Binomial

Binomial[n,m]

二項係数TemplateBox[{n, m}, Binomial]を与える.

詳細

  • 記号操作・数値操作の両方に適した数学的整数関数である.
  • Binomialは,組合せおよび選択関数としても知られている.
  • Binomialは,負の整数 についての対称係数を与える.すべての整数についてパスカル(Pascal)の恒等式を保持する係数についてはPascalBinomialを使う.BinomialおよびPascalBinomialは,負の整数 を除いて一致する.
  • 一般に,TemplateBox[{n, m}, Binomial]は,(n!)/(m!(n-m)!)=(TemplateBox[{{n, +, 1}}, Gamma])/(TemplateBox[{{m, +, 1}}, Gamma] TemplateBox[{{n, -, m, +, 1}}, Gamma])またはこの式の適切な極限で定義される.
  • が負の整数のときは,TemplateBox[{n, m}, Binomial]=TemplateBox[{{{(, TemplateBox[{{n, +, epsilon, +, 1}}, Gamma], )}, /, {(, {TemplateBox[{{m, +, epsilon, +, 1}}, Gamma],  , TemplateBox[{{{-, m}, +, n, +, epsilon, +, 1}}, Gamma]}, )}}, epsilon, 0, TemplateBox[{}, Complexes]}, LimitWithTooltip]である. »
  • 選択された特定の極限が,すべての複素数 について対称則TemplateBox[{n, m}, Binomial]=TemplateBox[{n, {n, -, m}}, Binomial]を保持する. »
  • パスカル(Pascal)の恒等式TemplateBox[{n, m}, Binomial]=TemplateBox[{{n, -, 1}, m}, Binomial]+TemplateBox[{{n, -, 1}, {m, -, 1}}, Binomial]は,ほぼすべての について満足されるが,のときは満足されない. »
  • 整数およびその他の特別な引数の場合,Binomialは,自動的に厳密値を計算する.
  • Binomialは簡単な場合には自動的に記号評価される.その他の場合にはFunctionExpandが結果を与える. »
  • Binomialは任意の数値精度で評価できる.
  • Binomialは自動的にリストに縫い込まれる.
  • BinomialIntervalオブジェクトおよびCenteredIntervalオブジェクトに使うことができる. »

予備知識

  • Binomialは, の二項係数TemplateBox[{n, k}, Binomial]を返す二項係数関数を表す.非負の整数 ()について,二項係数の値はTemplateBox[{n, k}, Binomial]=(n!)/(k! (n-k)!)である.ただし,Factorial関数である.対称性によってTemplateBox[{n, k}, Binomial]=TemplateBox[{n, {n, -, k}}, Binomial]である.二項係数は,確率論や組合せ論において重要である.と表記されることがある.
  • 非負の整数 ()について,二項係数TemplateBox[{n, k}, Binomial]は,集合に含まれる長さ の部分集合の数を与える.これは.最初の 個の整数から 個の元を取り出す(交換は行わず順序は無視した) 重複しない方法の数でもあり,この理由のためにしばしば「 choose 」と発音される.
  • 二項係数は,非負の整数 について(x+y)^n=sum_(k=0)^nTemplateBox[{n, k}, Binomial] x^(n-k)y^kであるとする二項定理の中心である.二項定理のこの解釈は,BinomialDistributionとして実装されている確率論における二項分布と関連がある.これとは別の重要な応用に,TemplateBox[{n, k}, Binomial]=TemplateBox[{{n, -, 1}, {k, -, 1}}, Binomial]+TemplateBox[{{n, -, 1}, k}, Binomial]に従って二項係数をシフトされた引数と関連付ける,パスカルの法則として知られる組合せ恒等式がある.分数をガンマ関数として表現することで二項係数がTemplateBox[{x, y}, Binomial]=(TemplateBox[{{x, +, 1}}, Gamma])/(TemplateBox[{{y, +, 1}}, Gamma] TemplateBox[{{x, -, y, +, 1}}, Gamma])として複素数 および に一般化される.整数 および複素数 に対称公式(TemplateBox[{{s, -, a, +, 1}}, Gamma])/(TemplateBox[{{s, -, b, +, 1}}, Gamma])=(-1)^(b-a)( TemplateBox[{{b, -, s}}, Gamma])/(TemplateBox[{{a, -, s}}, Gamma])を使い,次に二項係数の定義を負の整数引数まで拡張すると,負の整数 および整数ではない (その場合は不定になる)を除き,二項係数はすべての整数引数および複素引数について連続的となる.
  • のときは(-1)^k TemplateBox[{{k, -, n, -, 1}, k}, Binomial] のときは(-1)^(n-k) TemplateBox[{{{-, k}, -, 1}, {n, -, k}}, Binomial],それ以外の場合は0で与えられる負の および整数 についての定義は,二項定理および(若干の例外が存在するが)ほとんどの組合せ恒等式について成り立つ.
  • 二項係数は多項係数に一般化される.Multinomialは,合計すると になる与えられた数n1,,nkの多項係数(n;n1,,nk)を返す.ただし,である.二項係数TemplateBox[{n, k}, Binomial]は多項係数(n;k,n-k)である.

