フィードバック制御器 を求める:

厳密な線形化系を使って設計された制御器:

もとの系についての制御器 を得る:

非線形状態推定器を求める:

厳密に線形化された系についての推定器ゲインを計算する:

もとの系についての推定器を得る:

推定された状態の軌跡をプロットする:

実際の状態軌跡と推定状態軌跡を比較する:

制御された閉ループ系を求める:

線形化された系を使って計算されたフィードバックゲイン:

閉ループ系を得る:

閉ループ系のシミュレーションを行う:

動的制御器を使った閉ループ系:

線形系:

線形の制御器および推定器の設計:

もとの系についての制御器:

閉ループ系:

もとの系についての制御器の全体:

線形化された系を使って計算されたフィードバックゲイン:

もとの系についての制御器の全体:

制御器全体についての入力は参照入力と状態フィードバックである:

系に対する制御入力をプロットする:

補償器の特性  (5)

フィードバック補償器:

補償された系は,独立の単一入力単一出力ループからなる:

第1出力は第1入力の影響のみを受ける:

第2出力は第2入力の影響のみを受ける:

フィードバック補償器の他の形:

逆フィードバック補償器の系のモデル:

変換規則のリストとしての逆フィードバック補償器:

分離行列:

この行列は,任意の制御設計が有効になるためには可逆でなければならない:

逆フィードバック変換から分離行列を得る:

可能であれば,分離行列を非特異行列にするために,前補償器が計算される:

系と直列の前補償器は,相対次数のよく定義されたベクトルになる:

もとの系だけの分離行列は特異行列である:

可能であれば,スカラー系について後補償器が計算される:

後補償器があると,系は厳密にフィードバック線形化される:

後補償器は系の出力の組合せである:

出力が異なると線形系も異なる:

ゼロダイナミクス  (5)

ゼロダイナミクス系:

これは,残差系からすべての入力を削除して得ることもできる:

ゼロダイナミクス多様体:

これを,逆状態変換から計算する:

残差ダイナミクス rsys がない系:

残差ダイナミクスがないので,線形制御設計を使うことができる:

閉ループ系についてのステップ応答のシミュレーションを行う:

安定した残差ダイナミクスがある系:

残差ダイナミクスは安定しているので,フィードバック設計に基づいた線形法が有効である:

線形フィードバック設計を使ってフィードバックの法則を求める:

系のシミュレーションを行う:

不安定な残差ダイナミクス rsys のある系:

固有値には正の実部があるので,rsys は不安定である:

このような非最小位相系に対しては,線形手法に基づいた設計は有効ではない:

設計されたフィードバックは,本質的に行儀の悪い系を安定化させることはできない:

オプション  (2)

Method  (2)

線形系については,デフォルトで,恒等変換とアイデンティティフィードバックが使われる:

Burnovsky形は隠れモードを残差系に移動する:

非線形系については,デフォルトで,結果はBurnovsky形になる:

残差ダイナミクスから入力を切り離すことができるかもしれない:

アプリケーション  (8)

電気機械系  (2)

厳密線形化を使って磁気浮上系を安定させる制御器を設計し,近似線形化による設計と比較する:

アフィンモデルは,支配方程式から直接得ることができる:

フィードバックのない系は不安定である.ここでは初期値{0.2,0.,0.1}を使う:

これには残差ダイナミクスがないので,完全にフィードバック線形化が可能である:

線形系に基づいた制御器設計:

もとの状態変数を使った閉ループ系:

初期値{0.3,0.,0.31305}で系のシミュレーションを行う:

近似線形系に基づいた設計:

線形化に基づいた制御器による閉ループ系:

近似線形化に基づいた制御器による系のシミュレーション:

フィードバック線形化に基づいた設計の方によりよく応答する:

2個の直流ホイールモーターへの電圧を入力として使い,二輪倒立振子(例:セグウェイ)のための安定制御器を求める:

状態{θ,θ',ψ,ψ',ϕ,ϕ'}の系のAffineStateSpaceModel

系にフィードバック線形化を用いる:

ゼロダイナミクスには純粋な振動運動がある:

線形化された部分系を使って制御器を設計する:

閉ループ系の状態応答を計算する:

このプロットは,振動が振子のピッチになっていることを示す:

2個の車輪は定常状態で静止している:

振子のヨー運動も同様である:

機械系  (2)

柔軟構造の振動制御器を設計し,費やされる制御努力を計算する.減衰がない柔軟構造の2モードモデル:»

2つのモード:

モデルは完全にフィードバック線形化が可能である:

振動を押さえるために,線形系を使って制御器を設計する:

閉ループ系のモード:

