TukeyLambdaDistribution
形状母数 λ のTukeyのラムダ分布を表す.
TukeyLambdaDistribution[λ,μ,σ]
位置母数 μ,尺度母数 σ のTukeyのラムダ分布を表す.
TukeyLambdaDistribution[{λ1,λ2},μ,{σ1,σ2}]
位置母数 μ,尺度母数 σ1と σ2,形状母数 λ1と λ2の一般化されたTukeyのラムダ分布を表す.
詳細
- Tukeyのラムダ分布における値 の分位関数は,かつ である場合には に等しく,では に等しい.
- TukeyLambdaDistribution[λ]はTukeyLambdaDistribution[λ,0,1]と等価である.
- 一般化されたTukeyのラムダ分布における値 の分位関数は,では に等しい.
- TukeyLambdaDistributionでは,λ,λ1,λ2,μ は任意の実数でよく,σ,σ1,σ2は任意の正の実数でよい.
- TukeyLambdaDistributionでは,μ,σ,σ1,σ2は単位次元が等しい任意の数量でよく,λ,λ1,λ2は無次元量でよい. »
- TukeyLambdaDistributionは,Mean,CDF,RandomVariate等の関数とともに使うことができる.
予備知識
- TukeyLambdaDistribution[{λ1,λ2},μ,{σ1,σ2}]は,実数 λ1,λ2,μ (先頭から2つが「形状母数」,最後が「位置母数」)および正の実数 σ1および σ2(「尺度母数」と呼ばれる)でパラメータ化された連続統計分布を表す.これらの母数は,ともに,確率密度関数(PDF)の全体的な動作を決定する.Tukeyのラムダ分布のPDFは,λ1,λ2,μ,σ1,σ2の値によって,数多くの形のうち,単一の峰(大域的最大値)がある単峰性,線形,単調減少等を含む任意の形となる.加えて,PDF(母数の値によって存在することもしないこともある)の裾部は λ1,λ2,μ,σ1,σ2の値によって「太い」(つまり, PDFが の大きい値について非指数的に減少する)ことも「薄い」(つまり,PDFが の大きい値について指数的に減少する)こともある(定義された場合,この動作は分布のSurvivalFunction を分析することで数量的に厳密にすることができる).引数が5つの形のTukeyLambdaDistribution[{λ1,λ2},μ,{σ1,σ2}]は,一般化されたTukeyのラムダ分布と呼ばれることが多いのに対し,3引数および1引数の形のTukeyLambdaDistribution[λ,μ,σ]およびTukeyLambdaDistribution[λ]は(それぞれTukeyLambdaDistribution[{λ,λ},μ,{σ,σ}]およびTukeyLambdaDistribution[{λ,λ},0,{1,1}]に等しい)は,それぞれ(Tukeyの)ラムダ分布および標準(Tukey)ラムダ分布と呼ばれることが多い.
- 1引数のTukeyラムダ分布は,1940年代にアメリカ人の数学者であるJohn Tukeyによって,正規分布(NormalDistribution) に従う確率変量から取った少数のサンプルの平均,分散,共分散をモデル化するツールとして考え出された.ラムダ分布は,そのPDFが(1引数形で のときを除いて)閉形の式を持たず,その分位関数 (Quantile)によって表現されなければならないという点で確率分布の中でも独特の存在である.たとえそうであっても,一般化されたラムダ分布は幅広い形を仮定することができ,NormalDistribution,UniformDistribution,BetaDistribution,StudentTDistribution,ExponentialDistribution,および,さまざまないわゆる極値分布(例:WeibullDistribution,ExtremeValueDistribution,GumbelDistribution,FrechetDistribution)を含むさまざまな分布の近似に使うことができる,極めて用途が広い分布である.
