TimeSeriesModelFit

TimeSeriesModelFit[data]

自動的に選択されたモデル族から data のための時系列モデルを構築する.

TimeSeriesModelFit[data,mspec]

mspec で指定されたモデル族から data のための時系列モデルを構築する.

詳細とオプション

  • 時系列の解析にはTimeSeriesModelFitが使われる.これは,可能なモデルの大規模なクラスから時系列モデルを自動的に選択する.
  • TimeSeriesModelFitは,構築する時系列モデルを表す記号的TimeSeriesModelオブジェクトを返す.モデルの特性と診断は model[property]から得ることができる.
  • model["Properties"]を使って使用可能なモデル特性のリストを得ることができる.
  • data は,数値のリスト{x1,x2,},時間と値のペアのリスト{{t1,x1},{t2,x2},}TimeSeries,あるいはTemporalDataである.
  • 時間 t におけるモデルの値は model[t]で得ることができる.t が入力データの範囲にある場合は,時間 t におけるデータが返される.その他の場合は予測値が与えられる.
  • 時間 t における予測限界は,model["PredictionLimits"][t]で得ることができる.
  • モデル指定 mspec は次の形を取ることができる.
  • Automatic使用するモデルを自動的に選択する
    "family"指定された族からモデルを選択する
    {"family",params}指定された族の部分集合からモデルを選択する
  • 次の族とパラメータ化を使うことができる.
  • "AR"{p}自己回帰モデル族
    "MA"{q}移動平均モデル族
    "ARMA"{p,q}自己回帰移動平均モデル族
    "ARIMA"{p,d,q}和分ARMAモデル族
    "SARMA"{{p,q},{sp,sq},s}季節ARMAモデル族
    "SARIMA"{{p,d,q},{sp,sd,sq},s}季節ARIMAモデル族
    "ARCH"{q}ARCHモデル族
    "GARCH"{q,p}GARCHモデル族
  • 自己回帰次数および移動平均次数の p および q,またそれらに季節性を与えた sp および sq は,Automatic,非負の整数,非負の整数のリスト,そのようなリストを示すSpanのいずれかで与えることができる.
  • 非季節型の和分次数および季節型の和分次数の d および sd は,Automatic,非負の整数,非負の整数のリスト,そのようなリストを示すSpanのいずれかで与えることができる.
  • 季節モデルについては,季節母数 sAutomaticあるいは正の整数でよい.
  • 追加的なモデル族のパラメータ化は,例題で示してある.
  • model["property"]を使って次のモデル特性を得ることができる.
  • "BestFit"フィットされたモデル
    "BestFitParameters"係数推定
    "ErrorVariance"モデルの誤差分散
    "FitResiduals"フィットされたモデルの残差
    "StandardizedResiduals"標準化されたモデル残差
    "TemporalData"データをTemporalDataとして入力する
  • モデル選択に関連する特性
  • "CandidateModels"選択基準で分類された候補モデルの集合
    "CandidateModelSelectionValues"各候補モデルのための選択基準の値
    "CandidateSelectionTable"モデルと選択基準の値を含む表
    "CandidateSelectionTableEntries"候補選択表からの項目
    "ModelFamily"選択されたモデル族
    "SelectionCriterion"最適なモデルの選択に使用された基準
  • 適合度を測る特性
  • "AIC"赤池情報量基準
    "AICc"有限サンプル修正AIC
    "BIC"ベイズ(Bayes)情報量基準
    "SBC"シュワルツ(Schwartz)ベイズ情報量基準
  • 次の特性を使ってモデル残差の白色性を査定することができる.
  • "ACFPlot"残差の自己相関のプロット
    "ACFValues""ACFPlot"からの値
    "PACFPlot"残差の偏自己相関のプロット
    "PACFValues""PACFPlot"からの値
    "LjungBoxPlot"LjungBox残差自己相関検定の 値のプロット
    "LjungBoxValues""LjungBoxPlot"からの値
  • 残差の白色特性"wprop"のために含める遅れの最大数は,model["wprop","LagMax"->max]を与えることで制御することができる.ただし,max は正の整数である.
  • 係数推定のための特性と診断
  • "CovarianceMatrix"モデル係数のための共分散推定
    "InformationMatrix"モデル係数のための情報行列
    "ParameterConfidenceIntervals"係数推定についての信頼区間
    "ParameterStandardErrors"モデル係数の標準誤差
    "ParameterTable"フィットされた係数情報の表
    "ParameterTableEntries"母数表の項目
  • TimeSeriesModelFitは次のオプションを取る.
  • ConfidenceLevel 95/100選択する信頼水準
    IncludeConstantBasis Automaticモデル中に定数を含めるかどうか
    Method Automaticモデルの選択に使用するメソッド
    WorkingPrecision Automatic内部計算の精度
  • デフォルト設定のIncludeConstantBasis->Automaticは,非季節型の和分次数と季節型の和分次数の両方が0のときは,モデル中に定数を含む.その他の場合は定数は含まれない.
  • Method->m 中のメソッド m"Stepwise"または"GridSearch"である.段階的選択の場合,最適な選択基準のモデルが求まるまで,Automaticの母数次数は徐々に増大する.グリッド検索を使うと,指定されたグリッド上のすべてのモデルが余すことなく試される.
  • 最高のモデルは,選択基準 crit に従って選ばれる.この基準はMethod->{m,"SelectionCriterion"->crit}で設定することができる.有効な選択基準には,"AIC"(デフォルト),"AICc""SBC""BIC"等がある.

