SkewNormalDistribution

SkewNormalDistribution[μ,σ,α]

形状母数 α,位置母数 μ,尺度母数 σ の歪正規分布を表す.

詳細

予備知識

  • SkewNormalDistribution[μ,σ,α]は,実数集合上でサポートされ,正の実数 σ(「尺度母数」)および2つの実数 μ および α(それぞれ「位置母数」および「形状母数」)によってパラメータ化された連続統計分布を表す.これらの母数は,ともに,確率密度関数(PDF)の全体的な動作を決定する.一般に,歪正規分布のPDFは単一の「峰」(大域的最大値)を持つ単峰性であるが,その全体的な形(高さ,広がり,最大値の水平位置)は αμσ の値によって決定される.さらに,PDFの裾部は,PDFが の大きい値について代数的というよりもむしろ指数的に減少するという意味で「薄い」(この動作は,分布のSurvivalFunctionを分析することで数量的に厳密にすることができる).SkewNormalDistributionは,正規分布(NormalDistribution,中心か正規分布と呼ばれることもある)を歪めて一般化したものであり,1引数の形のSkewNormalDistribution[α]SkewNormalDistribution[0,1,α](標準歪正規分布と呼ばれることがある)に等しい.
  • 歪正規分布の諸相は,1908年にF. de Helgueroに,また1950年にZ. W. Birnbaumによってはじめて検討された.歪正規分布は,数学的には,標準化された二項分布(BinormalDistribution) の最大成分と同じ正規分布 (NormalDistribution)に従って分布している2つの変量の最大値の両方をモデル化する.この分布は,いわゆる閾値自己回帰確率過程や時系列の研究におけるように,統計学全般でもかなり頻繁に使用されている.歪正規分布は,生理学,金融,応用数学,電気通信,画像解析等の分野の数多くの現象のモデル化にも使うことができる.
  • RandomVariateを使って,歪正規分布から,1つあるいは複数の機械精度あるいは任意精度(後者はWorkingPrecisionオプションを介す)の擬似乱数変量を得ることができる.Distributed[x,SkewNormalDistribution[μ,σ,α]](より簡略な表記では xSkewNormalDistribution[μ,σ,α])を使って,確率変数 x が歪正規分布に従って分布していると宣言することができる.このような宣言は,ProbabilityNProbabilityExpectationNExpectation等の関数で使うことができる.
  • 確率密度関数および累積分布関数は,PDF[SkewNormalDistribution[μ,σ,α],x]およびCDF[SkewNormalDistribution[μ,σ,α],x]を使って得られることがある.平均,中央値,分散,原点の周りのモーメント,中心モーメントは,それぞれMeanMedianVarianceMomentCentralMomentを使って計算することができる.
  • DistributionFitTestを使って,与えられたデータ集合が歪正規分布と一致するかどうかを検定することが,EstimatedDistributionを使って与えられたデータからパラメトリック歪正規分布を推定することが,FindDistributionParametersを使ってデータを歪正規分布にフィットすることができる.ProbabilityPlotを使って記号歪正規分布のCDFに対する与えられたデータのCDFのプロットを生成することが,QuantilePlotを使って記号歪正規分布の変位値に対する与えられたデータの変位値のプロットを生成することができる.
  • TransformedDistributionを使って変換された歪正規分布を表すことが,CensoredDistributionを使って上限値と下限値の間で切り取られた値の分布を表すことが,TruncatedDistributionを使って上限値と下限値の間で切断された値の分布を表すことができる.CopulaDistributionを使って歪正規分布を含む高次元分布を構築することが,ProductDistributionを使って歪正規分布を含む独立成分分布の結合分布を計算することができる.
  • SkewNormalDistributionは他の数多くの分布と関連している.歪正規分布は,SkewNormalDistribution[μ,σ,0]のPDFが厳密にNormalDistribution[μ,σ]のPDFであるという意味で,NormalDistributionを直接一般化したものである.SkewNormalDistributionNormalDistributionおよびBinormalDistributionの変換(TransformedDistribution)としても実現でき,HalfNormalDistributionの極限の形でもある.SkewNormalDistributionは,SkewNormalDistribution[0,σ,α]のPDFが2PDF[NormalDistribution[0,σ],x] CDF[NormalDistribution[0,σ],α x]に等しい,若干新しい恒等式を満足する.SkewNormalDistributionは,NoncentralBetaDistributionNoncentralFRatioDistributionNoncentralChiSquareDistributionLogNormalDistributionMultinormalDistributionとも関連している.

