NeumannValue
NeumannValue[val,pred]
pred がTrueであるNDSolveおよび関連関数に渡された,領域の境界の部分で指定されたノイマン(Neumann)境界値 val を表す.
詳細
- NeumannValueは,DSolveやNDSolve等の関数の境界値を指定するために,偏微分方程式内で用いられる.
- NDSolve[eqns,{u1,u2,…},{x1,x2,…}∈Ω]では,xiは独立変数,ujは従属変数,Ωは境界が ∂Ωの領域である.
- ノイマン値が指定され得る場所は緑で示される.これは,領域Ωの境界 ∂Ω上に現れるもので,これらの辺を横切って外側の法線に向かう流束を指定する.
- pred が真である境界 ∂Ω の部分上での流束の指定には,·(c ∇u+α u-γ)=g-q u が成り立つように∇·(-c ∇u-α u+γ)+…=f+NeumannValue[g-q u,pred]が用いられる.·(c ∇u+α u-γ)=g-q u 中の係数 c,α,γ は,∇·(-c ∇u-α u+γ)+β·∇u+a u=f+NeumannValue[g-q u,pred]で与えられる偏微分方程式を通して陰的に定義される. は ∂Ωの外向きの単位法線である.係数 g および q は独立変数{x1,x2,…}のいずれに依存してもよい.
- 有限要素近似については,偏微分方程式にはテスト関数 が掛けられ,上で積分される.部分的な積分は を与える.境界積分における被積分関数 はNeumannValue で置換され,方程式 を与える.»
- 有限要素近似では,ノイマン値は,pred がTrueである∂Ω の離散化における各境界要素上の総合的な条件として強制される.境界要素は,1Dでは点,2Dでは辺,3Dでは面である.
- 境界 ∂Ωの側で境界条件が指定されていない場合は,その部分の上の流束項 ∇·(-c ∇u-α u+γ)+…は f=f+0=f+NeumannValue[0,…]であるとみなされるので,境界条件を全く指定しないことはノイマン0条件を指定することに等しい.
- 方程式の右辺にある正のNeumannValueは,領域への流束をモデル化する.
- 述語 pred については,独立変数 x1,…内の方程式および不等式の任意の論理結合を使ってもよい.
- NeumannValueを使ってノイマンとロビン(Robin)の両方の境界条件を指定することができる.
-
- ·(c ∇u+α u-γ)=0
自然 (ノイマン0) 条件の指定なし,つまり NeumannValue[0,pred] - ·(c ∇u+α u-γ)=g
ノイマン NeumannValue[g,pred] - ·(c ∇u+α u-γ)=g-q u
ロビン (一般化されたノイマン) NeumannValue[g-q u,pred] - ·(c ∇u+α u-γ)=g-h(u)
一般化された非線形ノイマン NeumannValue[g-h[u],pred] - 系については,∇·∑j(-cj∇uj-αjuj+γ)+…f+NeumannValue[g-∑jqjuj]+…は,pred がTrueである領域の部分で条件 が満たされることに相当する.
- 時間依存方程式については,val と pred の両方が時間に依存してもよい.
- 偏微分方程式におけるNeumannValueとDerivativeの目的と意味は若干異なる.»
- 有限要素近似の場合は,NeumannValueは1Dのノード,2Dの辺,3Dの面に作用する.
- DirichletConditionとNeumannValueは境界の同じ部分に指定されてはならない.
- NeumannValueの中には境界が重なるものがある.»
例題
すべて開くすべて閉じるスコープ (4)
非線形方程式 を,線分上で,についての一般化されたノイマン条件 と についてのディリクレ条件 で解く:
境界の同じ部分で複数のNeumannValueがアクティブにできる:
によじれがある点に注意のこと.より下ではNeumannValueの両方のインスタンスがアクティブであるのに対し,より上では片方のNeumannValueしかアクティブではない.
NeumannValueを使ってDirichletConditionを近似することができる.
DirichletConditionの2つの例とディリクレ値についてのパラメータ を持つ偏微分方程式を解く:
1つのDirichletConditionがスケールされて一般化されたNeumannValueで置換された同じ偏微分方程式を解く:
DirichletConditionをNeumannValueで近似するこのアプローチは,同じ境界範囲に収容されるべきであるディリクレ条件とノイマン値があるときにのみ使われるべきである.
アプリケーション (12)
1D問題 (2)
2D問題 (2)
時間依存問題 (4)
特性と関係 (1)
このセクションでは領域内に境界条件を設定することが解にどのように影響するかを探ってみる.領域は で に内部境界がある.これについて,,,にノードを持つ有限要素境界メッシュが作成される:
内部教科におけるさまざまな境界条件の動作を示すために拡散係数が の拡散型方程式が選ばれた:
最初の例では偏微分方程式を0に設定する.つまり,の内部点には他の相互作用はない.これはデフォルトの動作である:
デフォルトの動作は におけるノイマンゼロの値を設定することと同じである:
デフォルト解とノイマンゼロの解の差はゼロである.両者は厳密に等しい解である:
次の実験では,におけるのノイマン値が設定されている.内外がなく法線
考えられる問題 (4)
定常偏微分方程式についてもっぱらノイマン境界条件のみを指定すると,結果として一意的ではない解になることがある.場合によっては,系が全く可解ではなくなることもある:
ディリクレ条件とノイマン条件が について ,について で,吸収係数 のラプラス方程式を矩形上で解く:
吸収係数 を設定してラプラス方程式を解くと,ノイマン値が になるので注意のこと:
境界部分に境界条件を指定しないことは,自然の 境界条件を暗示する:
インポートしたメッシュあるいは生成したメッシュが数値的に不正確であることがある.例えば,目的とする領域は四角形であるのに,領域の離散化バージョンに不正確さがあって実際にはになることがある.このような場合に の形式の述語が指定されていれば,は存在しないのでエラーメッセージが生成される.次の構築された例について考える:
テキスト
Wolfram Research (2014), NeumannValue, Wolfram言語関数, https://reference.wolfram.com/language/ref/NeumannValue.html (2023年に更新).
CMS
Wolfram Language. 2014. "NeumannValue." Wolfram Language & System Documentation Center. Wolfram Research. Last Modified 2023. https://reference.wolfram.com/language/ref/NeumannValue.html.
APA
Wolfram Language. (2014). NeumannValue. Wolfram Language & System Documentation Center. Retrieved from https://reference.wolfram.com/language/ref/NeumannValue.html