HotellingTSquareDistribution

HotellingTSquareDistribution[p,m]

次元母数 p,自由度 m のホテリング(Hotelling)の 分布を表す.

詳細

予備知識

  • HotellingTSquareDistribution[p,m]は,区間上で定義され,2つの正の実数 p および m>p-1によってパラメータ化された,連続統計分布を表す.p は「次元母数」,m は「自由度母数」と呼ばれるものである.母数 m はホテリングのT二乗分布の確率密度関数(PDF)の高さと傾きを決定する.PDFの一般的な動作は p によって決定され,その領域の下限に潜在的な特異値が近付く単調減少(のとき)か,単峰性(のとき)である.これに加え,PDFの裾部はPDFが の大きい値について指数的ではなく代数的に減少するという意味で「太い」(この動作は分布のSurvivalFunctionを分析することで数量的に正確にできる.)
  • ホテリングのT二乗分布は,スチューデントT分布(StudentTDistribution) を p 個の確率変量の仮説検定を含むような場合に一般化した,1930年代のアメリカの数学者であるHarold Hotellingの業績まで遡ることができる.ホテリングのT二乗分布は,ホテリング検定の基礎をなすものである.ホテリング検定とは,未知の共分散行列を持ち,正規分布に従う変数の2つの未知のベクトルの等価性についての帰無仮説に対する多変量仮説検定である.その作成以来,ホテリングのT二乗分布は,農業,過程制御,主成分分析,品質管理等の現象のモデル化に使われてきた.
  • RandomVariateを使って,ホテリングのT二乗分布から,1つあるいは複数の機械精度あるいは任意精度(後者はWorkingPrecisionオプションを介す)の擬似乱数変量を得ることができる.Distributed[x,HotellingTSquareDistribution[p,m]](より簡略すると xHotellingTSquareDistribution[p,m])を使って,確率変数 x が,ホテリングのT二乗分布に従って分布していると宣言することができる.このような宣言は,ProbabilityNProbabilityExpectationNExpectation等の関数で使うことができる.
  • 確率密度関数および累積分布関数は,PDF[HotellingTSquareDistribution[p,m],x]およびCDF[HotellingTSquareDistribution[p,m],x]を使って得られることがある.平均,中央値,分散,原点の周りのモーメント,中心モーメントは,それぞれMeanMedianVarianceMomentCentralMomentを使って計算することができる.
  • DistributionFitTestを使って,与えられたデータ集合がホテリングのT二乗分布と一致するかどうかを検定することが,EstimatedDistributionを使って与えられたデータからホテリングのパラメトリックT二乗分布を推定することが,FindDistributionParametersを使ってデータをホテリングのT二乗分布にフィットすることができる.ProbabilityPlotを使ってホテリングの記号T二乗分布のCDFに対する与えられたデータのCDFのプロットを生成することが,QuantilePlotを使ってホテリングの記号T二乗分布の変位値に対する与えられたデータの変位値のプロットを生成することができる.
  • TransformedDistributionを使って変換されたホテリングのT二乗分布を表すことが,CensoredDistributionを使って上限値と下限値の間で切り取られた値の分布を表すことが,TruncatedDistributionを使って上限値と下限値の間で切断された値の分布を表すことができる.CopulaDistributionを使ってホテリングのT二乗分布を含む高次元分布を構築することが,ProductDistributionを使ってホテリングのT二乗分布を含む独立成分分布の結合分布を計算することができる.
  • ホテリングのT二乗分布は,数多くの他の分布と関連している.先述の通り,HotellingTSquareDistributionNormalDistributionおよびMultinormalDistributionを含む統計検定と繋がりがある.これは,StudentTDistributionの一般化として考案されたもので,特に,HotellingTSquareDistribution[1,m]StudentTDistribution[m]に比例する.適切な仮説の下では,HotellingTSquareDistribution[p,m]は,PearsonDistribution(そのPDFがPearsonDistribution[6,1,-((m(p-2))/(3+m-p)),2/(3+m-p),(2 m)/(3+m-p), 0]のPDFと同一であるという意味において)とFRatioDistributionHotellingTSquareDistribution[p,m]のCDFが厳密にFRatioDistribution[p,1 - p + m], x (m - p + 1)/(m p)]のそれである,という意味において)の両方の特殊ケースである.HotellingTSquareDistributionは,ChiDistributionChiSquareDistributionBetaDistributionFisherZDistributionLaplaceDistributionとも関係がある.

例題

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  (4)

確率密度関数:

累積分布関数:

平均と分散:

中央値:

スコープ  (7)

ホテリングのT二乗分布から擬似乱数のサンプルを生成する:

そのヒストグラムを確率密度関数と比較する:

分布母数推定:

サンプルデータから分布母数を推定する:

サンプルの密度ヒストグラムを推定分布の確率密度関数と比較する:

歪度:

極限値:

尖度:

極限値:

母数の関数としての閉形式の種々のモーメント:

Moment

記号次数の閉形式:

CentralMoment

FactorialMoment

Cumulant

ハザード関数:

分位関数:

アプリケーション  (1)

ホテリングの 統計は多変量データに指定された平均があるかどうかを調べるために使われる:

長さ で平均 の多変量正規データの検定統計はHotellingTSquareDistribution[p,n-1]に従う. はデータの次元である:

あるデータの検定統計と 値を得る:

あるいはTTestを使ってもよい:

特性と関係  (3)

他の分布との関係:

ホテリングのT二乗分布はFRatioDistributionの特殊ケースである:

ホテリングのT二乗分布はタイプ6のPearsonDistributionの特殊ケースである:

おもしろい例題  (1)

累積分布関数の等高線を持つ p のさまざまな値についての確率密度関数:

Wolfram Research (2010), HotellingTSquareDistribution, Wolfram言語関数, https://reference.wolfram.com/language/ref/HotellingTSquareDistribution.html (2016年に更新).

テキスト

Wolfram Research (2010), HotellingTSquareDistribution, Wolfram言語関数, https://reference.wolfram.com/language/ref/HotellingTSquareDistribution.html (2016年に更新).

CMS

Wolfram Language. 2010. "HotellingTSquareDistribution." Wolfram Language & System Documentation Center. Wolfram Research. Last Modified 2016. https://reference.wolfram.com/language/ref/HotellingTSquareDistribution.html.

APA

Wolfram Language. (2010). HotellingTSquareDistribution. Wolfram Language & System Documentation Center. Retrieved from https://reference.wolfram.com/language/ref/HotellingTSquareDistribution.html

BibTeX

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