例題

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  (1)

時系列モデルをデータにフィットする:

フィットされた時系列モデル:

時間35における点予測と95%予測限界を得る:

10ステップ先の予測とともに,データを可視化する:

スコープ  (22)

基本的な用法  (5)

モデルを自動的に時系列にフィットする:

データのために選ばれたモデル:

月ごとの気温データを使って予測を作成する:

月ごとの気温データおよび24ヶ月の予測:

2014年6月1日の平均気温を予測する:

予測の95%信頼区間:

特定のモデルを時系列にフィットする:

"GARCH"(1,1)モデルをデータにフィットする:

モデルと母数推定:

時系列モデルを100営業日の時系列にフィットする:

次の30営業日のシミュレーションを50回行う:

もとのデータを使って,TimeSeriesModelでの将来的な観測のシミュレーションを行う:

モデルをフィットする:

最もフィットする過程を使って,将来的な観測のシミュレーションを10回行う:

タイムスタンプあるいは初期値についての情報は,RandomFunctionには全く渡されていない:

もとのデータによって与えられた情報を使うために,TimeSeriesModelを使ってシミュレーションを行う:

モデル指定  (6)

時系列のためのモデルを自動的に選択する:

同様に,Automaticを指定する:

特定の族におけるモデルを求める:

モデルの自己回帰族を求める:

明示的な候補の集合から最高のモデルを選ぶ:

次数 および のARMA族を0から2まで検索する:

固定次数のモデルをフィットする:

"ARIMA"(2,1,3)モデルをデータにフィットする:

和分次数を固定し,自己回帰および移動平均の次数を求める:

モデルのARIMA族のパラメータ化:

次数 ,および を自動的に検出する:

あるいは,すべての母数次数にAutomaticを使う:

および Automaticにしたままで和分次数 を固定するいくつかの等価な方法:

和分次数 Automaticにしたままで および を固定するいくつかの等価な方法:

モデルのSARIMA族についてのパラメータ化:

を自動的に検出する:

あるいは,すべての母数次数にAutomatic を使う:

他のすべてをAutomaticにしたままで,季節性の母数 を固定するいくつかの同等な方法:

季節性 ,和分次数 および を固定するいくつかの等価な方法:

モデル特性  (11)

使用可能な特性のリストを得る:

最適な過程を抽出する:

同等に,Normalを使う:

選ばれたモデルについて,いくつかのフィッティングの基準を示す:

最良モデルの選択に使用された基準:

データにフィットする最高のモデルをレポートする:

表からの項目:

データにフィットされた候補のリストを得る:

AICによってモデルを比較する:

フィットの残差が自己相関されているかどうかをチェックする:

遅れ3に有意な大きい山がある:

移動平均成分を加えると,遅れ3における自己相関が除かれる:

フィット後の残差についての偏相関関数が0かどうかを見る:

遅れ3に有意な大きい山がある:

移動平均成分を加えると,遅れ3における偏相関が除かれる:

自己相関についてのモデルの残差を検定する:

遅れ3および4に有意な大きい山がある:

移動平均成分を加えると,有意な自己相関が除かれる:

残差の白色性の診断プロットに使われた値を得る:

"ACFPlot"に使われた,最初の5個の自己相関値および95%信頼区間:

"PACFPlot"に使われた,最初の5個の偏自己相関値および95%信頼区間:

プロットに使われた,遅れ1から12までのLjungBoxの 値および臨界値:

モデル母数の値と有意性をレポートする:

表からの値の項:

母数共分散行列から母数の標準誤差を得る:

標準誤差は直接得ることもできる:

オプション  (9)

ConfidenceLevel  (2)

予測限界に使う信頼水準を設定する:

90%信頼水準を使う:

信頼水準はフィッティングの後で変えることができる:

ConfidenceLevelの設定は特徴検出の閾値に影響する:

IncludeConstantBasis  (1)

モデルのために定数の推定が必要である:

定数を0に設定する:

Method  (5)

デフォルトで,母数の次数は段階的検索を使って選ばれる:

代りにグリッド検索を使う:

ハイブリッド検索を行う:

最適なモデルを選ぶためにさまざまな基準を使う:

デフォルトで,"AIC"が使われる:

"BIC"を使う:

レポートのために保存するモデル候補の最大数を設定する:

最高で15のモデルを保存する:

フィットするすべてのモデルを保存する:

デフォルトで,最大10のモデルが保存される:

自己回帰および移動平均の可能な最大次数を設定する:

最大次数はフィットされるモデル数を制限する:

階段的メソッドは現行の最適モデルの"MaxStepSize"次数内のモデルをフィットする:

