VoigtDistribution
VoigtDistribution[δ,σ]
母数 δ および σ のVoigt分布を表す.
詳細
- Voigt分布における値 の確率密度はに比例する.
- VoigtDistributionでは,δ と σ は任意の正の実数でよい.
- VoigtDistributionでは,δ と σ は単位次元が等しい任意の数量でよい. »
- VoigtDistributionは,Mean,CDF,RandomVariate等の関数で使用することができる.
予備知識
- VoigtDistribution[δ,σ]は,実数集合上で定義・サポートされ,確率密度関数(PDF)の全体的な動作を決定する正の実数 δ および σ によってパラメータ化された連続統計分布を表す.Voigt分布のPDFは,単一の「峰」(大域的最大値)を持つ単峰性であることが多いが,その全体的な形(高さ,広がり,最大値の水平位置)は δ および σ の値によって決定される.加えて,PDFの裾部は,PDFが の大きい値について代数的というよりむしろ指数的に減少するという意味で「薄い」(この動作は分布のSurvivalFunctionを解析することで量的に厳密にできる).Voigt分布はVoigt輪郭線と呼ばれることもある.
- Voigt分布は,ドイツ人物理学者のWoldemar Voigtに因んで名付けられたもので,分光法および回析における線広がりのモデリング中に生まれた.Voigt分布は,高度に特化された分布で,近年の応用範囲は,大気科学および電気通信に関連する分子分光法および放射伝達における現象から分岐しているものが多い.
- RandomVariateを使って,Voigt分布から,1つあるいは複数の機械精度あるいは任意精度(後者はWorkingPrecisionオプションを介す)の擬似乱数変量を得ることができる.Distributed[x,VoigtDistribution[δ,σ]](より簡略な表記では xVoigtDistribution[δ,σ])を使って,確率変数 x がVoigt分布に従って分布していると宣言することができる.このような宣言は,Probability,NProbability,Expectation,NExpectation等の関数で使うことができる.
- 確率密度関数および累積分布関数は,PDF[VoigtDistribution[δ,σ],x]およびCDF[VoigtDistribution[δ,σ],x]を使って得られることがある.平均,中央値,分散,原点の周りのモーメント,中心モーメントは,それぞれMean,Median,Variance,Moment,CentralMomentを使って計算することができる.
- DistributionFitTestを使って,与えられたデータ集合がVoigt分布と一致するかどうかを検定することが,EstimatedDistributionを使って与えられたデータからパラメトリックVoigt分布を推定することが,FindDistributionParametersを使ってデータをVoigt分布にフィットすることができる.ProbabilityPlotを使って記号Voigt分布のCDFに対する与えられたデータのCDFのプロットを生成することが,QuantilePlotを使って記号Voigt分布の変位値に対する与えられたデータの変位値のプロットを生成することができる.
- TransformedDistributionを使って変換されたVoigt分布を表すことが,CensoredDistributionを使って上限値と下限値の間で切り取られた値の分布を表すことが,TruncatedDistributionを使って上限値と下限値の間で切断された値の分布を表すことができる.CopulaDistributionを使ってVoigt分布を含む高次元分布を構築することが,ProductDistributionを使ってVoigt分布を含む独立成分分布の結合分布を計算することができる.
- VoigtDistributionは,他の数多くの分布と関連している.VoigtDistributionは,VoigtDistribution[δ,σ]のPDFが,δ→0および σ→0のときに,それぞれNormalDistribution[0,σ]のPDFおよびCauchyDistribution[0,δ]のPDFに近付く傾向があるという意味で,NormalDistributionおよびCauchyDistributionの極限である.さらに,VoigtDistributionは,μNormalDistribution[0,σ]のときにVoigtDistribution[δ,σ]が厳密にCauchyDistribution[μ,δ]であるという意味でCauchyDistributionとNormalDistributionの母数混合(ParameterMixtureDistribution)として,また,NormalDistributionとCauchyDistributionの変換(TransformedDistribution) として実現することができる.VoigtDistributionはStableDistributionとも密接に関係している.
例題
すべて開くすべて閉じるスコープ (6)
サンプルの密度ヒストグラムを推定分布の確率密度関数と比較する:
母数でQuantityを一貫して使うとQuantityDistributionが与えられる:
特性と関係 (6)
δ が0に近付くにつれて,VoigtDistribution[δ,σ]はNormalDistributionに収束する:
VoigtDistribution[δ,σ]はσ->0のときCauchyDistributionに変換される:
CauchyDistributionと中心化NormalDistributionの母数混合:
CauchyDistributionとNormalDistributionからのゼロ平均変数の和:
テキスト
Wolfram Research (2012), VoigtDistribution, Wolfram言語関数, https://reference.wolfram.com/language/ref/VoigtDistribution.html (2016年に更新).
CMS
Wolfram Language. 2012. "VoigtDistribution." Wolfram Language & System Documentation Center. Wolfram Research. Last Modified 2016. https://reference.wolfram.com/language/ref/VoigtDistribution.html.
APA
Wolfram Language. (2012). VoigtDistribution. Wolfram Language & System Documentation Center. Retrieved from https://reference.wolfram.com/language/ref/VoigtDistribution.html