例題

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  (3)

確率密度関数:

累積分布関数:

平均と分散:

スコープ  (8)

歪正規分布から擬似乱数のサンプルを生成する:

そのヒストグラムを確率密度関数と比較する:

分布母数推定:

サンプルデータから分布母数を推定する:

サンプルの密度ヒストグラムを推定分布の確率密度関数と比較する:

歪度は形状母数 α のみに依存する:

歪度は原点を中心に対称である:

歪度の極限値は有限であり α 符号に依存する:

尖度は形状母数 α のみに依存する:

尖度は原点付近で対称であり0でその最小値に至る:

極限値はNormalDistributionの尖度よりも大きい:

母数の関数としての閉形式の種々のモーメント:

Moment

記号次数の閉形式は位置母数が0の場合に見られる:

CentralMoment

FactorialMoment

Cumulant

ハザード関数:

分位関数:

母数でQuantityを一貫して使うとQuantityDistributionが与えられる:

時間の中央値を求める:

アプリケーション  (3)

一群の人の身長と体重は正の相関0.6,平均180センチで90キロ,標準偏差12センチと5キロで二変量正規分布に従う.体重が90キロを超える人の身長の条件付き確率はSkewNormalDistributionに従う:

分布密度をプロットする:

このグループの4つの標準モーメントを計算する:

歪正規確率変量の平均余命関数を計算する:

標準変量の極限の場合,つまり も含めて,母数 のいくつかの値について平均余命関数をプロットする:

2010年のシカゴマラソンのゴール時間はSkewNormalDistributionに従う:

確率密度関数:

平均時間を求める:

参加者の半分がゴールする時間を求める:

ゴール時間の分布は右側に歪んでいる:

特性と関係  (9)

歪正規分布は平行移動と正の因子によるスケーリングの下では閉じている:

他の分布との関係:

NormalDistributionSkewNormalDistributionの特殊ケースである:

SkewNormalDistributionは正規分布を変換したものである:

確率密度関数はNormalDistributionの分布関数について表すことができる:

HalfNormalDistributionSkewNormalDistributionの極限のケースである:

について:

SkewNormalDistributionBinormalDistributionを変換したものである:

標準化された二変量正規分布の最大要素はSkewNormalDistributionに従う:

同じNormalDistributionに従う2つの変量の最大のものはSkewNormalDistributionに従う:

おもしろい例題  (1)

累積分布関数の等高線を持つ α のさまざまな値についての確率密度関数:

Wolfram Research (2010), SkewNormalDistribution, Wolfram言語関数, https://reference.wolfram.com/language/ref/SkewNormalDistribution.html (2016年に更新).

テキスト

Wolfram Research (2010), SkewNormalDistribution, Wolfram言語関数, https://reference.wolfram.com/language/ref/SkewNormalDistribution.html (2016年に更新).

CMS

Wolfram Language. 2010. "SkewNormalDistribution." Wolfram Language & System Documentation Center. Wolfram Research. Last Modified 2016. https://reference.wolfram.com/language/ref/SkewNormalDistribution.html.

APA

Wolfram Language. (2010). SkewNormalDistribution. Wolfram Language & System Documentation Center. Retrieved from https://reference.wolfram.com/language/ref/SkewNormalDistribution.html

BibTeX

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