NoncentralChiSquareDistribution

NoncentralChiSquareDistribution[ν,λ]

自由度 ν,非心母数 λ の非心カイ二乗()分布を表す.

詳細

予備知識

  • NoncentralChiSquareDistribution[ν,λ]は,区間上でサポートされ,正の実数 ν(「自由度」)および非負の実数 λ(「非心母数」と呼ばれる)でパラメータ化された連続統計分布を表す.これらの母数は,ともに,確率密度関数(PDF)の全体的な動作を決定する.一般に,非心カイ二乗分布のPDFは単一の「峰」(大域的最大値)を持つ単峰性であるが,その全体的な形(高さ,広がり,最大値の水平位置)は νλ の値で決定される.加えて,PDFの裾部はPDFが の大きい値について代数的というよりはむしろ指数的に減少するという意味で「薄い」(この動作は分布のSurvivalFunction を分析することで数量的に厳密にすることができる).NoncentralChiSquareDistributionは,ChiSquareDistribution(中心化カイ二乗分布と呼ばれることがある)の歪んでいる可能性が高い一般化であり,「非心カイ二乗分布」と呼ばれることが最も多いものの,これ以外にもカイ二乗分布の非心一般化は数多く存在する.
  • 標準正規分布に従う確率変数 の総和 をモデル化するカイ二乗分布からの類推として,確率変量 は,を満足する単位分散を持つ正規分布に従う確率変量の集合である場合は常に,非心カイ二乗分布に従って分布している.数学では,非心カイ二乗分布は成分加数が独立分布に従うカイ二乗変量である分布の二次形式のモデル化に使われてきた.これに対し統計学では,この分布は帰無変量がカイ二乗分布に従う検定の分析に使われてきた.この分布は,近似理論,決定のモデル化,金融を含む数多くの分野でも利用されてきた.
  • RandomVariateを使って,非心カイ二乗分布から,1つあるいは複数の機械精度あるいは任意精度(後者はWorkingPrecisionオプションを介す)の擬似乱数変量を得ることができる.Distributed[x,NoncentralChiSquareDistribution[ν,λ]](より簡略な表記では xNoncentralChiSquareDistribution[ν,λ])を使って,確率変数 x が非心カイ二乗分布に従って分布していると宣言することができる.このような宣言は,ProbabilityNProbabilityExpectationNExpectation等の関数で使うことができる.
  • 確率密度関数および累積分布関数は,PDF[NoncentralChiSquareDistribution[ν,λ],x]およびCDF[NoncentralChiSquareDistribution[ν,λ],x]を使って得られる.平均,中央値,分散,原点の周りのモーメント,中心モーメントは,それぞれMeanMedianVarianceMomentCentralMomentを使って計算することができる.
  • DistributionFitTestを使って,与えられたデータ集合が非心カイ二乗分布と一致するかどうかを検定することが,EstimatedDistributionを使って与えられたデータからパラメトリック非心カイ二乗分布を推定することが,FindDistributionParametersを使ってデータを非心カイ二乗分布にフィットすることができる.ProbabilityPlotを使って記号非心カイ二乗分布のCDFに対する与えられたデータのCDFのプロットを生成することが,QuantilePlotを使って記号非心カイ二乗分布の変位値に対する与えられたデータの変位値のプロットを生成することができる.
  • TransformedDistributionを使って変換された非心カイ二乗分布を表すことが,CensoredDistributionを使って上限値と下限値の間で切り取られた値の分布を表すことが,TruncatedDistributionを使って上限値と下限値の間で切断された値の分布を表すことができる.CopulaDistributionを使って非心カイ二乗分布を含む高次元分布を構築することが,ProductDistributionを使って非心カイ二乗分布を含む独立成分分布の結合分布を計算することができる.
  • NoncentralChiSquareDistributionは他の数多くの分布と関連している.非心カイ二乗分布は,nPoissonDistribution[λ/2]のときは,NoncentralChiSquareDistribution[ν,0]のPDFがChiSquareDistribution[ν]のPDFと厳密に等しいという意味でChiSquareDistributionを直接一般化したものであり,NoncentralChiSquareDistributionは,NormalDistributionBeckmannDistributionRiceDistributionNoncentralFRatioDistributionNoncentralBetaDistributionを含むいくつかの分布の変換(TransformedDistribution) として得ることができる.NoncentralChiSquareDistributionは,NoncentralChiSquareDistribution[ν,λ]のPDFがChiSquareDistribution[ν + 2 n]のPDFと厳密に等しいという意味でChiSquareDistributionPoissonDistributionの母数混合(ParameterMixtureDistribution) である.NoncentralChiSquareDistributionBetaDistributionBetaPrimeDistributionStudentTDistributionUniformDistributionとも密接な関係がある.