- RandomVariateを使って,Tukeyのラムダ分布から,1つあるいは複数の機械精度あるいは任意精度(後者はWorkingPrecisionオプションを介す)の擬似乱数変量を得ることができる.Distributed[x,TukeyLambdaDistribution[{λ1,λ2},μ,{σ1,σ2}]](より簡略な表記では xTukeyLambdaDistribution[{λ1,λ2},μ,{σ1,σ2}])を使って,確率変数 x がTukeyのラムダ分布に従って分布していると宣言することができる.このような宣言は,Probability,NProbability,Expectation,NExpectation等の関数で使うことができる.
- 確率密度関数および累積分布関数は,PDF[TukeyLambdaDistribution[{λ1,λ2},μ,{σ1,σ2}],x]およびCDF[TukeyLambdaDistribution[{λ1,λ2},μ,{σ1,σ2}],x]を使って得られることがある.平均,中央値,分散,原点の周りのモーメント,中心モーメントは,それぞれMean,Median,Variance,Moment,CentralMomentを使って計算することができる.
- DistributionFitTestを使って,与えられたデータ集合がTukeyのラムダ分布と一致するかどうかを検定することが,EstimatedDistributionを使って与えられたデータからパラメトリックTukeyラムダ分布を推定することが,FindDistributionParametersを使ってデータをTukeyのラムダ分布にフィットすることができる.ProbabilityPlotを使って記号Tukeyラムダ分布のCDFに対する与えられたデータのCDFのプロットを生成することが,QuantilePlotを使って記号Tukeyラムダ分布の変位値に対する与えられたデータの変位値のプロットを生成することができる.
- TransformedDistributionを使って変換されたTukeyのラムダ分布を表すことが,CensoredDistributionを使って上限値と下限値の間で切り取られた値の分布を表すことが,TruncatedDistributionを使って上限値と下限値の間で切断された値の分布を表すことができる.CopulaDistributionを使ってTukeyのラムダ分布を含む高次元分布を構築することが,ProductDistributionを使ってTukeyのラムダ分布を含む独立成分分布の結合分布を計算することができる.
- TukeyLambdaDistributionは他の数多くの分布と関連がある.TukeyLambdaDistributionは,TukeyLambdaDistribution[0],TukeyLambdaDistribution[1],TukeyLambdaDistribution[2]のPDFが,順にLogisticDistribution[0,1],UniformDistribution[{-1,1}],UniformDistribution[{-1/2,1/2}]のPDFと厳密に等しいという意味で,LogisticDistributionやUniformDistributionを含む多くの分布を一般化する.TukeyLambdaDistribution[λ]は,λ の特定の値について,CauchyDistributionおよびNormalDistributionと定性的特性を共有し,したがってLogNormalDistribution,BetaDistribution,PearsonDistributionとも密接な関係がある.
例題
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アプリケーション (2)
対称TukeyLambdaDistributionは他の対称分布を近似するときにしばしば使われる.での分布はNormalDistributionの近似になっている:
のTukeyのラムダ分布はCauchyDistributionにほぼ対応する:
確率プロットの相関係数プロットは対称TukeyLambdaDistributionとデータの最適適合度の決定にしばしば使われる:
が正規分布に従うサンプルの適合フィットであることを視覚的に確かめる:
LogisticDistributionからの標準サンプルの最適合フィットを視覚的に求める:
特性と関係 (5)
では厳密にUniformDistributionになる:
では厳密にLogisticDistributionになる:
テキスト
Wolfram Research (2010), TukeyLambdaDistribution, Wolfram言語関数, https://reference.wolfram.com/language/ref/TukeyLambdaDistribution.html (2016年に更新).
CMS
Wolfram Language. 2010. "TukeyLambdaDistribution." Wolfram Language & System Documentation Center. Wolfram Research. Last Modified 2016. https://reference.wolfram.com/language/ref/TukeyLambdaDistribution.html.
APA
Wolfram Language. (2010). TukeyLambdaDistribution. Wolfram Language & System Documentation Center. Retrieved from https://reference.wolfram.com/language/ref/TukeyLambdaDistribution.html