DagumDistribution

DagumDistribution[p,a,b]

形状母数が pa,尺度母数が b のDagum分布を表す.

詳細

予備知識

  • DagumDistribution[p,a,b]は,区間上で定義され,3つの正の値 pabでパラメータ化された,連続統計分布を表す.母数 p および a は「形状母数」と呼ばれ,その値によってDagum分布の確率密度関数(PDF)が,潜在的な特異値が領域の下方境界に近付く単調減少になったり単峰性になったりする.母数 b はPDFの全体的な高さを決定する「尺度母数」である(b の値が減少しながら0に近くにつれて高さは増加する).Dagum分布の裾部は,母数の値とは無関係に, の大きい値についてPDFが指数的にではなく代数的に減少するという意味で「厚い」.(この動作は,分布のSurvivalFunctionを分析することで数量的に厳密にすることができる).Dagum分布はIII型のBurr分布として言及されることがある.
  • Dagum分布は,アルゼンチンの統計学者であり経済学者であるCamilo Dagumの1970年代の業績まで遡ることができる.Dagumは,収入の累積分布関数(CDF)の収入弾性が減少する有界関数であることに気付き,パレート分布(ParetoDistribution)と対数正規分布(LogNormalDistribution)のプラス面を組み合せることで,富の分布を密接にモデル化する統計分布の構築に取りかかった.当然のことながら,Dagum分布の主たる応用分野は経済学と保険数理である.しかし最近では,この分布は,環境科学分野における対流圏のオゾンレベルや統計学における寿命データや生存分析等を含む,さまざまな分野の数多くの現象のモデル化に使われている.
  • RandomVariateを使って,Dagum分布から,1つあるいは複数の機械精度あるいは任意精度(後者はWorkingPrecisionオプションを介す)の擬似乱数変量を得ることができる.Distributed[x,DagumDistribution[p,a,b]](より簡略すると xDagumDistribution[p,a,b])を使って,確率変数 x がDagum分布に従って分布していると宣言することができる.このような宣言は,ProbabilityNProbabilityExpectationNExpectation等の関数で使うことができる.
  • 確率密度関数および累積分布関数は,PDF[DagumDistribution[p,a,b],x]およびCDF[DagumDistribution[p,a,b],x]を使って得られることがある.平均,中央値,分散,原点の周りのモーメント,中心モーメントは,それぞれMeanMedianVarianceMomentCentralMomentを使って計算することができる.しかし,Dagum分布の厚い裾部のためにこれらの数量の中には存在しないものもあることがある.
  • DistributionFitTestを使って,与えられたデータ集合がDagum分布と一致するかどうかを検定することが,EstimatedDistributionを使って与えられたデータからパラメトリックDagum分布を推定することが,FindDistributionParametersを使ってデータをDagum分布にフィットすることができる.ProbabilityPlotを使って記号Dagum分布のCDFに対する与えられたデータのCDFのプロットを生成することが,QuantilePlotを使って記号Dagum分布の変位値に対する与えられたデータの変位値のプロットを生成することができる.
  • TransformedDistributionを使って変換されたDagum分布を表すことが,CensoredDistributionを使って上限値と下限値の間で切り取られた値の分布を表すことが,TruncatedDistributionを使って上限値と下限値の間で切断された値の分布を表すことができる.CopulaDistributionを使ってDagum分布を含む高次元分布を構築することが,ProductDistributionを使ってDagum分布を含む独立成分分布の結合分布を計算することができる.
  • Dagum分布は他の数多くの分布と関連している.例えば,BetaPrimeDistribution[p,1,a,b]のPDFがDagumDistribution[p,a,b]のPDFと厳密に等しいという意味で,DagumDistributionBetaPrimeDistributionの特殊ケースである.DagumDistributionはより特別なLogLogisticDistributionに一般化することもできる.つまり,DagumDistribution[1,γ,σ]LogLogisticDistribution[λ,σ]と同じPDFを持ち,LogNormalDistributionParetoDistributionの両方の定性的特徴を組み合せて構築されているのである.DagumDistributionはBurr/SinghMaddala分布(SinghMaddalaDistribution)の逆分布であり,BeniniDistributionGammaDistributionWeibullDistributionとも関連している.