デフォルトで,ステップの最大次数は1に設定されている:

刻み幅を大きくすると質は高くなるが,検索時間が長くなることがある:

グリッド検索と比較する:

WorkingPrecision  (1)

WorkingPrecisionを使ってより高精度の推定を得る:

アプリケーション  (8)

地域の気温  (1)

居住地域の次の1ヶ月の平均気温を予測する:

居住地域の過去10年間の月平均気温:

時系列モデルをフィットする:

翌月の予測:

翌年の予測を95%の信頼帯でプロットする:

航空機の乗客  (2)

次のデータは,1949年1月から1960年12月までの,アメリカ合衆国における月ごとの国際線航空機の乗客総数(単位:千)を含んでいる:

データを1958年1月で分割する:

時系列モデルを1958年より前の航空機の乗客データにフィットする:

1959年6月の航空機の予測乗客数と実際の乗客数を比較する:

1958年から1961年までの予測を実際のデータと比較する:

7年間の航空機乗客数を計数し,予測と比較する:

時系列モデルをデータにフィットする:

7年間の予測と予測限界を作る:

予測のプロット:

7年先までの100の経路のシミュレーションを行う:

シミュレーションによる経路で95%予測限界を示す:

素数  (1)

実際の素数と推定された素数の差に時系列モデルをフィットする:

モデルを差分にフィットする:

次の100個の差を95%予測限界で示す:

モデルを使って300番目の素数についての推定を改良する:

実際の素数時ついて比較されたもとの推定器と改良推定器:

事故死  (1)

アメリカ合衆国における月ごとの事故による死者数が6年間に渡って記録された:

ARProcessをデータにフィットする:

このモデルにはデータの季節性が入っていない:

診断プロットは12の季節性を持つモデルが必要であることを示唆している:

季節モデルは季節性のないモデルよりも一般に優れている:

90%予測限界で2ヶ月先までの経験的推定を得る:

漸近的推定と比較する:

オオヤマネコの皮  (1)

1850年から1911年までに,カナダのHudson Bay Companyが毎年販売したミンクの毛皮の枚数:

モデルをデータにフィットさせる:

次の10年間のモデルの値のシミュレーションを行う:

シミュレーションによる値は負になるかもしれないが,平均値関数は正の予測を与える:

データとシミュレーションによる予測値とをプロットする:

小売り  (1)

アメリカ合衆国における小売店の月ごとの売上げ:

選択したものからTimeSeriesを作る:

12月のピーク時に格子線を引いて,販売高をプロットする:

季節モデルをフィットする:

過程母数:

次の7年間の予測を求める:

予測の95%信頼帯を計算する:

上層帯と下層帯がある:

95%信頼領域で予測をプロットする:

医薬品販売と広告  (1)

次の時系列は,アメリカ合衆国の特許医薬品所有者であるLydia Pinkhamの,半年ごとの売上げと広告費である.Pinkham氏は家庭薬としてVegetable Compoundの製造を開始し,近所の人に配った.彼女の作った化合物は,薬草の粉末で,アルコールが18%含まれていた.Pinkham一族は1875年に,この,神経衰弱から子宮脱まであらゆる女性症状を治すという薬品を市場に売り出すことを決めた.この薬品は急速に支持を得,間もなく売上げが年間30万ドル近くにまでなった.薬品と公告に関する国の規制が厳しくなった1920年代になって,Lydia E. Pinkham Medicine Coは薬品のアルコール分を減らし,謳う効用も控えめにした:

データのモデルを求める:

次の5年間の値を予測する:

このモデルは,Pinkham家庭薬の有効性に対する顧客の信頼が急速に失われることを示している:

考えられる問題  (2)

次のデータは,月ごとにサンプリングされ,季節性12を持つとことが分かっている:

TemporalDataは,このデータが月ごとに等間隔で置かれていることは分かっていない:

28日という最小時間増分で自動リサンプリングを行うと,季節性が13になる:

TemporalDataがデータを規則性を持つものとして扱うようにする:

リサンプリングの必要はない.季節性は保存される:

TimeSeriesModelFitは,モーメント法を使って候補となる過程の母数を推定する.異なる推定器を用いると順位が変わることがある:

次数2の最尤推定値:

最尤推定値はすべての選択基準に対してうまくいく:

Wolfram Research (2014), TimeSeriesModelFit, Wolfram言語関数, https://reference.wolfram.com/language/ref/TimeSeriesModelFit.html.

テキスト

Wolfram Research (2014), TimeSeriesModelFit, Wolfram言語関数, https://reference.wolfram.com/language/ref/TimeSeriesModelFit.html.

CMS

Wolfram Language. 2014. "TimeSeriesModelFit." Wolfram Language & System Documentation Center. Wolfram Research. https://reference.wolfram.com/language/ref/TimeSeriesModelFit.html.

APA

Wolfram Language. (2014). TimeSeriesModelFit. Wolfram Language & System Documentation Center. Retrieved from https://reference.wolfram.com/language/ref/TimeSeriesModelFit.html

BibTeX

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BibLaTeX

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