PeriodicBoundaryCondition
PeriodicBoundaryCondition[u[x1,…],pred,f]
NDSolveに与えられた領域の境界上のすべての xtargetについての周期境界条件 を表す.ただし,pred はTrueである.
PeriodicBoundaryCondition[a+b u[x1,…],pred,f]
一般化された周期境界条件 を表す.
詳細
- PeriodicBoundaryConditionは,微分方程式とともに用いられ,NDSolve等の関数における境界条件を説明する.
- NDSolve[eqns,{u1,u2,…},{x1,x2,…}∈Ω]では,xiは独立変数,ujは従属変数で,Ωは境界∂Ωを持つ領域である.
- 周期境界条件が指定されるかもしれない位置が青で示されている.示された位置は領域Ωの境界∂Ω上にあり,その位置の解と緑で示された位置の解との関係を指定する.関数 f は青の位置から緑の位置にマップする.
- 矩形領域Ωの特殊ケースでは,境界方程式 u[…,xi,min,…]u[…,xi,max,…]がPeriodicBoundaryCondition[u[…,xi,…],xixi,max,f]と等しいとみなされる.ただし,f=TranslationTransform[{…,0,xi,min-xi,max,0,…}]である. »
- 独立変数 x1,…における方程式と不等式の任意の論理結合を述語 pred に使うことができる.
- pred がTrueである∂Ωの一部の任意の点 xtargetについてのPeriodicBoundaryCondition[a+b u[x1,…],pred,f]では,xsource=f[xtarget]は pred がTrueではない∂Ω内の点でなければならない.
- NDSolveでPeriodicBoundaryCondition[a+b u[x1,…],pred,f]のとき,系の行列は解の値 u[xtarget]が pred がTrueであるΩの境界上のすべての xtargetについて u[xsource]==a+b u[xtarget]をほぼ満足するようなに変形される.
- についての陰的ノイマン零点条件を含む境界条件もまた,にマッピングされる.
- PeriodicBoundaryCondition[a+b u[x1,…],pred,f]では,a と b の両方が時間を含む任意の独立変数 xiに依存するかもしれないスカラー値である.
- 反周期的境界はPeriodicBoundaryCondition[-u[x1,…],pred,f]を使って指定できる.
- aとbのよく使われるあたいには以下がある.
-
u[x1,…] 周期境界条件 -u[x1,…] 反周期境界条件 a u[x1,…] スケールされた周期境界条件 u[x1,…]+b オフセット周期境界条件 - PeriodicBoundaryConditionは,有限要素近似については,1Dのノード,2Dの辺,3Dの面に作用する.
例題
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スコープ (15)
1D固有値問題 (7)
マシュー(Mathieu)方程式の5つの固有値と固有ベクトルを求める:
反周期的境界を持つラプラシアンの5つの固有値と固有ベクトルを求める:
細かいメッシュ上でマイスナー(Meissner)方程式の9つの固有値と固有ベクトルを求める:
対称ポテンシャルがあるSturm–Liouville演算子の5つの固有値と固有ベクルを求める:
非対称ポテンシャルを持つSturm–Liouville演算子の5つの周期的固有値と固有ベクトルを求める:
非対称ポテンシャルを持つSturm–Liouville演算子の5つの反周期的固有値と固有ベクトルを求める:
1Dと時間偏微分方程式の問題 (2)
周期境界条件を持つ1Dのシュレディンガー(Schrödinger)方程式を解く:
上記の例では がターゲットとして使われている.この場合,ターゲットは流束が周期領域に入るところに置かれている.