例題

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  (4)

確率密度関数:

累積分布関数:

平均と分散:

中央値:

スコープ  (8)

Dagum分布から擬似乱数のサンプルを生成する:

そのヒストグラムを確率密度関数と比較する:

分布母数推定:

サンプルデータから分布母数を推定する:

サンプルの密度ヒストグラムを推定分布の確率密度関数と比較する:

歪度は形状母数 ap に依存し,について定義される:

尖度は について定義される:

母数の関数としての閉形式の種々のモーメント:

Moment

記号次数の閉形式:

CentralMoment

FactorialMoment

Cumulant

ハザード関数は については単峰型でその他の場合は減少する:

分位関数:

母数でQuantityを一貫して使うとQuantityDistributionが与えられる:

四分位間範囲を求める:

アプリケーション  (4)

DagumDistributionは収入のモデル化に使うことができる:

パートタイムをフルタイムに調整し,非零の値を選ぶ:

Dagum分布をデータにフィットする:

データのヒストグラムを推定分布の確率密度分布と比較する:

大規模な州立大学の収入の平均を求める:

給与が最高で$25,000になる確率を求める:

給与が最低でも$150,000になる確率を求める:

給与の中央値を求める:

上記のような大学から無作為抽出した100人の雇用者の収入のシミュレーションを行う:

DagumDistributionを使って,各州の住民1人あたりの収入をモデル化することができる:

通貨単位を加える:

Dagum分布をデータにフィットさせる:

データのヒストグラムを推定分布の確率密度関数と比較する:

住民1人あたりの平均収入を求める:

収入が平均に近い州を求める:

1人あたりの収入の中央値を求める:

収入が中央値に近い州を求める:

対数尤度値を求める:

DagumDistributionを使ってサイズをモデル化することができる.紫色の石カニの厚み(単位:ミリメートル)を考える:

Dagum分布をデータにフィットする:

データのヒストグラムを推定分布の確率密度関数と比較する:

カニの厚みの平均値を求める:

カニが15mmより厚い確率を求める:

カニ30匹の厚みのシミュレーションを行う:

DagumDistributionは待ち時間のモデル化に使用できる:

Dagum分布をデータにフィットする:

データのヒストグラムを推定分布の確率密度関数と比較する:

1つの大地震から次の大地震までの平均日数を求める:

2つの大地震間の日数が少なくとも200日ある確率を求める:

特性と関係  (7)

Dagum分布は正の因子によるスケーリングの下では閉じている:

Dagum分布はMaxの下では閉じている:

Dagum分布は については単峰型で,その他の場合は峰がない:

他の分布との関係:

DagumDistributionBetaPrimeDistributionの特殊ケースである:

DagumDistributionSinghMaddalaDistributionの逆分布である:

LogLogisticDistributionDagumDistributionの特殊ケースである:

おもしろい例題  (1)

累積分布関数の等高線を持つ p のさまざまな値についての確率密度関数:

Wolfram Research (2010), DagumDistribution, Wolfram言語関数, https://reference.wolfram.com/language/ref/DagumDistribution.html (2016年に更新).

テキスト

Wolfram Research (2010), DagumDistribution, Wolfram言語関数, https://reference.wolfram.com/language/ref/DagumDistribution.html (2016年に更新).

CMS

Wolfram Language. 2010. "DagumDistribution." Wolfram Language & System Documentation Center. Wolfram Research. Last Modified 2016. https://reference.wolfram.com/language/ref/DagumDistribution.html.

APA

Wolfram Language. (2010). DagumDistribution. Wolfram Language & System Documentation Center. Retrieved from https://reference.wolfram.com/language/ref/DagumDistribution.html

BibTeX

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