NakagamiDistribution
NakagamiDistribution[μ,ω]
形状母数 μ,広がり(spread)母数 ω の仲上分布を表す.
詳細
- NakagamiDistributionは仲上 分布としても知られている.
- 値 の確率密度は,では に比例し,では0である.
- NakagamiDistributionでは,μ と ω は任意の正の実数でよい.
- NakagamiDistributionでは,ω は任意の単位次元の数量でよく,μ は無次元量でよい. »
- NakagamiDistributionは,Mean,CDF,RandomVariate等の関数とともに使うことができる.
予備知識
- NakagamiDistribution[μ,ω]は,区間 上でサポートされ,正の実数 μ および ω(それぞれ「形状母数」および「広がり母数」と呼ばれる)でパラメータ化された連続統計分布を表す.これらの母数は,ともに,確率密度関数(PDF)の全体的な動作を決定する.仲上分布のPDFは,μ および ω の値によって,単一の「峰」(大域的最大値)を持つ単峰性あるいは潜在的な特異値が領域の下限境界に近付く単調減少等を含むさまざまな形の任意のものになる.加えて,PDFの裾部は,PDFが の大きい値について代数的というよりむしろ指数的に減少するという意味で「薄い」(この動作は分布のSurvivalFunctionを分析することで数量的に厳密にすることができる).仲上分布は,仲上の 分布あるいは仲上の 分布と呼ばれることがある.
- 仲上分布は1960年の仲上稔の論文によって,遠距離高周波数電波の伝搬における小規模フェージングの数学モデルとして提出された.それ以来,この分布は波関係さまざまに応用されてきた.仲上分布は,特に医用の超音波画像化,通信工学,気象学に関連する現象のモデル化に使われている.また,水文学,マルチメディア,地震学を含むその他のさまざまな分野でも使われている.
- RandomVariateを使って,仲上分布から,1つあるいは複数の機械精度あるいは任意精度(後者はWorkingPrecisionオプションを介す)の擬似乱数変量を得ることができる.Distributed[x,NakagamiDistribution[μ,ω]](より簡略な表記では xNakagamiDistribution[μ,ω])を使って,確率変数 x が仲上分布に従って分布していると宣言することができる.このような宣言は,Probability,NProbability,Expectation,NExpectation等の関数で使うことができる.
- 確率密度関数および累積分布関数は,PDF[NakagamiDistribution[μ,ω],x]およびCDF[NakagamiDistribution[μ,ω],x]を使って得られる.平均,中央値,分散,原点の周りのモーメント,中心モーメントは,それぞれMean,Median,Variance,Moment,CentralMomentを使って計算することができる.
- DistributionFitTestを使って,与えられたデータ集合が仲上分布と一致するかどうかを検定することが,EstimatedDistributionを使って与えられたデータからパラメトリック仲上分布を推定することが,FindDistributionParametersを使ってデータを仲上分布にフィットすることができる.ProbabilityPlotを使って記号仲上分布のCDFに対する与えられたデータのCDFのプロットを生成することが,QuantilePlotを使って記号仲上分布の変位値に対する与えられたデータの変位値のプロットを生成することができる.
- TransformedDistributionを使って変換された仲上分布を表すことが,CensoredDistributionを使って上限値と下限値の間で切り取られた値の分布を表すことが,TruncatedDistributionを使って上限値と下限値の間で切断された値の分布を表すことができる.CopulaDistributionを使って仲上分布を含む高次元分布を構築することが,ProductDistributionを使って仲上分布を含む独立成分分布の結合分布を計算することができる.
- NakagamiDistributionは,その他の多くの分布に関連している.仲上分布ができる前は,波のフェージングのモデル化にRayleighDistributionおよびRiceDistributionがよく使われていた.これら3つの分布は,定性的に非常に似ている.加えて,NakagamiDistributionは,NakagamiDistribution[1,2 σ^2]のCDFがRayleighDistribution[σ]のCDFと厳密に等しいのに対し,NakagamiDistribution[1/2, π/(2 θ^2)]のPDFは厳密にHalfNormalDistribution[θ]のそれであるという意味で,RayleighDistributionとHalfNormalDistributionの両方を一般化する.さらに,NakagamiDistribution[μ,ω]はGammaDistribution[μ,Sqrt[ω]/Sqrt[μ],2,0]と同じPDFを持ち,α→0の際にRiceDistribution[μ,α,Sqrt[ω/2]]の極限である.NakagamiDistributionはHoytDistribution,NormalDistribution,LogNormalDistributionとも関連している.
例題
すべて開くすべて閉じるスコープ (8)
サンプルの密度ヒストグラムを推定分布の確率密度関数と比較する:
母数でQuantityを一貫して使うとQuantityDistributionが返される:
アプリケーション (1)
フェージングチャネル理論では,NakagamiDistributionを使って陸上移動と屋内移動の多経路伝搬のフェージング振幅および電離層シンチレーションがある場合のフェージング振幅のモデル化が行われる.瞬間的な信号対ノイズ比の分布を求める.ただし,, は記号あたりのエネルギー, はホワイトノイズのスペクトル密度である:
SNRdistがGammaDistributionに従うことを示す:
特性と関係 (7)
RayleighDistributionは仲上分布の特殊なケースである:
HoytDistributionは仲上分布に関連している:
NakagamiDistributionはGammaDistributionの特殊ケースである:
HalfNormalDistributionはNakagamiDistributionの特殊ケースである:
テキスト
Wolfram Research (2010), NakagamiDistribution, Wolfram言語関数, https://reference.wolfram.com/language/ref/NakagamiDistribution.html (2016年に更新).
CMS
Wolfram Language. 2010. "NakagamiDistribution." Wolfram Language & System Documentation Center. Wolfram Research. Last Modified 2016. https://reference.wolfram.com/language/ref/NakagamiDistribution.html.
APA
Wolfram Language. (2010). NakagamiDistribution. Wolfram Language & System Documentation Center. Retrieved from https://reference.wolfram.com/language/ref/NakagamiDistribution.html