代りに がターゲットなら,に達すると波パルスが反転して逆方向に進む.で陰的ノイマン(Neumann)ゼロ境界条件がハード境界条件を強制し,パルスはそのハード境界を反射する:
2D偏微分方程式の問題 (4)
DirichletConditionを使って上下で偏微分方程式を解くための矩形の領域を設定する:
周期境界条件を実装するために,ターゲット(x==0) からソース(x==2)までのマッピング f を指定する:
周期境界条件の領域Ωとソースを緑で,ターゲットを青で可視化する:
左下のコーナーにDirichletConditionがあり周期境界条件で反対側とリンクされた矩形の上でラプラス型の方程式の解を求める:
左下コーナーのDirichletConditionが他のコーナーにも伝播していることに注意のこと:
ターゲット(青)からソース(緑)にマップするマッピング f を求める:
内部発熱があり,オレンジ色の境界の温度が固定されていて,周期境界条件が緑のソースと青のターゲット境界をリンクしているポアソン方程式を解く:
上下の部分はDirichletConditionに従う:
アプリケーション (1)
考えられる問題 (8)
定常偏微分方程式に周期境界条件だけを指定すると,一意的ではない解が求まることがある.場合によっては系が非可解のことがある:
ソースの境界にDirichletConditionを指定する:
PeriodicBoundaryConditionのマッピング f のソースは領域の境界上にある必要はない:
DirichletConditionはターゲットの境界上にあってはならない:
DirichletConditionをソースの境界に移動するとうまくいく:
周期境界条件は偏微分方程式の解をソースからターゲットの境界に伝播する.どの境界をソースとみなしどれをターゲットとみなすかの選択は,偏微分方程式の解に影響する.
上部と下部DirichletConditionに従う:
2番目の例では,右側の辺が左側の辺(ソース)のターゲットの境界である:
周期境界条件は偏微分方程式の解をソース領域からターゲット領域に伝播する.マッピングの方向は偏微分方程式の解に影響する.
上部と下部はDirichletConditionに従う:
辺を入れ替えた同方向へのマッピングを比較する.右下から左下と右上から左上へ:
周期境界条件は,ソースからの偏微分方程式の解をターゲットの境界に関連させる.ソースにおける境界条件は,これもまた陰的なものだが,ターゲットにおける解に影響する.
この動作の例として,有限要素法で離散化された時間依存方程式について考える.初期条件 u と陰的なノイマンゼロ境界条件が両方に指定されており,PeriodicBoundaryConditionは指定されていない:
両方の空間的境界で,陰的ノイマンゼロ境界条件が満足されることに注意のこと.
陰的ノイマン0境界条件を持つソースの境界にPeriodicBoundaryConditionが使われると,その条件がターゲットの境界にマップされる.
次は,前と同じ方程式の解および初期条件と,左辺にソース右辺にターゲットを持つ追加的な周期境界条件である:
左辺の陰的ノイマン0境界条件における解の値がどのように右辺にマップされるかに注意のこと.
これは有限要素法では予想される動作である.テンソル積格子メソッドは陰的境界条件を持たないので異なる動作を示す:
左辺にDirichletConditionを指定し,PeriodicBoundaryConditionを指定すると有限要素法でも同様の動作を得ることができる:
さまざまな時点における有限要素とテンソル積の格子解の差を可視化する:
代替策として,各辺にDirichletConditionを指定することもできる.
周期境界条件はソースからの偏微分方程式の解をターゲットの境界と関連付ける.ソースにおける境界条件は,陰的なものも含め,ターゲントの解に影響する.複数の周期境界条件を使って連続導関数を強制することができる.
プロットオプションとヘルパー関数を設定して周期プロットを作成する:
傾きは連続的ではない点に注意のこと.これは,ソースの位置に存在する陰的ノイマン値のためである.
2番目の周期境界条件を指定すると連続導関数が強制される.左側と右側の両方に周期境界条件がある偏微分方程式を解く:
解の周期等高線プロットを可視化する.予想されるように,解は変化していて陰的ノイマン値が除去されている:
解の傾きの周期流線密度プロットを可視化する.傾きが連続的になっている点に注意のこと:
同様に解の傾きのノルムの周期密度プロットを可視化して,傾きのノルムもまた連続的であることを確認する:
ノイマン値のような周期境界条件は,2Dの辺と3Dの面に作用する.これは,周期境界条件が作用するためには有限要素メッシュに十分なノードがなければならないことを意味する.
テキスト
Wolfram Research (2016), PeriodicBoundaryCondition, Wolfram言語関数, https://reference.wolfram.com/language/ref/PeriodicBoundaryCondition.html (2020年に更新).
CMS
Wolfram Language. 2016. "PeriodicBoundaryCondition." Wolfram Language & System Documentation Center. Wolfram Research. Last Modified 2020. https://reference.wolfram.com/language/ref/PeriodicBoundaryCondition.html.
APA
Wolfram Language. (2016). PeriodicBoundaryCondition. Wolfram Language & System Documentation Center. Retrieved from https://reference.wolfram.com/language/ref/PeriodicBoundaryCondition.html