例題

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  (3)

確率密度関数:

累積分布関数:

平均と分散:

スコープ  (7)

非心カイ二乗()分布から擬似乱数のサンプルを生成する:

このヒストグラムを確率密度関数と比較する:

分布母数推定:

サンプルデータから分布母数を推定する:

サンプルの密度ヒストグラムを推定分布の確率密度関数と比較する:

歪度は自由度 ν と非心度 λ に伴って変化する:

尖度は自由度 ν と非心度 λ に伴って変化する:

母数の関数としての閉形式の種々のモーメント:

Moment

記号次数の閉形式:

CentralMoment

FactorialMoment

Cumulant

記号次数の閉形式:

ハザード関数:

分位関数:

アプリケーション  (1)

フェージングチャネル理論では,信号のフェージング振幅がRiceDistributionでモデル化されている場合は,スケールされたNoncentralChiSquareDistributionが瞬間的な信号対ノイズ比の分布である. で瞬間的な信号対ノイズ比の分布を求める. は記号あたりのエネルギー, はホワイトノイズのスペクトル密度である:

SNRdistのモーメント母関数を求める:

SNRdistがスケールされたNoncentralChiSquareDistributionであることを示す:

平均を求める:

平均を使ってモーメント母関数を表す:

フェージングの量を求める:

極限値:

特性と関係  (10)

NoncentralChiSquareDistributionは加算の下では閉じている:

NoncentralChiSquareDistributionCDFは閉形式の近似を許容する:

CDFをその近似と比較する:

他の分布との関係:

非心カイ二乗分布を簡約するとChiSquareDistributionになる:

NormalDistributionの変数の平方和はNoncentralChiSquareDistributionを示す:

非心カイ二乗分布はBeckmannDistributionに関連している:

非心カイ二乗分布はRiceDistributionから得ることができる:

非心カイ二乗()分布に従う2つの変数の商はNoncentralFRatioDistributionに従う:

NoncentralChiSquareDistributionChiSquareDistributionPoissonDistributionの母数混合である:

NoncentralBetaDistributionChiSquareDistributionNoncentralChiSquareDistributionの変換として得ることができる:

考えられる問題  (3)

NoncentralChiSquareDistributionは,ν が正の実数でないときは定義されない:

NoncentralChiSquareDistributionは,λ が非負の実数でないときは定義されない:

記号出力に無効な母数を代入すると意味のない結果が返される:

おもしろい例題  (1)

累積分布関数の等高線を持つ λ のさまざまな値についての確率密度関数:

Wolfram Research (2007), NoncentralChiSquareDistribution, Wolfram言語関数, https://reference.wolfram.com/language/ref/NoncentralChiSquareDistribution.html (2016年に更新).

テキスト

Wolfram Research (2007), NoncentralChiSquareDistribution, Wolfram言語関数, https://reference.wolfram.com/language/ref/NoncentralChiSquareDistribution.html (2016年に更新).

CMS

Wolfram Language. 2007. "NoncentralChiSquareDistribution." Wolfram Language & System Documentation Center. Wolfram Research. Last Modified 2016. https://reference.wolfram.com/language/ref/NoncentralChiSquareDistribution.html.

APA

Wolfram Language. (2007). NoncentralChiSquareDistribution. Wolfram Language & System Documentation Center. Retrieved from https://reference.wolfram.com/language/ref/NoncentralChiSquareDistribution.html

BibTeX

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BibLaTeX

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