制御努力:

軸流圧縮機の振動を押さえる制御器を設計する.スロットルを入力とした圧縮機のモデル:»

シミュレーションは高波のような振動の存在を示している:

系をフィードバック線形化する:

振動を押さえるために制御器を設計する:

閉ループ系:

シミュレーションは,振動が押さえられたことを示している:

化学系  (2)

等温連続撹拌槽反応過程を改善する制御器を設計する:»

状態,入力のアフィン系:

この系は完全にフィードバック線形化可能である:

線形化された系に基づいた制御器を設計する:

閉ループ系:

非平衡初期条件からの閉ループ系の応答:

非制御系の応答ははるかに悪い:

系への入力がランダムで正規分布に従っていると仮定する:

制御系からの応答:

開ループ系の応答:

ここでも,制御系の応答の方がよい:

室内冷却系の制御器を設計する:

空気と水の流れが入力であり,は状態である:

系をフィードバック線形化する:

ゼロダイナミクスは安定している:

線形化された系を使って制御器を計算する:

閉ループ系:

時間を単位とした時間方程式としてのさまざまな初期条件の室温:

外気温はフィードバックでオフセットされるので,閉ループ系には現れない:

系への制御入力は完全な制御器を使って決定できる:

暖かい日の外気温:

気温のプロット:

制御入力,これは空気と水の流れである:

制御入力をプロットする:

電気系  (2)

変化する負荷に依存する誘導電動機の速度応答を改善するための制御器を設計する:»

入力のモーターのモデル:

シミュレーションは,角速度に対するトルクの効果を示している:

q 軸に積分器があるモデル:

フィードバックが系を線形化する:

線形系についての状態フィードバック制御器を設計する:

閉ループ系:

さまざまなトルク値について,閉ループ系のシミュレーションを行う:

風力エネルギー変換系内の数量を調整する制御器を設計する:

そのフィードバック線形化:

ゼロダイナミクスは安定している:

1つの二重積分器と3つの単一積分器からなる線形系:

線形化と分離が行われた各ループで所望の閉ループ伝達関数を与える制御器:

閉ループ系にもまた,同じ線形特徴とゼロダイナミクスがある:

各入力に交替で適用された単位ステップに対する系の応答:

第1入力は第1出力のみに影響する:

閉ループは設計された線形系として動作する:

これは,他の3つの分離されたSISOループにも当て嵌まる:

特性と関係  (9)

線形系 lsys はBurnovsky形で与えられる:

Burnovsky形は積分器鎖からなる:

積分器鎖の長さは相対次数で決定される:

Burnovsky形は可制御かつ可観測である:

線形系の次数は相対次数の和である:

線形系 lsys の次数が4未満なので,残差ダイナミクスが存在する:

線形系のゼロダイナミクスのモードは,その伝達零点である:

出力ゼロ化における問題:

ゼロダイナミクスの軌道:

逆状態変換:

ゼロ出力を与える入力を計算する:

非零の入力に対しての出力は基本的にゼロである:

残差系 rsys を伴う線形系 lsys は変換された系を与える:

変換された系 tsys では lsysrsys が並列である:

これを線形化されたデータオブジェクトから直接得る:

フィードバック変換および座標変換を使って,もとの系から変換された系を得る:

これは,変換を適用し,次にフィードバックを適用することでも得られる:

変換された系からもとの系を再び得ることもできる:

変換された系:

静止系としてのフィードバック変換

tsys にフィードバックを,続いて状態変換を適用する:

tsys に状態変換を,続いてフィードバックを適用する:

どちらも asys と等価である:

ゼロダイナミクスは,すべての入力を削除することで残差ダイナミクスから得られる:

考えられる問題  (1)

非アイデンティティーフォードバックは,指定された推定器と実際の推定器の極の不一致の原因となる:

これによって推定器が不安定になることがある:

極指定を調整して安定した推定器を得る:

Wolfram Research (2014), FeedbackLinearize, Wolfram言語関数, https://reference.wolfram.com/language/ref/FeedbackLinearize.html.

テキスト

Wolfram Research (2014), FeedbackLinearize, Wolfram言語関数, https://reference.wolfram.com/language/ref/FeedbackLinearize.html.

CMS

Wolfram Language. 2014. "FeedbackLinearize." Wolfram Language & System Documentation Center. Wolfram Research. https://reference.wolfram.com/language/ref/FeedbackLinearize.html.

APA

Wolfram Language. (2014). FeedbackLinearize. Wolfram Language & System Documentation Center. Retrieved from https://reference.wolfram.com/language/ref/FeedbackLinearize.html

BibTeX

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