ARProcess
ARProcess[{a1,…,ap},v]
次数 p で正規ホワイトノイズ分散 v を持つ弱定常AR(自己回帰)過程を表す.
ARProcess[{a1,…,ap},Σ]
多変量正規ホワイトノイズ共分散行列 Σ を持つ弱定常ベクトルAR過程を表す.
ARProcess[{a1,…,ap},v,init]
初期データが init であるAR過程を表す.
ARProcess[c,…]
定数が c のAR過程を表す.
詳細
- ARProcessはAR(自己回帰)あるいはVAR(ベクトル自己回帰)としても知られている.
- ARProcessは離散時間・連続状態のランダム過程である.
- AR過程はの差分方程式で説明される.ただし,は状態出力,はホワイトノイズ入力,はシフト演算子であり,定数 c は指定がなければ0であるとみなされる.
- 初期データ init はリスト{…,y[-2],y[-1]}として,あるいは,タイムスタンプが{…,-2,-1}であると考えられる単一路TemporalDataオブジェクトとして与えることができる.
- スカラーAR過程は,実数係数 aiおよび c,正の分散 v,非負の整数次数 p を持つことができる.
- 次元ベクトルAR過程は,次元 × の実数係数行列 aiと長さ の実ベクトル c を持つことができ,共分散行列 Σ は次元が × の正定値対称行列でよい.
- 零定数のAR過程は,以下の条件の伝達関数 を持つ.
-
スカラー過程 ベクトル過程.は × 恒等行列 - 時系列過程 tproc についてのARProcess[tproc,p]は,対応する伝達関数の零点についての級数展開が次数 p まで一致するような,次数 p のAR過程を与える.
- 使用可能な時系列過程 tproc には,ARProcess,ARMAProcess,SARIMAProcessがある.
- ARProcess[p]は,EstimatedProcessおよび関連関数で使われる,次数 p の自己回帰過程を表す.
- ARProcessはCovarianceFunction,RandomFunction,TimeSeriesForecast等の関数で使うことができる.
例題
すべて開くすべて閉じるスコープ (37)
基本的な用法 (11)
共分散とスペクトル (6)
ARProcessの共分散行列の逆行列は,対称多重対角行列である:
ベクトルARMAProcess:
定常性と可逆性 (4)
推定法 (6)
ARProcessの推定に使用可能なメソッド:
パラメータを固定する,あるいは反復する際は,モーメントについての一般的なソルバを使う:
スペクトル推定器では,PowerSpectralDensityの計算に使う窓を指定することができる:
過程スライス特性 (5)
アプリケーション (6)
ARProcessを使ってARMAProcessを推定する:
2012年8月におけるシャンペーンの日々の気温の平均を考える:
モデルとデータのCorrelationFunctionを比較する:
推定された過程でTimeSeriesModelを作る:
2012年5月から2012年9月までのドルとユーロの日ごとの為替レート:
現在地付近の1980年から2011年にかけての日毎の平均気温:
初期条件にAutomaticを仮定して定常性を調べる:
モデルとサンプルのCorrelationFunctionおよびPartialCorrelationFunctionを比較する:
次のデータは,1961年の8ヶ月間のダウジョーンズ平均株価の利益と時価総額の利益を表している.ベクトル自己回帰をこのデータにフィットする:
特性と関係 (7)
ARProcessはARMAProcessの特殊ケースである:
ARProcessはARIMAProcessの特殊ケースである:
ARProcessはFARIMAProcessの特殊ケースである:
ARProcessはSARMAProcessの特殊ケースである:
ARProcessはSARIMAProcessの特殊ケースである:
ARCHProcessの平方値はAR過程に従う:
平方値のCorrelationFunctionおよびPartialCorrelationFunction:
AR過程のCorrelationFunctionおよびPartialCorrelationFunction:
累積AR過程はARMAProcessに等しい:
考えられる問題 (5)
特性の中には,広義の定常過程についてしか定義されないものもある:
FindInstanceを使って弱定常AR過程の例を求める:
初期値が指定されていない過程は,弱定常条件を満足しなければならない:
Levinson–Durbin推定法は,常に適用可能であるとは限らない:
最大エントロピー推定法では,固定母数あるいは反復母数は使用できない:
おもしろい例題 (2)
三次元の弱定常ARProcessのシミュレーションを行う:
テキスト
Wolfram Research (2012), ARProcess, Wolfram言語関数, https://reference.wolfram.com/language/ref/ARProcess.html (2014年に更新).
CMS
Wolfram Language. 2012. "ARProcess." Wolfram Language & System Documentation Center. Wolfram Research. Last Modified 2014. https://reference.wolfram.com/language/ref/ARProcess.html.
APA
Wolfram Language. (2012). ARProcess. Wolfram Language & System Documentation Center. Retrieved from https://reference.wolfram.com/language/ref/ARProcess.html