例題

すべて開くすべて閉じる

  (5)

数値的に評価する:

記号的に評価する:

パスカルの三角形を構築する:

実数の部分集合上で第1パラメータの関数としてプロットする:

実数の部分集合上で第2パラメータの関数としてプロットする:

複素数の部分集合上でプロットする:

スコープ  (35)

数値評価  (7)

数値的に評価する:

半整数の引数について評価する:

高精度で評価する:

出力精度は入力精度に従う:

複素数入力:

高精度で効率よく評価する:

IntervalオブジェクトとCenteredIntervalオブジェクトを使って最悪の場合に保証される区間を計算する:

Aroundを使って平均的な場合の統計区間を計算することもできる:

配列の要素ごとの値を計算する:

MatrixFunctionを使って行列のBinomial関数を計算することもできる:

特定の値  (4)

特定の点におけるBinomialの値:

記号的な n についてのBinomial

ゼロにおける値:

これは,から離れたすべての整数で0になる点に注意のこと:

Binomial[n,2]=15となるような n の値を求める:

可視化  (3)

Binomialをパラメータ n の関数としてプロットする:

Binomialをパラメータ の関数としてプロットする:

TemplateBox[{z, 5}, Binomial]の実部をプロットする:

TemplateBox[{z, 5}, Binomial]の虚部をプロットする:

関数の特性  (12)

パラメータ n の関数としてのBinomialの実領域:

パラメータ m の関数としてのBinomialの実領域:

複素領域:

Binomial関数の値域:

Binomialは鏡特性TemplateBox[{TemplateBox[{z}, Conjugate, SyntaxForm -> SuperscriptBox], 2}, Binomial]=TemplateBox[{TemplateBox[{z, 2}, Binomial]}, Conjugate]を持つ:

Binomialを含む総和を計算する:

が正のとき,TemplateBox[{x, y}, Binomial]は両方の変数の解析関数である:

これは,負の については当てはまらない:

TemplateBox[{x, 7}, Binomial]は非減少でも非増加でもない:

TemplateBox[{x, 7}, Binomial]は単射ではない:

TemplateBox[{x, 7}, Binomial]は全射である:

Binomialは非負でも非正でもない:

TemplateBox[{x, y}, Binomial] が負の整数のとき特異点と不連続点を持つ:

TemplateBox[{x, 7}, Binomial]は凸でも凹でもない:

TraditionalFormによる表示:

微分  (3)

についての一次導関数:

についての高次導関数:

のとき, について高次導関数をプロットする:

についての一次導関数:

級数展開  (4)

Seriesを使ってテイラー(Taylor)展開を求める:

の周りの最初の3つの近似をプロットする:

Infinityにおける級数展開を求める:

任意の記号方向 についての級数展開を求める:

生成点におけるテイラー展開:

関数の恒等式と簡約  (2)

関数の恒等式:

漸化式:

一般化と拡張  (2)

無限大の引数は記号的な結果を与える:

Binomialはリストに対して要素単位で適用される:

アプリケーション  (11)

個の要素の集合から重複を除いて 個の要素を選ぶ方法はTemplateBox[{n, m}, Binomial]通りある:

直接列挙でチェックする:

個の要素の集合から重複を許して 個の要素を選ぶ方法はTemplateBox[{{m, +, n, -, 1}, m}, Binomial]通りある:

直接列挙でチェックする:

ある種類の区別できない 個のオブジェクトと別の種類の区別できない 個のオブジェクトを並べ替える方法はTemplateBox[{{m, +, n}, m}, Binomial]通りある:

二項定理を例証する:

階乗二項定理:

2を法とした二項係数:

引数の平面でBinomialをプロットする:

個の中から 個を選ぶいくつかの方法の対数をプロットする:

2つの関数の積の高次の導関数を計算する:

二項確率分布のPDF

ベルンシュテイン(Bernstein)多項式はBinomialによって定義される:

特性と関係  (11)

整数については,Binomial[n,m]TemplateBox[{{{(, TemplateBox[{{n, +, epsilon, +, 1}}, Gamma], )}, /, {(, {TemplateBox[{{m, +, epsilon, +, 1}}, Gamma],  , TemplateBox[{{{-, m}, +, n, +, epsilon, +, 1}}, Gamma]}, )}}, epsilon, 0, TemplateBox[{}, Complexes]}, LimitWithTooltip]に等しい:

これは,のときは(-1)^m TemplateBox[{{-, n}, m}, Pochhammer]/m! のときは(-1)^(n-m) TemplateBox[{{-, n}, {n, -, m}}, Pochhammer]/(n-m)!と表すことができる:

整数についての別の式:

パスカルの恒等式はほぼあらゆるところで満足される:

しかし,原点では満足されない:

PascalBinomialは,原点を含む任意の場所で恒等式を満足する:

対称則TemplateBox[{n, m}, PascalBinomial]=TemplateBox[{n, {n, -, m}}, PascalBinomial]は, のすべての値について成り立つ:

PascalBinomialは記号引数について簡単な評価を行う:

より複雑な式については,自動展開を避ける:

FunctionExpandを条件とともに使って適切な簡約を行う:

FullSimplifyを使って二項係数を含む式を簡約する:

FunctionExpandを使ってGamma関数に展開する:

Binomialを含む総和:

Binomialの母関数を求める:

BinomialDifferenceRootとして表すことができる:

Binomialの母関数:

Binomialの指数母関数:

考えられる問題  (3)

大きい引数は,明示的に計算するのには大きすぎる結果を与えることがある:

機械数の入力が高精度の結果を与えることがある:

二変数関数として,Binomialはいずれの変数についても負の整数値で不連続となる:

負の整数値におけるBinomialの値はBinomial[n,m]Binomial[n,n-m]によって決定される:

おもしろい例題  (7)

グラフィカルなパスカルの三角形を作成する:

三角形を負の整数にまで拡張する.ラベルが付いていない点の値は0である:

これに対し,PascalBinomialは両方の入力が負である左上の部分をゼロにする:

を法とした二項係数:

ヒルベルト(Hilbert)の行列の逆行列の閉じた形:

複素平面上でネストした二項式:

Binomialを無限大でプロットする:

Binomialを複素引数についてプロットする:

Binomialをガウス(Gauss)の整数上でプロットする:

Wolfram Research (1988), Binomial, Wolfram言語関数, https://reference.wolfram.com/language/ref/Binomial.html.

テキスト

Wolfram Research (1988), Binomial, Wolfram言語関数, https://reference.wolfram.com/language/ref/Binomial.html.

CMS

Wolfram Language. 1988. "Binomial." Wolfram Language & System Documentation Center. Wolfram Research. https://reference.wolfram.com/language/ref/Binomial.html.

APA

Wolfram Language. (1988). Binomial. Wolfram Language & System Documentation Center. Retrieved from https://reference.wolfram.com/language/ref/Binomial.html

BibTeX

@misc{reference.wolfram_2024_binomial, author="Wolfram Research", title="{Binomial}", year="1988", howpublished="\url{https://reference.wolfram.com/language/ref/Binomial.html}", note=[Accessed: 22-November-2024 ]}

BibLaTeX

@online{reference.wolfram_2024_binomial, organization={Wolfram Research}, title={Binomial}, year={1988}, url={https://reference.wolfram.com/language/ref/Binomial.html}, note=[Accessed: 22-November-2024 ]}