PERTDistribution

PERTDistribution[{min,max},c]

範囲が min から max までで c で最頻値になるPERT分布を表す.

PERTDistribution[{min,max},c,λ]

形状母数が λ の修正PERT分布を表す.

詳細

予備知識

  • PERTDistributionは,一様分布あるいは三角分布(Wolfram言語ではそれぞれUniformDistributionおよびTriangularDistributionとして実装されている)の,平滑で潜在的に歪んでいるバージョンを表す.これは,単一の峰を持ち,有限区間で定義される.より正確に言うなら,PERTDistribution[{min,max},c,λ]は,c および λ0の2つの定数によってパラメータ化された min から max までの値について定義される統計分布を表す.ここで,c は分布の最頻値で,確率密度関数(PDF)の峰の位置を決定する.これに対し,λc ともにPDFの全体的な形を決定する「形状母数」である.2引数形のPERTDistribution[{min,max},c]PERTDistribution[{min,max},c,4]に等しい.
  • 「PERT」は「project evaluation and review techniques(プロジェクト評価と検討の技術)」の頭字語であり,最小値および最大値についての専門家の推定を与えられた場合の,所望の数量(プロジェクトの完了時期等)およびその数量で最も可能性の高い値についての専門家の推定をモデル化する分布の大規模使用を意味する.PERT分布はベータPERT分布と呼ばれることもある.
  • RandomVariateを使って,PERT分布から,1つあるいは複数の機械精度あるいは任意精度(後者はWorkingPrecisionオプションを介す)の擬似乱数変量を得ることができる.Distributed[x,PERTDistribution[{min,max},c,λ]](より簡略すると xPERTDistribution[{min,max},c,λ])を使って,確率変数 x がPERT分布に従って分布していると宣言することができる.このような宣言は,ProbabilityNProbabilityExpectationNExpectation等の関数で使うことができる.
  • 確率密度関数および累積分布関数は,PDF[PERTDistribution[{min,max},c,λ],x]およびCDF[PERTDistribution[{min,max},c,λ],x]を使って得られることがある.平均,中央値,分散,原点の周りのモーメント,中心モーメントは,それぞれMeanMedianVarianceMomentCentralMomentを使って計算することができる.
  • DistributionFitTestを使って,与えられたデータ集合がPERT分布と一致するかどうかを検定することが,EstimatedDistributionを使って与えられたデータからパラメトリックPERT分布を推定することが,FindDistributionParametersを使ってデータをPERT分布にフィットすることができる.ProbabilityPlotを使って記号PERT分布のCDFに対する与えられたデータのCDFのプロットを生成することが,QuantilePlotを使って記号PERT分布の変位値に対する与えられたデータの変位値のプロットを生成することができる.
  • TransformedDistributionを使って変換されたPERT分布を表すことが,CensoredDistributionを使って上限値と下限値の間で切り取られた値の分布を表すことが,TruncatedDistributionを使って上限値と下限値の間で切断された値の分布を表すことができる.CopulaDistributionを使ってPERT分布を含む高次元分布を構築することが,ProductDistributionを使ってPERT分布を含む独立成分分布の結合分布を計算することができる.
  • PERTDistributionは他の多くの分布と密接に関係している.例えば,PERT分布は変換されたBetaDistribution(より正確には PERTDistribution[{min,max},c,λ]TransformedDistribution[min+x(max-min),xBetaDistribution[1+λ,1+λ]]と等しい)と定義することができ,TriangularDistributionの平滑化されたバージョンとして使うことができる.PERTDistributionは,BetaDistributionとの密接な関係のため,UniformDistributionおよびPowerDistributionのあまり直接的ではない一般化と考えることができる.BetaDistributionと同様に,PERTDistributionKumaraswamyDistributionおよびNoncentralBetaDistributionの変換によって得ることができる.また,BetaDistributionのように,PERTDistributionPearsonDistributionChiSquareDistributionGammaDistributionFRatioDistributionBetaPrimeDistributionと密接な関係がある.

例題

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  (5)

確率密度関数:

累積分布関数:

平均:

分散:

中央値:

スコープ  (8)

PERT分布に従う擬似乱数のサンプルを生成する:

そのヒストグラムを確率密度関数と比較する:

分布母数推定:

サンプルデータから分布母数を推定する:

サンプルの密度ヒストグラムを推定分布の確率密度関数と比較する:

歪度:

λ の値が大きい場合,修正PERT分布は対称になる:

極限値:

尖度:

λ の値が大きいと,尖度はNormalDistributionの尖度に近付く:

極限値:

母数の関数としての閉形式の種々のモーメント:

Moment

記号次数の閉形式:

CentralMoment

記号次数の閉形式:

FactorialMoment

Cumulant

ハザード関数:

分位関数:

母数でQuantityを一貫して使用するとQuantityDistributionが返される:

プロジェクト完了時間の単位付き数量を求める:

アプリケーション  (2)

ある専門家の推定では,完成までに4〜6ヶ月かかるプロジェクトが5ヶ月と1週間かかるという:

プロジェクトの完成までの時間の分布:

完成までの時間の期待値と標準偏差を求める:

プロジェクトの完成までにより長い時間がかかる確率を求める:

PERTDistributionTriangularDistributionの平滑化された代替物として使う:

特性と関係  (5)

PERT分布は平行移動と正の因子によるスケーリングの下では閉じている:

他の分布との関係:

形状母数 λ のデフォルト値は4である:

PERT分布はBetaDistributionを変換したものである:

母数が および BetaDistributionは,単位区間におけるPERTDistributionの特殊ケースである:

同等のPERT分布は および についてのみ有効である:

おもしろい例題  (1)

累積分布関数の等高線を持つ c のさまざまな値についての確率密度関数:

Wolfram Research (2010), PERTDistribution, Wolfram言語関数, https://reference.wolfram.com/language/ref/PERTDistribution.html (2016年に更新).

テキスト

Wolfram Research (2010), PERTDistribution, Wolfram言語関数, https://reference.wolfram.com/language/ref/PERTDistribution.html (2016年に更新).

CMS

Wolfram Language. 2010. "PERTDistribution." Wolfram Language & System Documentation Center. Wolfram Research. Last Modified 2016. https://reference.wolfram.com/language/ref/PERTDistribution.html.

APA

Wolfram Language. (2010). PERTDistribution. Wolfram Language & System Documentation Center. Retrieved from https://reference.wolfram.com/language/ref/PERTDistribution.html

BibTeX

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